【cinema】美しいとき
これもmyfrenchfilmfestivalにて。
1971年。23歳のデルフィーヌは、農家を営む両親のもとを出て、パリへ上京し自立をめざす。偶然乗り合わせたバスで、35歳のパリジェンヌで、熱心な女性解放運動の活動家のキャロルに出会う。キャロルにはマニュエルという男性の恋人がいたが、デルフィーヌとの運命的な出会いが、二人の女性の人生を一変させる。二人は激しく愛し合うようになり、デルフィーヌが田舎の実家に戻らなければならなくなると、キャロルは一緒について行くことに。しかしそこには、パリでの生活とは異なる現実が待っていた。(公式サイトより)
何か最近女性同士の恋愛モノづいてるのかと思うんですが、「キャロル」(これは静の物語)を見た時とは全然違って、どちらかというと「アデル ブルーは熱い色」(こっちは動の物語)に近いなと思います。それでも二番煎じ的にはならないのは、時代が1970年代で、フランスにて女性の人権について女性たち自らが声高に叫ぶようになった頃だというのと、主人公であるデルフィーヌとキャロル(わ、これもキャロルだ!)の年齢やバックグラウンドが「アデル…」のものとは全然違うからか。
とにかくキャロル役のセシル・ド・フランスの体当たり演技が凄い。何かね、裸が全然綺麗じゃないの。そのままなの。それも含めての役作りなのかもしれないけど、圧倒される。自然体というのか、貪り合うってこういうことなのね、と…。
「同性愛モノ」とカテゴライズするのは駄目かもしれないけれど、行き着く先はホッとするような、またはカラッとしたハッピーエンド(わりと少ない。コメディには多い)か後悔や苦しさの残る終わり方。この映画も例外ではなく後者であり、あんなに激しく求め合った二人は別々の道を歩むことになる。観る方からしたら、ずっと一緒のままであってほしいと望んでも。それは彼女たちを取り巻く「世間」の目の厳しさが多分にあり、それに堪えることができるカップルはまだまだ多くないということです。一生に一度しか味わえない出会いだったとしても。それってすごく哀しい。
それでもこの映画のタイトルが「美しいとき」(原題も同じような意味合い)であるのは、デルフィーヌの故郷の農場での生活風景が、厳しくもあるけれどあの光のふり注ぎ方であったり、自然と寄り添うことの喜びが描かれていて、あの時、あの瞬間は二人にとってかけがえのない時間だったのだと思わせてくれるから。
長くなりましたが、まとめきることができず。何かもっと映画を見ながら感じたことがあったのだけど。それくらい思うところの多い内容でした。男性が見たらどう思うのか、こういうのを見るといつも思うんだけど、同じ女性としては、とても、とても、共感する部分が多くて、切なくなりました。
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