【cinema】未来よ こんにちは
2017年29本目。
パリの高校で哲学を教えているナタリーは、教師の夫と暮らし、2人の子ども独立して充実した人生を送っていた。ところがある年のバカンスシーズンを目前に、夫からは離婚を切り出され、年老いた母も他界。思いがけない出来事が次々と起こり、気が付けばおひとり様になっていたが……。(映画.comより転記)
ってあるけど、そこまで深刻なお話ではない、かな。イザベル・ユペールって、決して超美人じゃないけれど、彼女の佇まいは他のどの女優にもなくて、彼女だから醸し出せる雰囲気だったり、おかしみがあるんです。いつもどの作品を見ていてもそう思う。フフッて笑いたくなってしまう。同じ女性として、自分が目指すべきはこんな女性だなって。
おひとりさま…。つい最近、中村綾花さんが、cakesの連載「パリジャン十色」で、孤独死にビビりすぎな日本人っていう記事を書いてたんです。まさにそれだなぁって思う。日本のメディアは煽りすぎ!孤独死、上等じゃないか。病室でたくさんの管に繋がれて、近親者に囲まれて。そんな人生の終わり方を幸せだなんて、誰が思う?
それはさておき。この映画の主人公ナタリーは、自分と同じく哲学を生業としてきた夫は、浮気してて、挙句に離婚されるわ、母親も色々鬱陶しいことしながらもやっぱり母は母だし、いざ居なくなるとものすごくさみしい。目をかけていた自分の教え子もいつの間にか、自分とは違う世界を見て、自分の道を歩んでいっていた。あれ、私、独りじゃん?みたいな。
でもね、初めに言ったとおり悲壮感はない。かと言って、超前向きな感じでもなく。それをフランスっぽい、と言ってみたくなる。でも人生ってそんなものなのかも。誰かとの別離(離婚も死別も)は、思っている以上に心身共に堪えること。それでも彼女にはこれまで生きてきた彼女自身の人生があって、私は私、それでしかない。この映画には、そんなちょっと軽やかな風が吹き抜けている感じがするんです。
ナタリーがベッドに突っ伏して、泣くシーンがあります。自分が情けなくなって、ちっぽけな存在だなって思って、いつの間にか誰からも置いていかれてるって感じた時。すごく彼女の気持ちがわかった。そして、猫のパンドラの存在が愛おしかった。
この先、自分がどんな道を歩んで行くのか定かではないけれど、自分の生きる指標みたいなものを見つけながら進んで行きたいなぁって思える作品でした。
ふんわりしてるけど、そんな感じ。
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