【cinema】セント・オブ・ウーマン/夢の香り
2017年58本目。午前十時の映画祭にて。
なぜだかよくわからないけど、私の中の何かが、これは観た方がいい、観に行った方がいいと言い続けていて、休みの日は二度寝推進派の私が、それをせずに観に行ったもの。
既視感がありまくりなのは、80年代後半から90年代にかけてのアメリカンムービーが、こぞってスクール物、とりわけ私立校のライフスタイルをとり上げて映画化していたからかなぁと思います。そして、なんだかんだで、生徒たちは権力や体制(ここでいうと校長とか学校の理事会)に物申すの精神を持っていて、それが後々大きな事件となるのですが、微妙に違えど「いまを生きる」と重なりすぎて…。
とは言え、この映画のメインは、退役軍人で盲人のフランクと彼の世話を感謝祭の休みの間にすることになったベアード校奨学生のチャールズ(チャーリー)との交流で、たった数日間なのにチャーリーは人として2倍も3倍も大きく成長することになります。また、それはフランクにとっても同じで、彼は自身の人生に一区切りつけようとしていたところをチャーリーと出会うことで思い留まることになるのです。
フランクが途中まで、憎っくきエロじいさんにしか見えないのに、あらゆるシーンで彼の一言ひとことが響くんです。それは、チャーリーが純粋というか良い意味で真っ直ぐだから余計に感じられるのかもしれない。
それよりも何度も何度も泣きそうになったワタシ。こんなにもフランクの言葉や振る舞いがズドンとくるのは大人になった証でもあるんだろう。「いまを生きる」を見た高校生の頃に見ていてもここまで響かなかったはずだ。今、チャーリー達のような子供たちを守るべき立場にいる大人だからこそ、フランクのような存在が絶対的だと実感できるのです。
この映画の一番の見どころは、チャーリーが学内裁判的なものにかけられた際に親代わりとして出て来たフランクの佇まいです。これを今書いていても泣けてくるのは、何故なんだろう。映画を観たのは随分前なのに。見たあの瞬間が蘇ってきて、今でも涙が出そうになる。あんなにも強く自分のことを守ってくれる大人はそういない。皆無と言っていいほどだと思う。目の見えないフランクは、あの中のどの大人たちよりも大きく立ちはだかって、チャーリーの盾となってくれた。音楽も最高!
そして、何と言ってもタイトルがバツグン(副題はそこまで思わないけれど)。こんなに色気のあるタイトルもなかなかない。うまく言えないけど、あの時代だったからこそ、こんなタイトルにできたのかも、と思う。フランクは盲目だけれど、女性に対しての敬意の表し方が素晴らしいなと思います。女を「オンナ」として「見ている」。それはそこらへんの魅力的な男性が女性に対するそれとは段違いなんです。アル・パチーノ、ものすごい演技。私、このアル・パチーノが一番好きかも。
私の中の何か、この映画を観たいって強く思ってくれて、ありがとう。(いや、自分か)
ちょっと間違えば、ま、DVDでもいっかとなっていたかもしれない。スクリーンで見たことに本当に意味があった映画。
チャーリー役のクリス・オドネル、最近どうしてるんかなぁ…。今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマン、「若い!」を通り越して、「可愛い♡」とさえ思える。彼もチャーリーと同じくらい重要な役どころ。彼の父親は息子を守っているようで、全然守ってくれていないってことが明らかになるんですよね…。コレ、イマドキの親たちに見せたい。
何にしろ映画好きに是非見ていただきたい過去の作品であることは間違いありません!
2017年のマイベスト10に入れたいけど、新作じゃないのがザンネンだな。いつまでも色褪せない、時代を超えて見たい、見てほしい映画であることはたしかです。
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