普通

普通ってなんだろう。
長いこと私の中にある問いで、答えは人の数だけあるのだろう。

でも、普通は純然と世界に存在していて普通であることを求められる。普通がはっきりしたものではないのに。

子供のころから変わっているとよく言われた。
周りと同じように普通でいたくて努力するほど、普通から離れた。

ずっと、なんとなく浮いているのが私だ。
中高の頃にはそれが無性に悲しくて、怖くて、必死に普通を取り繕いもしたけど、無意味だった。

私はみんなと同じ普通になれなかった。

進学して和裁の専門に行くと、みんな変だった。変であることが普通で、普通の子は自然といなくなった。
専門では変わってることが普通で、普通は変だった。

普通と変は環境で入れ替わるのかと思ったら気が楽になって、好きに生きたら特別変わってると言われて浮いた。
それでもつまはじきにされず、受け止めてもらえたのはあそこではみんな変だったからだろう。

よく図太いと言われる私だが、かなり神経質で臆病だ。その割に大雑把だからいろんな人にお叱りを受けるのだけど。

周囲から浮き上がることに人一倍敏感で恐れているのに、普通になれないから辛かった。最初から変が普通の場所にいたら私はそれほど悩まなかったのだろうなと思ったり…

変と普通は紙一重で表裏一体。
基準が変われば反転する。
そんなものとわかってもできるだけ普通にしたいとは思うわけで……難しいですね。

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