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【抜き打ち】リハビリ病院に来たときに受けたテストの話
いきなりで悪いのだが、次の3つの単語を覚えておいてほしい。
あとで確認するので。
・「ボール」
・「旗」
・「さくら」
覚えましたか?
……いや、「何を突然始めとるんだこいつは?」という気持ちはわかる。
これが何かというと、リハビリ病院に連れてこられてから抜きうちで行われたテスト問題のひとつなのだ。
なおこれ以外にも、
「今日は何月何日ですか?」とか、
「今日は何曜日ですか?」とか、
「ここはなんという病院ですか?」とか、
「ここは何地方ですか?」みたいなことをあれこれ聞かれた。
要するにこれは、『認知症かどうかの確認テスト』なのである。
(MMSE:ミニメンタルエステート検査というらしい)
自分が前に居た急性期病院ではこんなテストはしなかったのだが、骨折で入院した患者が実は認知症も患っているという例は実際にいくつも見ているので、リハビリ病院でこういうテストを行う理由はまあわかる。
「もう家に帰る!」
「仕事にいかなきゃ!」
「警察を呼ぶぞ!?」
そんな叫び声が響き渡っていた病棟が今や懐かしい。
このテストはおそらく認知症の人には毎日やっているようで、前の病院ではリハビリで患者に対してこの質問をしているシーンを何度も見た。
なので自分は一種のカンニングというか、テスト問題を知っている状態で認知症テストに望めたわけだ。
というかそうでなければ、わりと不正解を出す可能性があったんじゃないかと思う。
なにせ自分は4勤2休の毎週昼夜入れ替わりな仕事をしていたため、もはや曜日感覚など皆無となっており、今が何日で何曜日かなんて正直あまり気にしていなかったのだ。
なので突然曜日を聞かれたら答えに窮した可能性は非常に高い。
もし「昨日の晩御飯は?」なんて質問をされたら、正答率は10%を切ってもおかしく無いだろう。
(大丈夫なのか…?)
とはいえこのテストは別に全問正解する必要はないようなので、多少の不正解は問題無いようだ。
「相手が言ったことを復唱する」「相手が描いた図形と同じものを描く」なんてものもあったが、これも大半の人は問題ないだろう。
ただ、これは逆説的に「認知症になるとこういうことができなくなるんだよ」というのを見せられているようで、色々と考えさせられた。
そういえば入院してからはAmazonプライムで相席食堂を見ることが多いのだが、シーズン2のエピソード12(2019年)では蛭子能収さんが登場する。
蛭子さんは2020年に健康情報番組で認知症(レビー⼩体型認知症とアルツハイマー型認知症の合併症)が発覚しており、2024年の近況をYoutubeで見るに、病状はかなり進行しているようだ。
その情報を知った上であらためて相席食堂の蛭子さん回を見ると、「ここはどこ?淡路島?」という会話からしばらく経過したあとに、「ここ淡路島なんですか?」と再度聞き直すおとぼけシーンが本気の発言に思えて仕方がない。
相席食堂の収録は2019年なので、その時点から実は認知症の症状が出ていたということなのだろうか……?
……ところで、
最初に覚えておいてねと言った3つの単語を覚えているだろうか?
いやまあこれに関しては、文章をここまでしっかり読んでくれた方なら忘れていてもなんの問題もない。
なにせ実際のテストでは、「覚えてね」と言ったほんの数問後には「さっきの単語はなんでしたか?」と聞くわけなので、間に挟まる時間には雲泥の差があるのだから。
逆にここまでちゃんと文章を読みつつも、頭のどこかに3つの単語を記憶できていた人は凄まじい能力を持っているのかもだ。
なにせ人間の短期記憶のメモリー量ときたら悲惨この上なく、一説には『7±2』しか無理だという。
なので自分のごちゃごちゃした話を読みながらも最初の単語をしっかり3つ覚えているなんてのは相当なことである。
誇ろう……!!
そんなわけで、認知症は大変だよねというお話。
なお若者だって若年性認知症というものがあるので、無縁な話ではない。
そして自分は今回の入院で両親にかなり頼ってしまったが、今後同じことがあったときに、同じ対応が可能なほど両親が元気かどうかは正直わからない。
自分の親が認知症になる可能性だって当然ゼロではないのだ。
そうなったとき、自分はしっかりと対応できるのだろうか……?
自分の身体のことを考えるのも大事だが、両親のことも考えなければならない段階になる日は近い。
……備えねば。
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