
リモートマッチなのにスタジアムが共感に包まれた
言葉を選ばないで言うと、これまでの浦和レッズというクラブは、サポーターが共感を高めづらいチームだった。
日本一、いやアジアナンバー1とも言われるサポーターがいるのになぜ?と思われる人もいるかもしれない。
自分も浦和レッズが大好きで、Jリーグの開幕から応援しているし、シーズンチケットも24年間持っている。
どうして、こんなに好きなんだろうと考え、自分自身でその要素を因数分解したこともある。その時にわかったのが、自分自身は共感よりも愛着が強いということだった。
確かにサポーターの声やSNSなどでも、浦和レッズを好きな理由にあげるのは、「地元のクラブだから」「ずっと応援しているから」「サポーターの応援がすごいから」「仲間が応援しているから」などが多い。
逆にクラブの方向性や取り組みに信頼や共感しているという声は、サポーターの数の割には多いと言えない。
それを裏付けるようなことは、Jリーグが行なっている観戦者調査(2019版)でもでている。

観戦目的を聞いている設問だけど、応援しているクラブの地域貢献だったり、スタジアムでのイベントが楽しそうだからという項目が、かなり低くでているのだ。(J1J2合わせて40チーム中、最下位か39位になっている)
あまりクラブという存在がサポーターに伝わっていないのかもしれないし、そこにいるスタッフの顔や存在が見えていないのかもしれない。
もしかしたら、他のJクラブと比べて、少し距離感があるように見えているのかもしれない。
しかし、土曜日に行われたJ1リーグの再開試合(コロナで4ヶ月延期していた)によって、この共感が大きく高まっていくきっかけが生まれたのだ。

翌日曜日の日刊スポーツの一面に大きく取り上げられていて、その中にこのように見出しがついていた。
レッズの情熱
無観客リモートマッチとは思えない…
真っ赤な埼スタに愛を見た
無観客試合(浦和レッズはリモートマッチではなく、ONE HEART MATCHと呼んでいる)で行われた埼玉スタジアム。
そこに現れたのは、360度を埋め尽くす真っ赤なコレオグラフィ!
テレビ画面越しではあったが、とにかく圧巻だったのだ。

これは、赤色のビニール袋やタオルマフラー(オンラインショップで購入されたもの)、旗などを並べて、まるでサポーターがいるかのようにスタジアムを装飾したものになる。
応援に行けないサポーターの魂をスタンドに預けられるし、なにより選手たちを奮い立たせるものになる。
そして、各スポーツ記事でも、このことが大きく取り上げられた。
・浦和西川が感極まり涙、赤く染まった無観客の埼スタ 日刊スポーツ
・無観客でも心は1つに!浦和 ビニール10万枚超6万席に描いた圧巻の「コレオ」スポニチ
・埼スタ 6万超の客席に圧巻コレオグラフィー「WE STAND BESIDE YOU」
日刊スポーツには、こうも書かれている。
6月29日から6日間かけ、スタンドを装飾した。クラブ職員をはじめ、後援会、ボランティア、下部組織コーチたちが総出で観客席に足を運び、ビニール製シートをかけた。ベテラン職員が腰を痛めるほどの“重労働”だった。
ホームのゴール裏にはJリーグのシャーレに「URAWA」「2020」を付け加え、アウェー側にはサポーターに寄り添う意味を込め「WE STAND BESIDE YOU」と刻み込んだ。
バックスタンドには6月にサポーターが購入したタオルマフラーとフラッグを掲出した。クラブ独自でサポーターとの絆をつなぐ活動「ONE HEART TOGETHER」のロゴ入りなど4種類のマフラー計5629本、エンブレム入りのフラッグ508本も設置。試合後にスタンドから回収し、購入したファンやサポーターに届けるシステムになっている。
これだけの準備をするのは本当に大変だと思う。
ここ数日、土砂降りの雨の日も多かった。
その中を、クラブスタッフや後援会、サポーターのボランティアやなどが力を合わせて、数日間かけて装飾してくれたとのこと。
ありがとう。
本当に頭がさがる。
そして、この素晴らしいスタジアムを見て、サポーターたちも大きく反応をした。

これは、オフィシャルが当日あげたTwitter記事。ここに、ものすごい数のいいねやリツイート、コメントが並んだのだ。
そのほとんどが、この取り組みを感謝し、称賛するものだった。
このようなコメントが続いているのだ。

これはTwitterだけでなく、FacebookやInstagram、動画サイトやサポーターの掲示板などでも同時に多く見られていた。
とくにあるサポーターの言葉は、胸にくるものがあったので、最後に紹介したい。
いつもクラブに対して不満を抱いてしまっていた事を恥じてしまう位に昨日の試合でのコレオは素晴らしかったですね。
これからも共に歩んで行きたいと思えました!
サポーターのクラブに対しての想いが、ひとつのこと(努力)をきっかけに変わった瞬間だった。
サポーターが誰もいないスタジアム。
そのスタジアムでクラブとサポーター、そして選手など多くの人に共感が生まれ、心がひとつになった。
これこそがスポーツの力だと思うし、そこに携わる多くの人々の想いが集まることの素晴らしさだと感じる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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