50年間 市場で働く人々を支えてきたメニューに載っていない"お母さんのおにぎり"「船橋市場の大乃家食堂」(前編)
【1266むすび】大乃家食堂(船橋市場)しゃけ
《連続1720日目!》
すごく懐かしい。
この景色。
この匂い。
早朝の船橋市場(船橋市地方卸売市場)
全国各地から集められた新鮮な魚介類や野菜などが集まる、まさに千葉の台所的な存在。
実は、幼い頃このすぐ近くにある大きな団地に住んでいたことがある。
かなり久しぶりに来たけれど、忘れていた幼い頃の記憶がどんどん浮かび上がってくる。
そうそう。
ちょうどこの食堂が集まる棟の壁の向こうに、グラウンドがあって、よく遊んだよなあ。
その横には、ブッシブという日用雑貨品を売っているスーパーがあったなあ。
その隣には優しい店主の床屋さんがあって、髪を切りに行くといつもおまけでお菓子をくれたよなあ。
市場の中にもよく出かけていた。
かくれんぼをしたり、大きな発泡スチロールで基地を作ったり。
市場は、当時の団地の子供たちにとって、よき遊び場だった。
そんなノスタルジーな思い出に浸りながら、市場の中を歩いていく。
それは、あるお店を探していたからだ。
船橋市場の中では、深夜や早朝に働いている多くの人がいる。
そしてその市場で働いている多くの人を50年以上支えているおむすびを作っている食堂があるらしい。
その食堂の名前は、「大乃家食堂」
今回、探していたお店だ。
この食堂は市場の中の人だけでなく、一般の人も利用することができる。
土日は早朝から大行列ができるほどの人気だ。
(海鮮丼やお刺身定食を目当てに来る方も多いらしい)
この日は冷たい雨が降るかなり寒い日。
外で並ぶことも覚悟していたけれど、運よくカウンターが1席空いたので、そんなに待たずに座ることができた。
店内はとてもにぎやかだった。
カウンターに並ぶ焼き魚や魚の煮付け。
どれも美味しそうで、食べてみたい。
市場での仕事終わりの方も多く、この魚や揚げ物を定食にしてビールをグビっとしている姿も見られる。
常連さんに長く愛されているお店。
素敵だ。
さて、おむすびはどこかなあ。
あれっ。
ない。
メニュー札を何度も何度も見たけれど、おむすびの文字がない。
すみません。おむすびはありますか?
「ありますよ。どの具にします?」
どうやらメニューにはないけれど、注文は受け付けてくれるみたいだ。
では、鮭のおむすびをお願いします!
これまでの経験上、そのお店のおむすびのことを1番知ることができる具は「鮭」
「鮭」おむすびが美味しいお店は、他のおむすびも美味しい法則があるんだ。
おむすびを握ってくれたのは、好江お母さん。
この好江お母さんは、50年以上ほぼ毎日、市場の人向けにおむすびを握り配達をしてきているとのこと。
そして、出来立てのおむすびが運ばれてきた!
いっただきまーす。
ふぉう!
アツアツだ。手で持てないくらい熱々だ。
あっでも、この熱いごはんを好江お母さんは素手で握っていたぞ。
ふはぁ。
ふはぁ。
このおむすびは、すごくふっくらしていて塩の効と効き具合もちょうどいい。
鮭も甘塩の鮭を丁寧にほぐされていて、これがまたごはんと絶妙に合う。
なんだろう。
ホッとするような、懐かしいような。
こういうおむすびを求めていたんだよなあ。
50年以上、市場で働く人を支えてきたメニューに載っていないおむすび。
ご馳走たまでした!
そして、親子3代に渡って、毎日市場の方のために美味しい料理を作り、おむすびを握り続ける理由を聞くことにした。(後編に続く)
こちらの話も、かなり読んでいただいています。
よろしければ、どうぞ。
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