「微粒子」の世界 ~Connecting the Dots~
今回は化学物理工学科のレンゴロ先生にインタビューしました。
植物から大気まで、先生の幅広い世界についてインタビューをしました。ぜひご覧ください!
<プロフィール>
お名前:Wuled Lenggoro(レンゴロ)先生
所属学科:化学物理工学科
研究室:レンゴロ研究室
研究者の道 ~偶然のその先に~
―先生は、どのような経緯で研究者になったのですか?
インドネシアの大学1年生の時に政府派遣で留学をする制度があり、その試験に合格し、たまたま日本にやってきました。そして、東京で日本語を学んだ後、広島大学が派遣先にあると言われ入学しました。自分の選択ではなく、全て命令で動いた18歳, 19歳でした。
―激動の18歳, 19歳ですね。
新たな場所で研究してみたいと思い、いくつかの公募に応募していたところ、最初に呼んで頂いた大学が農工大だったため、ご縁があって来ました。
―きっかけはすごく偶然だったんですね!
レンゴロ先生は、初めから研究者を視野に入れていた
わけではなかったのですか?
いえいえ。当初はインドネシアに戻って国の発展のために頑張ろうと考えていました。しかし、博士号を取得して帰ろうとした時にアジア金融危機が起きて国の状況が悪化したため帰国できる状況ではなくなり、助手(今の助教)として広島大学に残りました。
―大変な時代でしたね……
微粒子との出会い
―レンゴロ先生はどのような研究をしていたんですか?
私は修士までは高分子成形と固体力学を学んでいたのですが、指導教員が定年退職となったため、博士課程に進学して同じテーマで研究を続けることができなかったんです。その時、たまたま隣の研究室でいつもにこにこしていた教授が受け入れてくださいました。実は今やっている微粒子とかエアロゾルとかはその時隣の研究室に博士進学してからなんですよ。
―にこにこしているのは最高ですよね!
広島大学では、主に電池やLED用の材料をやっていました。ITとか電子材料ですね!しかし、農工大に来て方向転換しました。農工大について調べたところ、「農と工・・・どういうこと?!」となりました。私が今居るBASE棟(生物システム応用科学府)は、農と工とが融合した学府なんですよ!どのように貢献できるかを私なりに一生懸命考えました。そして、「環境」と「微粒子」というキーワードを探し出しました。またそれに関連して、今の研究テーマである「植物」なども決まりました。面白い。今でも面白い。超楽しい!!農工大に来てよかったなと思いました。
―めぐり合わせか何かでしょうか?!?!
「農」と「工」が合わさる奇跡
―レンゴロ先生は、研究内容がガラッと変わった中、研
究にのめり込み続けられた秘訣って何ですか?
やっぱり、「農」と「工」の面白さですね。「農」と「工」には、無限に近い組み合わせがあるんですよ!例えば、植物に入る栄養について考えるのは農学分野では当たり前だったけれども、じゃあ微粒子の視点ではどうかというテーマと出合いました。この研究は、日本ではうちでしかやっていないです。誰もやっていないんですよ!実は、微粒子を植物に入れてみると、植物の病気が治ったり、成長速度が上がったりといいことづくめです。
―植物に微粒子が関わっているのですか?!
興味深い研究ですね!
生物学と物理・化学を合わせるのは、楽しくてしょうがないです!というのも、予想がつかない。例えば、電池の充電・放電とかLEDは、材料合成時の投入エネルギーを上げればもっと光ったりするので分かりやすい。だけど、こういう植物の栄養分の輸送とかは訳がわからないんですよ!それに、エンジニアリング(工学)の私が入らせてもらうことは、もうね、わくわくしかない!
学生の皆さんに向けて本文
―今、学生の皆さんに向けて伝えたいことは何ですか?
農工大の「農」と「工」って二つではあるのですが、それぞれの中の組み合わせは様々で十分すぎるくらいに可能性があります。自由度を表す有名な式で、「エントロピー」に関する式があります。この式を学生生活で用いて考えることを教えたいです。大学生になると、高校の時と比べて自由になります。しかし、一日は24時間です。勉強・友達・サークル・家族などどれに何時間ずつ時間を使おうか迷うかもしれません。そんな時には、「エントロピー」の式で自分の自由度を計算してみるのも良いかもしれませんね!
―理系らしく数式を使って迷うのもいいかもですね!
迷うのはいい。自由になるために迷うのです。農工大は、日本の首都にあり、人が集まっています。このようにネットワーキングのチャンスが多い農工大で、皆さんの「エントロピー」を最大にできるように有効利用してほしいですね。
注釈
(注1)エントロピーとは、運動状態の不規則性を表す値だ。ここでは、学生生活の自由度に関する例えとして用いている。。
文章:にこらす
インタビュー日時:2022年10月23日
インタビュアー:にこらす
記事再編集日時:2023年07月11日
※授業の形式はインタビュー当時と変わっている場合があります。何卒ご了承ください。
※インタビューは感染症に配慮して行っております。