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初めての入院生活は、そりゃもう初めてがいっぱいです【尿瓶】

前回のあらすじ:入院しました。


さて、なんだかんだ今まで回避してきた入院だが、とうとう味わうことになってしまった。

まあ今後老いていけばもっと入院確率が上がりそうだし、そのときの予行演習と思うことにしよう。(本番)


とりあえず病院到着の初日は骨折した左足をガチガチに巻かれ、痛み止めの点滴を受けつつ明日の手術を待つことになった。

しかしなにせ事故が起きたのは夜勤に向かうところだったので時間帯は夜。

普通ならこれからバリバリ肉体労働をこなしていくはずの予定だったので、ベッドにいようが眠れやしない。

なお自分は足首はノーダメージだったため、「指とかはちょっと動かしたりしてくださいね」という看護師の方の意見を忠実に守り、ベッドで横になって定期的に指を動かして過ごした。

痛み止めを点滴されつつもジワジワと微妙に痛む足に耐えつつ、夜は更けていく。

仕事はダルいなと思うことも多かったが、こんな形の休養になるとは……。


※(あ、ここから少し汚い話になります)



寝ていたら唐突に尿意が来た。

そうなのだ。

なにせ点滴でしっかり水分は補給されているので、出るものは出るのである。

思えば出勤前にしっかり大を出してきたから良かったものの、「会社のトイレ行けばいいか!」なんて思って出してなかったら、今頃大変な事になってたんじゃないか……?

過去の自分もそこだけは良い判断をしたな。


それはともかく尿意である。

もちろん自分はこれに関してはしっかり看護師さんに聞いていた。

回答は「尿瓶でやってね」とのこと。

尿瓶(しびん)

いや自分はこのアイテムの存在を知識として知ってはいたものの、割と一般常識のように使わされるんだな……。(そんなメジャーなのか尿瓶?)

しかしだ、ここは個室ではなく大部屋である。当然他の患者もいる。

そんな中でこれを使えと? 

深夜の静寂に包まれたこの部屋で……?


思えば自分は、過去にパーコプレシスの記事を書いていた。

『他人がいるとトイレがまともにできない』っていうアレである。

ただでさえ自分はそんな人間なのに、ここはもはやトイレですらない

条件としては最悪にもほどがある。

こりゃ限界まで溜め込んで……いや、尿瓶から溢れたらヤバいのでは?
というか限界まで溜め込んだら勢いがすごすぎて爆音が……!?


……あぁ、事故の後になんでこんなことで悩まなきゃならんのだ。

(なお膀胱の容量は350~600mlなので、普通は尿瓶に収まるよ!)


尿瓶を手にとっては力み、やはり駄目だと諦めることが続く。

静かな部屋に時折響き渡る、尿瓶を定位置に収める音。

……なんなんですかこの時間は?


そういえば、被災地などではトイレに行く回数を減らすために水分補給を拒む高齢者がいたとかいう話があったな……。

まあ今の自分の状況とはちょっと違うが、排泄というのはなんとも厄介なものだなと思う。

というか足の骨折のQOL低下度合い半端じゃないな!


しかし、ある時点で思ったのだ。

この病室の人たちだってきっと同じ経験をしてきたはず。

だったら自分たちは仲間だ。同じ辛さを知っているから認めあえる

だから出しても大丈夫だよね……?

・・・

・・・

ちょっとだけ出た。


朝になった。

初日からとんでもない経験をしたもんだなと思っていると、隣の人が看護師と話している声がする。

看護師「あれ?おしっこしてないですね?」

隣の人「いや~やっぱりこういう環境だとなかなか…

そ、そうなんだ……。

いやいや、つまり他の人も自分と同じように悩んでるってことだから!!


なんだかかつて汗っかきな自分に悩んでいた頃、自分よりも盛大に汗をかいている友だちの姿を見て悩みが消えたのを思い出した。

自分が知らないだけで、みんなそれぞれ何かを抱えて生きているものなのだ。

……今回の件も人生経験として刻みつけておこう。


そして、1回目の手術が始まるのだった――


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aosagi
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