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NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR ツバメ編

多分ニコンオーナーはこのレンズをずっと待っていたのではないかと思う。かくいう自分も待っていた一人です。
どんなレンズが出来てくるのか・・・想像たくましく待っていたわけです。
Sラインでは出ないというのはニコンのアナウンスで分かっていたので200-500の後釜クラスだろうというのは想像できましたが、やはり期待しちゃうのです。

今はTAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2とソニー機用の150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD、FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS(SEL200600)を使っています。

長玉4本

撮り比べるとTAMRON SP 150-600mmとSEL200600だとボケ味、ピント、コントラストなど微妙な差でソニーSEL200600が優れていました。
収納サイズを見ると前玉が伸びるTAMRON SP 150-600mmが短くなって一回り小さなカメラバッグでも収まります。
ソニーのカメラの場合、TAMRON 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXDはサイズ感、重さピントの速さ、シャープネスなどバランスよく仕上げられていてSEL200600の600ミリまで必要がないときなどはこのレンズ一択でした。
残念なことにピントの送りがバリアブルだけでリニアモードがなく、マニュアルで飛ぶ鳥を撮るときに直感的な操作が出来ず戦線から脱落しました。
AFメインで少しだけマニュアルという使い方でしたらなかなか良いレンズだと思います。
右端はZ 400mm f/4.5 VR S。これはサイズ、画質どれをとってもよくできたレンズです。

曲者のバリアブルモード

このバリアブルモードというのはピントリングをゆっくり回すとピントの送りもゆっくりになり速く回すと送りもクイックになるというモードです。つまりこのくらい回せば何メートルにピントが合うという勘が使えないという厄介なモードで、せめてリニアモードに切り替えられればとても良いレンズなので今でも使っていたはず。
でも、動画だとピントリングを回してマニュアルフォーカスで撮ることが多くて後ろから前へをピントを送るときでもバリアブルだとピント送りの思うような緩急がつけられずとても困ったことになります。

さて、肝心のZ180-600です。

持った感じSEL200600とほぼ同じ。カメラとセットだとニコンはカメラがZ9とヘビー級なのでトータルでは重く感じます。画質はTAMRON SP 150-600mmよりもちょっと良いかな?ソニーのSEL200600と似たようなという感じで、単焦点のようにバリバリシャープではありません。
Z9につけて撮った印象はピントの速さはさすが純正だけあってかTAMRON SP 150-600mmより少し速いが、爆速ではない。必要十分に少し欠ける程度です。問題はピント精度でカメラでは被写体認識して追尾していますと表示されはしますがピン甘なことが結構ある(飛んでいるツバメを追いかけて撮っています)ジャスピンカットは結構少ない感じで、この辺はTAMRON SP 150-600mmと同じ感じです。

Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 当然ピントが来ているカットも撮れる

ちなみにZ 400mm f/4.5 VR Sはジャスピン率ははるかに高い。この辺は単焦点かズームかの違いなのでしょう。ファインダーを覗いた時のシャープさがそもそも違います。

Z 400mm f/4.5 VR S

まあ、この辺はお値段相応という事でしょう。
でも、このニコンブランドレンズが20万ちょっとで買えることにビックリで、バーゲンセールレンズではないでしょうか?


ピントリングか??コントロールリングか??

むむっ!ピントリングが無い?

初めて持った時にピントリングはどこじゃ?と思いました。
Zレンズはたいてい金属にローレット加工しているのはコントロールリングと相場は決まっています。
ズームリングは幅広で立派なリングになっていますが通常のピントリングが見当たらないのです。ローレット加工のリングを回すとピントが動く!ではないですか。いつからニコンはピントをコントロールリングに格下げしたのか??まったく意味不明です。そういえばTAMRON SP 150-600mmも、か細いリングがピントリングになっていて手持ちで鳥を追いつつピントを合わせるときなど思うようなトルクがかけられず不自由な思いをしてきました。

Z180-600の最大の欠点はこのピントリング!

