シルバー、あなたは生ききった!
「ゆれる人魚」
やっと!やっと、書ける、コレの感想が!
ってなくらい、これは私にとってどストライクの映画でした。
何がどストライクって、音楽、キャスト、展開、CGなどの美術面、すべて。
パンフを迷わず購入し、noteでも有名なオラシオさんのポーリッシュミュージックの解説を貪り読み、なるほど、なるほどと。(このパンフ、買いでした。内容も充実している)
この映画は「ミュージカル」でもあるんですけど、一般的なミュージカルと違って、どことなく「洗練」されている。作品に溶け込んでいてナチュラル、だけど、とっても人工的。その相反する何かが混在していて、カッコよく仕上がっている。どっちかと言うとPVとかMVを見てる感じ、かな。
姉シルバーの甘い歌声と、妹ゴールデンのハスキーボイスで成り立つキッチュでポップ且つダークな音色は、めちゃめちゃ心地よいです。
話はめーっちゃ簡単にまとめると、「ポーランド発オトナ向け現代版人魚姫」です、ハイ。
人魚の姉のシルバーは、人間の男(これがまた少女マンガに出てきそうなイケメンバンドマンで、私はポーランド版手越祐也にしか見えなかった)を好きになってしまい、はてさてその恋の行方や如何に、というお話。
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実はnoteでレビューを書き続けていて、気づいたことが一つ。
多分自分にとって、めちゃくちゃ思い入れの強い作品ほど、書きたい内容がとっ散らかって、あまり注目もされないけど、そこまででもなかったな…と思い、冷静かつ客観的にまとめたものの方が読まれるのです。事実、noteオススメに選んでいただくものの殆どが、私にとっては結構どうでもよかったりして…笑
で、コレです。コレ、本当に良かった。好き嫌いは分かれるかもだけど、多分その時の私の気分や置かれている状況全てにマッチしていたんだと思うんです。
これを撮っているのが女性監督であることもポイントだし、今まで見てきた「WILD わたしの中の獣」や「RAW 少女のめざめ」などと同じニオイがプンプンして、女の中にある狂気めいたものが一つのテーマにもなっていると思いました。
あとこの姉妹の関係性にも注目したい。私は見ながら何度も確認した。
姉がシルバーよね? 妹がゴールデン?
顔立ち(!)、物の考え方やスタンス、いや名前まで妹の方が圧倒的に「オトナ」だ。
↑左が妹のゴールデン、右が姉のシルバー。
妹は姉を何度も諭す。人間を好きになったら、成就させない限り、泡になって消えるのだと。シルバーが「人間」になり、声が出せなくなっても、妹は一人、現実的に「稼ぐ」ことをする。姉が夢見る夢子ちゃんなら、妹は冷静かつ徹底して現実派なのだ。うう、胸がイタイ。私と妹のようではないか…。まさに我が家は、そんな感じ…。それはさておき、その関係性がストーリーを面白くしているかと。
他の方のレビューを読んでいると、内容にまとまりがないだの、ラストは平凡だの、色んなことが書かれているけど、私は違った。
シルバー、貴女は生ききった!この世知辛い大人の欲望に塗れた世界で、貴女はどこまでも澄んだ存在だった、と。それまで暗く澱んで映った水面が、ラストだけキラキラしたような気がした。私だけかもしれないけれど。
2018年28本目。シネリーブル梅田にて。
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