芥川賞作品『バリ山行』を読んで:日常と非日常の対比が鮮烈


建設会社に勤める主人公が、バリ山行に魅せられていく姿を描いた芥川賞作品『バリ山行』を読みました。

この作品で特に印象的だったのは、主人公の日常と、バリ山行という非日常の対比です。仕事場では日陰の存在である先輩の妻鹿さんが、山の中では自分の足で未踏の地を進む達成感と、常に危険と隣り合わせの不安や焦燥を感じながら成長していく姿が鮮やかに描かれています。主人公は、そんな妻鹿さんの姿に惹かれ、自身もバリ山行に挑戦していくことになります。

バリ山行の描写は、単なる登山体験を超えて、主人公の人生観や仕事場での現実、そして彼自身の内面を映し出す鏡のような役割を果たしています。山を登ることは、主人公にとって自分自身と向き合い、新たな一歩を踏み出すためのメタファーと言えるでしょう。

この作品は、日常に埋もれがちな私たちに、一歩踏み出す勇気と、自分自身を見つめ直す機会を与えてくれる、素晴らしい作品でした。読後感は爽快でありながらも、深く考えさせられるものがありました。

また不思議なもので、全く山登りや低山トレッキングに興味関心が無かったのが、ふと書店で軽登山の本を購入しようとするほどに。完全に影響されている!

バリ山行という一見特殊な世界を通して、普遍的な人間の葛藤と成長を描いたこの作品は、多くの人に共感と感動を与えることでしょう。ぜひ一度手に取って、主人公とともに山を登る体験をしてみてください。

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