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カメラって何でもよくね・・・というわけでもない事もある。(出来やすいこと出来にくいこと・Z9とα7S3の場合)

飛んでいるツバメ

この間「カメラって何でも良いんじゃない?」という記事を投稿しました。
でも、カメラにも出来やすいこと出来にくいことがあるんですというお話です。
今回は飛んでいるツバメを撮影する極めて特殊なケースです。動きがとても早いのでカメラをブンブン振り回します。それもオートフォーカスではなくてマニュアルフォーカスで撮影するという更に特殊な状況での話しなので、あまり参考にならないかもしれません。

どんなカメラかというとSony α7S3と後発機のNikon Z9との2機種についてです。
なんでこの機種なのかというとビデオ機能が充実していて4K120Pの撮影が出来るからです。(なぜα1じゃないの?と言われそうですが持っていないからです^^;。でも今回の比較の部分では7S3と同じ感じです。α9だともっと良い感じだった記憶があります)
それにしてもS3と比べてZ9のなんと大きい事よ!重さも倍くらいある。

ずいぶん昔のデジタル一眼D300に70-200のズームレンズでマニュアルフォーカスにて撮影

デジタル一眼は気持ちいい

話はそれますが、飛ものを撮る時には光学ファインダーのカメラは見たままが確認できてピントも合わせやすいので日中での撮影ではまだまだ現役バリバリで使いたいです。(フィルムカメラのオリンパスの一眼レフはファインダー像が大きく見えて良かったですね)

ミラーレスが優れている点はいくつかありますが、そのうちの一つがフォーカスピーキングが使える事です。ピーキングを頼りにピントの送りスピードの調整がし易く、また被写体が確認しにくくてピントがよくわからない時も使える写真を撮れることが出来る優れものの機能です。

マニュアルフォーカスで撮る

なぜマニュアルなのかと言うとツバメが飛んでいる背景が街中なのでオートフォーカスがほとんど効かないからです。今回はヒメアマツバメという鳥です。(文中ではツバメと書いていますが、厳密にはツバメの仲間ではなくアマツバメの仲間で種が違います)

ビル背景でツバメが飛ぶ

空抜けだとニコンでもソニーでもピントは合う。
ビルの背景でもソニーだと運が良ければピントが合う。
でもニコンだとファームウエア3.0でも、ほぼこない。
AFのエンジンの背景と被写体を分離する演算方法とかが違うのだろうけれど、これはそのカメラの性能と割り切るしかない。
つまり、うるさい背景で飛んでいる小さなツバメを撮影するにはマニュアルフォーカスで撮るしか選択肢がないと言うことになります。

ファインダーがパラパラ漫画じゃピントもくそもない

さて、両機種共にミラーレス一眼で液晶のビューファインダーです。
一昔前まではミラーレスで飛んでいる鳥を追いかけるのは難しく、ましてやマニュアルフォーカスで撮影するのは困難でした。何故かというと鳥を追いかけてカメラを素早く動かすとファインダーが歪んだパラパラ漫画になってファインダー像がよくわからなくなってしまうからです。ひどいときにはファインダー酔いをしてしまい気分が悪くなったりしました。
でも、7S3が出たときはファインダーのフレームレートが120fpsになって飛ぶツバメをちゃんとビューファインダーで確認できピントも合わせられるようになって感激したものです。動画も4K120Pをカメラ内記録も出来て、それは衝撃でした!

スペックだけじゃ性能は語れない

ではスペックを見てみましょう。


7S3
1.6cm (0.64型)電子式ビューファインダー 9,437,184ドット!
フレームレート STD 60fps / HI 120fps

Z9
1.27cm/0.5型電子ビューファインダー 約369万ドット
フレームレート STD 60fps / HI 120fps


2機種をスペックで見ると7S3の方が大きな画面でドットも細かくフレームレートが同じなのでよく見えるはずです。

ところが実際にファインダーを覗いてみると印象は違います。
動画では違いが少なくなりますが静止画を撮る時は全然違います。
これは実際に覗いてもらわないとわからないかもしれません。

フレームレートとブラックアウトフリー

フルスピードで横を飛んでいるツバメを追いかけるようなシーンでは7S3は写真を連写するとちょっとしたカクツキが出てしまいます。コマ送り状態がわかってしまいピントの確認はできますがストレスが残ります。カメラの振りスピードが速くなるとそれに比例してツバメは見えにくくなってしまいます。見た目はブラックアウトせずに見えていますが、実は連続撮影し撮影データをメモリカードへ転送しているときには、それまでに撮影した画像を繰り返しEVFに描画したり、同じ画像を描画したりしているようです。
動画でもフレームレートは120fpsなのですが、ツバメの動きに合わせて素早くカメラを振るとコマ送りっぽく見えてツバメを追いかけるの辛くなる時があります。決して追いかけられなくはないのですが光学ファインダーを基準にしてしまうと、やはりストレスが残ります。
ファインダー像のローリング歪みも無視できないほど大きくて長時間の撮影では画面酔いをしてしまう。(α9ではあまり感じません)
写真撮影も電子シャッターだと歪みがひどいのでメカシャッターを使ったほうが良いです。

ローリングゆがみでビルが斜めになってしまった(α7S3の電子シャッター)


一方、Z9はリアルブラックアウトフリーと謳っているだけにカクツキやコマ送り状態は最小限であたかも光学ファインダーのように見える。ローリング歪みも我慢ができる程度に収まっています。しかし、カクツキはあるので光学ファインダーと比べて見にくいことには変わりはありません。許容範囲かどうかというとギリギリ許容できるかな?という感じです。
スペック上はソニーが優っているのに実際の撮影では逆転するのが面白いですね。
スペックだけではカメラ性能は語れない良い例です。

Z9だとほとんど歪みがわからない

暗いとカメラを選ぶことが多い

撮影条件が悪くなればなるほどにファインダー像の出来具合は撮影の成否に直結してしまいます。
例えば方のマジックアワー後のように肉眼ではほとんどツバメが見えないような暗い時に、その違いは撮影できるか出来ないかという違いになってしまいます。

ビルの室内灯が明るく写る時間帯。小さなツバメは背景に溶け込んでとても見えにくい。


上の写真の時間では、光が足りず暗くて光学ファインダーのカメラではツバメが全く見えず、撮影を諦めざるを得ない。
しかし、良くできたエレクトリックビューファインダー(EVF)は光を増幅してくれてファインダー像はなんとかツバメの姿を映し出しす明るさで見ることが出来てピントを合わせつつ撮影を続けることが出来ます。明るさではα7S3でもZ9でも実際の景色よりも明るく見えるので撮影を続けることが出来ます。

肉眼では黒いツバメは全く見えない。こうなるとミラーレス一眼の独壇場です。

しかし、ファインダー像が少しでもコマ送り状態になってしまうと、かろうじてツバメは見えているがピントを合わせることが難しい。α7S3とZ9の、この少しの見え方の違いが大きな差になってしまうのです。

ですから、カメラは何でも良いというわけではない条件もあるのです。

なんともすごい時代になってきものです。

まとめ

もちろんこれはごく限られた条件下での話で、飛んでいる鳥は色々です。鷹とかカモ程度などの大きめの鳥だったらどちらでも楽勝です。

素早く正確な動きが要求される撮影では、カメラはなんでも良いわけではなく、もちろんレンズも素早い合焦速度やピントリングのスムースさ適切なギアレシオ、ピントピークの見易さとか求められる性能は飛躍的に上がります。
つまり、シビアな撮影になればなるほどカメラ機材は適材適所というのが正解になるようです。

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