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【cinema】リベリアの白い血

2017年76本目。

私としたことがですね、この映画を下書きにストックすることを忘れてまして、今更ながらレビュー書く数、1本増えたんです。Twitterでは見た後すぐ感想を残すようにしてて、読み直していたら、この作品が…!忘れたらダメな作品なのに…。

この「白い血」って何だと思いますか?私はこのタイトルに惹かれて、見たいなって思っていたんです。内容に関係なく。

シスコはリベリア共和国のゴム農園で働きながら、家族を養っていた。過酷な労働環境改善のため、仲間たちとともに立ち上がるが、状況は一向に変わる気配がなかった。そんな折、シスコはいとこのマービンからニューヨークの話を聞き、より良い生活のために愛する家族をリベリアに残し、単身アメリカへ渡ることを決意する。ニューヨークのリベリア人コミュニティに身を置き、タクシードライバーとして働き出したシスコは、移民の現実に直面しながらも、多種多様な人が住み、騒がしい都会での生活に少しずつ順応していく。しかし、予期せぬタイミングで元兵士のジェイコブと再会したシスコに、リベリアでの忌々しい過去がよみがえってくる。(映画.comより転記)

取り上げられているテーマは重いながらも、ものすごく静かに進むストーリー。日本人監督、福永壮志氏が撮った作品だそう。でもね、何かスケールがね、違うのね。巷で邦画として上映されているものと。大掛かりとかそんなのではなくて、撮りたいもの、撮るべきものをきっちり描き切っている。人物、風景含めて全て。そして、ラストは「余白」を残して。

淡々と過ぎる母国リベリアでのゴム採取作業の過酷な日々。代わり映えのしない毎日は、シスコにとって、地獄でもなければ幸福でもない。アメリカ行きは、生活を変える唯一の希望だった、ハズなのに。

このシスコの「座った目」がとても印象に残っている。漫然と過ごす日々の前の彼には一体何があったのか。思い出したくもない過去を突然抉り出された時、取った彼の行動を、私は支持する訳ではないけれど、彼のひたすらに息を潜めた感じが、何だかすごく理解できたのだ。

彼に明るい未来なんて、来ない。多分それは彼が一番よくわかっている。リベリアにいようが、ニューヨークであろうが、変えられない過去があるということ。見たのが前すぎて、記憶が定かじゃないけど、たしかラストは夜明けの頃だったと思う。切なくなるような温かい光が差し始めたなぁって。何も変わらない一日がまた始まるなぁって、思ったんだ。私もたまにそういうこと考える時があるから。シスコのそれとは比べものにならないけれど。

よくある移民問題に警鐘を鳴らすようなものでもなくて。でも世界各国に散らばる移民の人々にはシスコのような誰にも言えない思いを抱えている人ばかりで、そんな彼らの心の支えや癒しになることって、どこにあるんだろうか、と頭を抱えてしまった。

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