3分で花屋から出てきた
買いたい花が店頭にならんでいた。
お花を買うのが好きだ、育てるのは不得意。
トラデスカンチャ
フランネルフラワー
ブライダルシャワー
ベランダに並ぶ一重咲の地味な花たちを見ながら
わたしは焼肉をする。
かっこよく言うなら、コーヒーを嗜む。
日当たりの悪い我が家には到底ムリだろうと
わたしも実家にいる母も何度も断念したことのある
ブーゲンビリアがその日、花屋に並んでいた。
どうやら私の田舎の家には陽影の神様がいるらしく
車で10分の寒暖差も高低差もない母の実家から持ってくる
様々な花たちが枯れてゆく。
決して運気が悪いわけではない。
日当たりもいいのに、冷えるらしい。
東京の家も運気はいいのに日当たりが悪い。
そらーあんたの家もムリやろ。
と母は言っていた。
ただ、親子は似るもので
好きな花まで似ている。
ブーゲンビリア。これまた南国の花。
大都会のおっしゃれ〜な花屋さんに並ぶ
ブーゲンビリアはそれはそれはきれいだった。
鮮やかなピンクもいいけど、白がまたいい。
薄いピンクのまざった白。
地味さがまたいい。
人間は派手なくせに地味な花を選びたがる。
買うと決めてから、決めているのにまよう。
だって〜¥1800もするんだもん。
うまく育てられればいいけど。
大枚はたいたら頑張るんじゃないかと
願をかけて、いざ店内へ。
「おもてのブーゲンビリアください」
私にしては思い切った。
一日数時間でも太陽に浴びられれば
あとは屋外に置く場所があれば、という
やさしい花屋さんのお姉さん。
育てられる気しかしなくなってきた。
思い切って包んでもらう。
表で10分は悩んでいたのに入店1分で決断。
袋は¥10ですが、どうなさいますか?
これからこの鉢を抱えて電車に乗るわけにいかない
1800円のはずが、1980円になり1990円になる。
税金も袋代もたいしたもんだわ。
2000円近く払ったら大切にするだろう
観察日記をつけよう。
大満足でブーゲンビリアを抱え
ベランダのレイアウトを考える。
こんな色めずらしいなぁ、と電車の中でも
¥10の袋のなかのブーゲンビリアに釘付け。
駅を降りると我が町の花屋さんがあった。
商店街の廃れた花屋さん。
大事に大事に右手に袋をさげたわたしの視界に
大好きなお花が!
それはそれは見事なブーゲンビリア。
しかも特売 ¥800!!!!!
花の数も明らかにおおい。
白もあるしピンクもある。
恋焦がれたうすいピンク。
………。
下町の商店街の底力を見せつけられたぁぁああ。
税込880円、家から3分、袋要らず。
わたしのブーゲンビリアの方が長持ちするはず。
せんえんも高かったんだし…。
鉢は緑でかわいいし…。
花の数が少ないのは、これから咲くと信じて
蕾のない枝を見つめ続けてみる。
観察日記のつけ甲斐がある。