このレンズを設計した人に言いたい。
「手持ちで半日マニュアルで撮影してください。指の皮がむけますよ!」
結構辛い・・・指が痛くなる・・・微妙なコントロールが出来なくなる・・・歩留まりが悪くなる・・・という負のスパイラルに落ち込むのです。
ピントリングは絞りを動かすコントロールリングじゃ代用できない。
プロを含めアマチュアをターゲットにしているメーカーなら許されるかもしれませんが大御所のニコンのすることじゃないです。当然ですがピントリングはズームリングより大切にしなきゃいけないものだと思います。
この辺の設計思想には正直がっかりしました。まだTAMRON SP 150-600mmの方がピント合わせはやり易いし、少なくとも指が痛くなるような事にはありません。
一方、ソニーのSEL200600はスムースで幅広なピントリングがついています。ズーム操作がしやすくピント操作もし易い。使う人の立場になって設計されています。

飛ぶツバメにピントを合わせるのはやはり難しい

なぜマニュアルにこだわるのかといえば、飛んでいる鳥を撮る場合、背景が込み入っていると背景にピントを持っていかれて、もう一度ピントを合わせている時間にチャンスを確実に逃すからです。
ファームアップで鳥モードがつきましたが飛んでいるツバメはai学習外だったようです。
動画ではAFではツバメを捉えきれないので、マニュアルフォーカスが基本です。
さらにフォーカスリミッターが2モードしかない点は辛かった。
ズームレンズなのでワイド時と望遠時とで使う距離レンジは違ってきます。望遠の時に♾️から6メートルだとほぼフルレンジになってしまい一度ピントを外すと大変な事になります。せめて♾️から10メートル前後にしていたらフォーカスリミットを使うメリットがあるのに残念です。
欲を言えばタムロン同様に♾️-10、10-1.3 、フルレンジの3モードであれば歩留まりが上がるはずです。

勿論2モードでもピントが来れば問題ありません。来ないなら距離を刻んだ方が歩留まりは良くなります。ソニー&タムロンは3モードです。撮るものの距離がおおよそ決まっている場合はAFの迷いが少なくなるので合焦時間が短くなり重宝します。
ちなみにZ 400mm f/4.5 VR Sも2モードですが、そこそこピントが来るので2モードでもOKです。

レンズファンクションボタンが一つしかない!

鳥の撮影をしている人は、AFで撮影していて背景にピントを持っていかれたときにレンズのファンクションボタンを押してプリセットされた距離に瞬時に戻して、もう一度ピントをとるということをしてる人は多いと思います。
普通はピントセットのボタン(L-Fn2)とピントコールボタン(L-Fn1)がセットになっているので、レンズの操作だけでピントのセットとコールが出来ます。
このレンズはファンクションボタンが一つ(L-Fn1)しかついていません。
ファンクションボタンをピントコールとして使うためにはカメラ側のファンクションボタンをピントセットにしないとダメってことです。貴重なファンクションボタンが一つ使えなくなるのは不自由ですね。
値段が値段だからファンクションボタンがついているだけでも感謝しなければいけません。

普通の使い方では問題ない?

そもそも、マニュアルでピントを合わせる人の割合はごく少数だろうし、ピントが合えばシャープだしズーム時にレンズが移動しないから前後バランスは崩れない。重さも値段を考えれば頑張ったと思うし、重箱の隅をつつくような事は言うべきではないのかもしれません。
100人いたら90人の人は満足するだろうし、何よりニコンブランドのレンズだからステータスもある。

これまで色々とレンズを使ってきたので、あと10万値段が上がっても、AF精度を良くして、機能面でもっと使いやすいレンズにしてほしかったというのが本音です。

600ミリ側だけを考えるのであればZ 600mm f/6.3 VR Sを使った方が幸せなのは確実です。

蛇足

FマウントのAF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VRのピントリングのフリクションは粘性のあるグリスでコントロールされているのではなく、紙に似た材質のフリクションでコントロールされていると聞いて腰を抜かしかけました。この時代のピントリングの操作性が悪いのはこれが原因ですね。ピントリングを微妙に回すとカクカクと突っかかるように動いてピントが飛びます。
サービスに頼んでギリギリまでフリクションの調整をしてもらってようやくスムースな動きになりました。社内規格を無視して作業をしてくれた現場の職人のひとに感謝です。
シグマは使う人の立場を徹底して考えるメーカーですから、そんな重要なパーツでの手抜きはしません。画質を含めサードパーティーのクオリティーに負けるようじゃ天下のニコンの名が泣きます。




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