【cinema】ドリーム
2017年74本目。
宇宙有人計画にものすごい能力を持った黒人女性たちの尽力があったことをご存知でしょうか。私はこれを見るまで全く知らなかった。
「Hidden Figures」(埋もれた人々?)
これが原題。邦題は「ドリーム」。シンプル、安易すぎやしないか、と思ったら、邦題にありがちな余計な副題がついていて、それの評判が悪すぎて「ドリーム」単体になったらしい。その問題の副題、「私たちのアポロ計画」だったそうですが、そもそもマーキュリー計画なのにアポロ計画は間違いだ!と指摘されての却下だそうで。私たち日本人からすると「アポロ」が宇宙を連想しやすくて、耳馴染みいいもんね。それにしても安直すぎる。つけてほしい時に付かない副題、どうでもいい時に余計な副題がつくこの落差、どうにかしてくれ。
ということを抜きにしても、この映画、好きでした。
1962年に米国人として初めて地球周回軌道を飛行した宇宙飛行士ジョン・グレンの功績を影で支えた、NASAの3人の黒人系女性スタッフ、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ボーン、メアリー・ジャクソンの知られざる物語を描いたドラマ。ソ連とアメリカの宇宙開発競争が繰り広げられていた61年、米バージニア州ハンプトンにあるNASAのラングレー研究所に、ロケットの打ち上げに必要不可欠な計算を行う黒人女性グループがいた。なかでも天才的な数学の才能をもつキャサリンは、宇宙特別研究本部の計算係に抜てきされるが、白人男性ばかりのオフィス環境は、キャサリンにとって決して心地よいものではなかった。一方、ドロシーとメアリーもそれぞれ、黒人であるというだけで理不尽な境遇に立たされるが、それでも3人はひたむきに夢を追い続け、やがてNASAの歴史的な偉業に携わることとなる。キャサリン役で「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のタラジ・P・ヘンソンが主演し、ドロシー役を「ヘルプ 心がつなぐストーリー」のオクタビア・スペンサー、メアリー役を「ムーンライト」などにも出演している歌手のジャネール・モネイが演じた。(映画.comより転記)
まさにあらすじのとおりの内容です。では何が良かったのか。
この主役のキャサリンを含む3人の黒人女性が卑屈になっていないこと、辛く苦しいことばかりだけど、それが少し笑いになっていたりもして、自分たちの未来を切り拓こうとしたところが、とてもとても感じが良かったです。
時は公民権運動の嵐が吹き荒れる最中、ともすれば声高に差別について追求するだけの内容になりがち(これは語弊があるかもしれないけれど)だけど、本作品はそうはならず、しかし私たち観客は、その差別の酷い有様に憤りを感じるし、ものすごく熱くなれるのです。こんなに登場人物に寄り添えて、共感できるストーリーもそうないかと思う。
それと、とにかく俳優陣が素晴らしい。ケビン・コスナー、なかなかいいスパイスになってるやないの!彼が脇役⁉︎ でも本当にいい塩梅。それとキルステン・ダンスト。彼女もちょっぴりヤな白人女性上司を演じてるんですが、巧い。本当に主役の3人の女優陣を盛り立てていると思いました。
こんなにも嫌のところのない映画も滅多になくて、いや、描かれていることは紛れもなく差別であるから、見たくない部分もあるんです。それでもそれに立ち向かおうとする彼女たちはものすごく頼もしくて、カッコよくて、惚れ惚れする。きっとあの当時はこんなものではなかったと思う。そんな生易しいものじゃないよね。それでも本当に本当に見てよかったなって。すぐに人に薦めたくなる作品、とでも言おうか。
たまたまこの映画でとりあげられたのが彼女たちだったけれど、歴史的に埋もれてしまった多くの人々がいて、現在がある。そんなことを思い知らされるんですが、成功したから言えるんだよね、ではなくて、自分の力を信じて、前を向いて進むことの大切さを改めて感じた次第です。多くの人に見てもらいたいです。
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