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【映画】『ラーゲリより愛を込めて』を見てホロリ……【Soranji】

AmazonVideoを見たら『ラーゲリより愛を込めて』が無料になっていた。

動画ページへ

これはシベリア抑留で起きた実話を元にした映画だ。

いよいよ気温1桁になって寒さに震えてきた自分だが、シベリア抑留の人たちはマイナス40℃の世界で強制労働をさせられていた。

なんかもう次元が違う。


この映画に関しては、自分が旅行記で舞鶴引揚記念館に行った際の記事で、最後にPVをちょっとだけ載せたりもしている。

なんだかPVが良さげだったので「いつか見るぞ!」と思いつつ見てなかったわけだが、無料になっているなら見ない理由はない。

この機会にと早速視聴してみた。


なお、実話は元にしているがもちろんあれこれ付け加えた要素もある映画なので、そこはご留意いただきたい。


※以下ネタバレするので先に映画を見ましょう。



本作の主人公である山本幡男さんは、ロシア文学好きが高じて旧制東京外国語学校(現:東京外国語大学)に入学し、ロシア語も堪能な実在の人物だ。

満州鉄道の満鉄調査部に所属して、ソ連の情報収集と分析を行っていた。

しかしソ連は戦争末期に日ソ不可侵条約を破り、満州や樺太などの日本領土に進行を開始。

それによって60万人を越える日本人(及び朝鮮人)がシベリア各地に送られ、ラーゲリ(強制収容所)で強制労働に従事されられることになる。

その中には山本の姿もあった。


シベリアの寒さと飢えで次々死んでいく収容者たち。

ノミやシラミ、南京虫のいる劣悪な環境と、戦争が終わってもなお日本軍の序列に固執して暴力を振るう人間、課せられた作業ノルマ……地獄だ。

舞鶴引揚記念館にあるラーゲリ内の再現図
この食事で過酷な労働を…!?

しかしこんな状況でも山本は希望を持ってラーゲリの仲間たちに生きることを説く。

「いつかダモイ(帰国)の日は来るから」と。

そして文字を学んだことがない人間には文字を教えたりしつつ、ラーゲリ内での精神的支柱になっていく。


しかし山本には終始苦難が襲う。

日本に帰国出来ると思いきや、裁判にかけられて25年の労役が言い渡され、また別のラーゲリへぶち込まれてしまうのだ。

しかしそこでも山本は希望を捨てない。

草野球を開催して自らはアナウンサー役を務めて盛り上げたりと、ここでも人々の支柱となる。


だがそんな山本を今度は病気が襲う。

それは末期の癌だった。


もう立てなくなった山本に対して、収容所の仲間は遺書を書いておくことを勧める。

しかしその遺書も、のちにラーゲリ内の持ち物検査で没収されてしまうのだ。

そもそも日本語の文章はロシアの厳しい検閲下にあり、手紙を書く機会に恵まれたときですら自由に書くことは許されなかった。

舞鶴で見た白樺日誌も、必死に隠し持ってどうにか持ち帰れたものなのだ。

白樺日誌


そんな人々の心の支えになっていた山本は、ガンでこの世を去った。

山本は最後まで日本に帰ることは出来なかったのである。


そして戦争終結から11年後、シベリア抑留者たちはようやく日本に帰国できることになる。


あまりにも長すぎる抑留生活だった……。



ある日、日本で生活していた山本の家族の元に、ラーゲリで山本に救われた一人が訪れる。

そしてなんと、ロシア人に没収されたはずの遺書を家族に手渡すのだ。

それは全文ではなく、遺書の一部だった。


そう、彼らは山本の遺書を絶対に家族に届けるために、没収された場合を想定してそれぞれが遺書の一部分を記憶していたのだ。

頭の中にあるものは誰にも奪えない」という山本の教えがそこにはあった。


その後、記憶を元にして再現した遺書を携えて、家を訪れるラーゲリの面々。


遠い地で果てた山本の思いは、こうして家族に届いたのだ。




いやー……良い映画だったなあ……!

自分に一定の事前知識があるので、それの追体験という意味でも面白かったが、何よりも遺書の部分が涙腺に来た。

「頭の中にあるものは奪えない、みんなで覚えて絶対に届けるんだ」

まさかこれが実話だとは……!


なお、映画では4名が家に訪れるのだが、実際には6名の方が遺書を覚えており、中には全文覚えた人や山本の筆跡まで真似ていた人がいたという。

他にも数多の手法でどうにか遺書を届けようとしたらしく、こんなに多くの人を動かした山本は本当にラーゲリ内の人々の支えになっていたんだなと思う。

そしてどんな環境でも人間には希望が必要だというけれど、ラーゲリの人々にとって「山本の遺書を家族に届ける」という行為が自分の生きる希望(目的)になった面もあったのかな、なんてことを思った。


また、映画では描かれなかった「アムール句会」や「劇団」など、現実の山本さんが行っていたことはまだまだたくさんある。

あんな過酷な状況でひたすらに希望を作り出したのは超人としか言いようがない。

実際の山本さんは映画と異なる部分もあったりするのだが、それでもこの映画は「山本幡男」という人物を上手いこと再構成して作り上げた、素晴らしい作品だと思う。

まあ気になる部分もゼロじゃないのだが……


そんなことよりもう、最後に流れる『Soranji』が最高だったのでOK!!

Soranji』はMrs. GREEN APPLEによるこの映画の主題歌なのだが、なんかもう映画見てないのに泣けるという名曲なのだ。

自分もPVだけ何度も見て「いい曲だな〜」と感動していたのだが、Soranjiが「遺書を諳んじる」という部分から来ていたことに今回ようやく気づき、もう涙腺崩壊である。

いやはや……もっと早く映画見ときゃよかった。

そして曲のタイトルの由来を一切気にしない自分もなかなかアレだな。


でもこうやって作品に合わせて見事な曲を作るアーティストって凄いなと思う。

自分はあんまり音楽を聴かない生活をしているのだが、こういうのを体験してしまうと自分は勿体ないことしてるのかもだ。


そんなわけで、せっかくの無料なのでAmazon Primeに入っている方はよろしければどうぞ。


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aosagi
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