【つながる旅行記#206】宇和米博物館で米と日本一の廊下を見て卒業する
前回は伊予灘と桜とゴミで尻が崩壊した。
そんな自分の今回の目的地は……
卯之町である。
八幡浜と宇和島のちょうど中間にある卯之町。
一体ここに何があるのかというと……!?
例によって博物館である。
卯之町はなかなかの小ささなのだが博物館系がまとまっており、現在尻が崩壊している自分でも自転車なしで回れそうだなと思ったのだ。
あれこれ回って5kmくらいなものだろうと予想しているが、どうなるか。
とりあえず、まずは『宇和米博物館』へ向かう。(徒歩10分予定)
しかしあまり愛媛に米作りのイメージはなかったな……
いや、以前宇和島に行った際に宇和のわらぐろを見ていたし、電車で盛大に田んぼの風景を見ながらやってきたのに何を言ってるんだという話だが。
そんなわけで、『宇和米博物館』に到着。
なんだかすごく長い。
では早速入っていこう!
すごい長さの廊下だ。
実はこの廊下は日本一長い木造廊下で、長さは実に109m。
実際に使われていた校舎だというが、この学校で育った子どもたちはかなり貴重な体験をしたと言えるだろう。
そして展示は米博物館だけに、米関連のものが中心となる。
各教室ごとに展示が変わり、こういう建物の再利用っていいなあと感じる。
黒色や赤色の米を見ると田舎館に行ったときのことを思い出した。
「紫黒米」は、白米に混ぜて炊くと紫色に炊きあがるらしい。
思えば紫黒(しこく)と四国でなんだかシナジーがあるな……。
また、歴代の米の品種に関する展示も充実している。
いや米の品種多いな!!
自分は田んぼだらけの田舎出身なので米知識は多い方だと思っていたが、一度たりとも聞いたことのない品種だらけである。
日本において最重要とも言える米だが、自分の想像を越えた積み重ねの果てに今の品種があることを自覚させられた。
先人の努力に感謝だ。
ジオラマ要素も発見!!
ジオラマで農具を実際に使っている様子を見られるので理解が深まる。
やはりジオラマは良い。
……しかしこんな農作業に果たして現代人は耐えられるのだろうか?
腰が曲がったせいで身長1mくらいになった祖母を思い出す。
昔の農業はどう考えても人間の体に凄まじいダメージを与えていたのだ。
農具の進化って、本当にありがたいことだったんだな。
そして稲作の敵が多いこと!!
実は日本は長いこと農薬の概念が発達せず、基本は水田に鯨油を注いだり、太鼓を叩いて虫を追い払うくらいだったという。
明治・大正になって除虫菊などの天然物由来の農薬が使われるようになったものの、第二次世界大戦のあとに化学農薬が入ってくるまでは、除草も完全に人力に頼るしかなかったそうだ。
(よくこれで米本位制にしてたな…)
いやはや、なんだか思った以上に米について思いを馳せる結果になった。
実は行く前は「米については知識あるしつまらないかもな~」とか思っていたのだが、やっぱり実際に見てみないとどんな収穫があるかなんてわからないものだ。
さてさて、次の教室は何が……?
唐突なノスタルジック空間!!
普通に再現された教室がそこにはあった。
真ん中のストーブが良い味を出している。
昔はこの上で牛乳を温めたりしたんじゃよ……。
いかんいかん。自分の中の老人が出てきてしまった。
更にノスタルジック!!
まさかこの年で卒業式のあとの教室を思い出すことになるとは……。
そして木の教室の香りがなんとも良い雰囲気作りに貢献してくれている。
全然関係ない学校なのに、心に響いてくるものなんだな。
さて、この宇和米博物館には、展示以外にもコンテンツがある。
それが『109m廊下雑巾がけレース』だ。
109mなんて、もはや今の自分は走りたくもないのに、それを雑巾がけしろだなんて常軌を逸している。
しかし、日本一の廊下にふさわしいコンテンツではある。
自分も尻さえ万全なら参加していたのだが、残念だ。
どうやら様々な番組でこの博物館が取り上げられているようで、TOKIOのメンバーの記録や明石家さんまの記録などが並ぶ。
だが個人的に一番の注目は92歳の塩出つね子さんの記録だろうか。
6分14秒をかけて廊下を磨き上げたその根性に乾杯である。
なお、このときのトップ記録は21秒。
雑巾がけなのに普通に小学校低学年のかけっこより早い。
世の中には凄い人がいるもんだ……。
そんなわけで、米知識にノスタルジーにスポーツにと、思った以上に素晴らしかった宇和米博物館。
これは来てよかった。
そしてまだまだ卯之町巡りは始まったばかり。
どんどん巡っていこう!!
次回へ続く……!