女は堪え忍び、そして誰よりも強くなった。
「ラヤルの三千夜」
イスラーム映画祭というのが、このGWに神戸でありました。
「イスラム」という言葉を聞くと、どうしてもISや少し前だとタリバンだったりの原理主義の悪いイメージ、また中近東付近だけのもの、また最近だとテロのイメージが強いですよね。もちろん、それも間違いではないんですが、もっと多様性に富んでいて、今回の映画でもそれが垣間見れたと思います。不覚にも6本見たうちの2本は、体調の関係もあり、ウトウトしてしまって思うようなレビューが書けないため、そのうちの4本のレビューを続けて書いていきます。
ヨルダン川西岸地区の街に住むパレスチナ人教師のラヤルは、 虚偽の告発によってイスラエルの刑務所に収監されてしまう。
まるでパレスチナの縮図のような牢獄のなかで、身ごもっていた彼女はやがて子どもを産むが…。 (映画祭公式サイトより転記)
イスラエルの刑務所で出産したパレスチナ人女性の実話をモチーフにした物語。
最初は刑務所から何とか出ようと、夫ファリードの助言を求めまくる妻ラヤルなんですが(男性の助けがないと生きていけない弱っちい感じがにじみ出ている)、イスラエル人刑吏やイスラエル人の囚人達による執拗な嫌がらせを受けるにつれ、彼女は、たくましく、強くなっていきます。
この同室になるイスラエルの囚人達の粗っぽさはなかなかのもので、ホントにいわゆるゴロツキ。すごい偏見だけど、イスラエル人でもこんなヤツいるんや…という感じ。
今では無いらしいけど、以前はイスラエルの一般犯罪者とパレスチナの政治犯が同じ刑務所に収監されていたとのこと。
看守はイスラエルの囚人達と一緒になって、パレスチナ人を差別し、何かといえば挑発し喧嘩を売る。所長は特定のパレスチナ人の便宜を図る代わりに、スパイになることを要求する。
私の見方が悪かったのか、ラヤルは味方を一度は売っていたのか?それとも潔白だったのか?そこがよくわからなくて。最終的に真の裏切り者はラヤル以外にいたんだけど、えー、そうなの⁉︎という感じなんです。
ラヤルが文字通り強くなったのは、生まれてくる息子ヌールによるものだと思います。最初は夫の庇護なしには物事を決められなかった彼女は、自らが守るべきものが出来た時、殻を破ったんだと。
その強さが最初から彼女にあったら。
ストーリーにはなっていなかったかも。
けれど、彼女は刑務所内で、イスラエル人のヤク中の囚人を助けたことで、思想の相反する者に対する考えた方も変わり(それはお互いに)、また同胞でも急進的な考え方の者から、迎合型の者もいるということを学び、彼女は彼女の道を切り拓いていくんです。
ムショの経験がよかったなんてオチではないけれど、イスラム教徒の多くの女性がそうであるように、男性に頼るしかなかった彼女は、刑務所での経験で、自らの手を、頭を使い、生きて行くことを選んだんだなと思いました。
ラストには微かな希望もあって。
東京ではこれから劇場公開もあるようです。是非ご覧いただきたいです。
2018年37本目。イスラーム映画祭1本目。
元町映画館にて。
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