「TUG BOOKS」の名前の由来
小豆島にて開店準備中の「TUG BOOKS」。
今回は店名である「TUG BOOKS」の由来と、そこに込めた思いについて話そうと思います。
TUGとは
そもそもTUG BOOKSのTUGとは何か。
このTUGは「TUGBOAT」(タグボート)から取っています。
※間違えやすいのですが、SNSなどで使われるタグという言葉は「TAG」(荷札の意)であり、お店の名前である「TUG」とは異なります。
では、そのタグボートとはどんな船なのか。まずはタグボートについての説明をしていきますね。
タグボートとは
Tugboat=タグボートとは、日本語に訳すと「曳船(えいせん、ひきふね)」の意味です。
Wikipediaによると、
タグボート(英語: Tugboat)は、船舶や水上構造物を押したり引いたりするための船。(中略)港湾で船舶が岸壁・桟橋に着岸・離岸するのを補助したり、河川や運河で艀(はしけ)などを動かしたり(中略)、外洋で救命ボートと同じ用途で海難・水難事故の被害者の救助や、大型プラントを海上輸送するために使われる(後略)。
といった役割の船、つまり引っ張る(Tug)船(boat)=タグボート(Tugboat)という意味です。
※上記の写真は「東日本タグボート株式会社」HPより引用
上記の写真のように、小回りの利かない大型客船やタンカー、貨物船などを押したり引いたりして港へ着岸・離岸させたり、
※「内海曳船株式会社」HPより引用
大型船や危険物搭載船の先頭に立って進路の警戒や誘導をしたりするのが主要な役割となります。(※1)
このように、
①水先案内
②入出港の補助(曳船)
を主な役割としているタグボート。
タグボートがないと小回りの利かない大型タンカーや貨物船などが港を出入りできなくなってしまい、積んでいる物資を直接陸揚げすることができません。
つまり、あまり知られてはいないけど、私たちの今の生活を営む上でなくてはならない存在。
港における縁の下の力持ちともいえる役割を担っているのがタグボートなのです。
そして、そんなタグボートのように、小豆島にとってなくてはならない存在の本屋さんでありたい。
TUGBOAT+BOOKS=TUG BOOKS。
こうしてTUG BOOKSの店名は生まれました。
TUG BOOKSに込めた思い①
書物の海の水先案内
一年で約72000冊もの本が出版されている日本の出版業界。毎日200冊(種類)近い書籍が新たに世の中に生み出され続けているんです。(※2)
毎日これだけ大量の物が出ていて、しかも1000年以上前に書かれた本も売られ続けていて、まさに”広大な海”のような出版物の世界。
この「書物の海」とも呼べるような広大な世界へ分け入ろうとする人にとってのガイド、「水先案内人」となれるようなお店でありたい。
「こんなに本があったら選べない…」
「本は読みたいけどどんな本を読んだらいいのか分からない」
など、途方に暮れている人に対して、その人に合ったオススメの本を紹介できるお店を目指しています。
TUG BOOKSに込めた思い②
お店という「港」への入出港
港に入出港する船の手伝いをするタグボート。
さて、あなたは港に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
嵐の海、荒れる外洋から何とか港まで戻ってきた一隻の船。
這う這うの体でしたが、港まで戻れば一安心。
嵐に翻弄されて傷んだ船体は補修され、乗組員もたっぷり休息をとって英気を養います。
さて、港で航海に必要な物資も補給したし、乗組員も気合十分。
外へ広がる海へ向けていざ出港!
僕にとって港とは上記のようなイメージです。
つまり港とは”ホッと一息つける場所”であり、”再び外へ出るための英気を養う場所”でもあると思っています。
TUG BOOKSもそんなお店でありたい。
お店は”港”であり、本は”栄養”です。
来店した人にとって休息の場所となり、来店者はつかの間の休息を味わいながら、本という栄養をたっぷりと採って元気になる。
そして、社会という大海原に飛び出していく。
訪れる人にとって心安らぐ場所となるべく頑張ります!
TUG BOOKSに込めた思い③
心の琴線に触れる本との出会い
店名を考えていた時、tugの単語を調べていて面白い慣用句を知りました。
それがコレ↓
「tug at someone's heartstrings」
(人)の心の琴線に触れる、(人)の心[感情]に訴える、
(人)の感情を揺り動かす、(人)を深く感動させる
(人)に泣き落としをする
※「英辞郎on the WEB」HPより引用。
「訪れる人の心の琴線に触れる本との出会いをもたらしたい」
そんな本屋さんを目指している自分にとって、まさにそのままズバリな慣用句表現がtugという単語にある事を知って、とても嬉しかったことを覚えています。
TUG BOOKSに込めた思い④
奮闘する
これもtugの英語の意味から。
tugという英単語の本来の意味は「(力をこめて)引っ張る」というもの。
これが転じて「奮闘する」という意味もtugには含まれます。
「奮闘」。なんて今の自分に必要でピッタリな言葉でしょう。
これからお店を、しかも斜陽産業ともいえる出版業界で開業を目指す上で、この「奮闘」という言葉を常に胸に刻んで忘れないようにしようと思います。
まだまだお店は出来ておりませんが、こうしてお店の名前にこめた思いをきちんと体現できるお店となるべくこれからも頑張ります!どうぞよろしくお願いします。
※1:他にも通船作業(港に着岸できない船の乗員を乗せて港まで送る)や工事海域警戒、流出油の処理にオイルフェンスの展開、消火まで、世界各地の港や海で活躍している船なのです。自分よりもはるかに大きな船を曳航するので、船体サイズよりはるかに大きい馬力のエンジンを搭載していたり、特殊なプロペラによって360°自由に旋回、移動が可能だったりと面白い船でもあります。気になる人はタグボートについて調べてみて下さい!
※2:総務省統計局によると、令和元年(2019年)の総出版数は71,903冊でした。これだけの物量、他の業界ではあまり考えられないですよね。スーパーマーケットで毎日200種類もの新商品が出ていると考えると…。一週間ぶりにスーパーに行ったらハムの新商品が60種類増えてた、とかになっていたら…選択地獄(笑)。