arrows Nから見る日本の凋落ぶり
去年の10月にドコモから発表され、1月24日に予約が始まったarrows N。しかし、そこに表示された価格に驚いてしまった。
その価格は、何と9万8780円。この価格はハイエンド端末が買える値段である。しかし、このarrows Nはミドルレンジクラスの性能にもかかわらず10万近い値段なのである。案の定、twitter上では「高すぎ」「ぼったくり」とか散々な評価ぶりでどれも同意せざるを得ない内容ばかりだった。
そのような価格設定になった理由は、まず1つ目が3年分割設定で2年後に返却するいつでもカエドキプログラムの利用の前提が原因になっている所にあると考える。まず高価格に設定し、次に返却すればお得だと宣伝すれば割安感が出ると思わせることができる。しかし、その方法は返却する上、次の端末を買わせることが多く延々と高額な金を払わせ、おまけに条件に満たない場合は数万円の罰金が発生する。もちろんこれはよく契約内容を読まないと分からない部分なので、自分で調べることができない人は自ら罠へ足を突っ込みに行くようなものである。だからこそあのような高価格に設定されたのではないかと思う。
さて、ここからは発表に関しての言いたい事を述べたい。
この機種の気に喰わないところはまだあり、それは「エシカル」とか「サステナビリティ」といったカタカナ言葉を多用し、いかにもおしゃれ感や先進性を表現しているように見せかけているところである。カタカナ言葉を多用している時点で自ら薄っぺらいと主張しているようなもので、しかもそうなっているところほど意味を理解せずに言葉だけを強調しようとするので非常に不愉快極まりない。今回は価格が高すぎるのもあり、外見だけ綺麗に見せかけて凄いと思わせる印象操作で多くの人を誘導させようという思惑がありありと見て取れてしまう。しかも(後でまた関連することを記載するが)環境に配慮することを売りにしていながら短期間で返却する仕組みを同時に押し付けているのも、宣伝とはかけ離れている内容で詐欺まがいといってもいい酷さである。しかも処理能力が低いので長く使うという観点からも見事にそぐわない。そうしたちぐはぐだらけな部分が合わさって今回の発表内容が妄想だらけのいんちきと表現したくなるほどである。
また、先のカタカナ言葉云々を除き、今回の発表から分かる特徴は以下の通り。
1 高齢者や国産信者を狙い撃ちした情弱向けビジネス
間違いなく断言できるところである。年代が高い人や日本製が素晴らしいと思い込んでいる人の応援する気持ちを悪用して高価格で吹っ掛けるという日本の企業にありがちな典型的な搾取パターン。いつでもカエドキプログラムと併せ、どう考えても情弱向けに設定された収奪手法である。
2 SoCの種類を製品購入ページに記載しないという、肝心要の部分を隠す悪どさ
スマホは処理能力が物を言い、その主要な部分はSoC(Snapdragonなど)であり、いわば心臓部に当たるところである。しかし、製品購入を検討する上で明らかに重要な部分であるのにもかかわらず、ドコモホームページ内での製品ページではそのSoCの種類が記載されていない。記載されてしまうと調べる人が続出して性能が分かった結果、敬遠してしまう人が多く出ることを懸念して記載していないと推測する(ちなみにFCNTのホームページ内での製品紹介ではきちんと記載されている)。そのことからもドコモ側には消費者に対する誠意が全くないことが言える。
3 言っていることとやろうとしていることの矛盾
まずこの製品は最大3回のOSアップデートと4年のセキュリティアップデートの保証を謳っている。しかし、それと同時に2年後返却のいつでもカエドキプログラムを前提としたであろう高価格設定を行っている。長く使えると宣伝しているのに短く使わせようとしている矛盾っぷりである。まさに2枚舌政策といってもいい内容で、長く使いたければ高い金を払えという搾取宣言とも受け取れる。環境に配慮することとは相いれない内容である。
充電器や保護フィルム、ケースを付属させるという、環境配慮に見えないのにユーザー目線で価格性能のバランスが取れていることと相まり長期利用になる上、付属品販売での包装など余計なごみを出さないようになっている中華メーカーの方が結果的に環境配慮を実践している。搾取優先なのにエシカル(笑)だのサステナビリティ(笑)だのを前面に出しているドコモとは雲泥の差である。
今回のドコモの発表で、もう日本はオワコンだなと実感せざるを得ない。ドコモという大手企業でありながらカタカナ言葉を多用するという薄っぺらさ、言っていることとやろうとしていることの矛盾の酷さ、国産応援を悪用した情弱騙しのぼったくり路線、おまけに判断材料に必要かつ肝心な箇所は隠すという、現代日本の悪しき部分を凝縮させたような気持ち悪さが滲み出てしまっている。一国の在り方に大きく関わるほどの存在の有名企業でこの有り様ならこの国に有能な為政者が誰一人としていないのも至極当然と言える。日本の将来は惨憺たるものになるのは最早避けようがないと言えるであろう。