三十九帖「夕霧」角田訳源氏(嫌われまくるお坊っちゃま)
ちょっと間が空いて「夕霧」です。勿論、葵の上と源氏の子です。親父はあちこちでご無体をしてましたが、息子はいたって真面目。奥さんの雲居雁一筋。あ、惟光の娘、藤典侍の二筋。雲居雁と藤典侍は身分差があるんで、雲居雁も目くじら立てることなく暮らしているようです。子供もいっぱいできてて、雲居雁が七人。藤典侍が五人、合計十二人。自分には子が少ないとか言ってる親父とは大違いです。源氏も、息子は俺と違って身持ちが固い、とかいっちゃって。
でもね、こういう奴がヤバいんです。遊び方を知らないんで、浮気が本気になっちゃって家庭崩壊。はい、夕霧家も崩壊まっしぐらです。
お相手は親友柏木の奥さん皇女落葉宮。柏木が亡くなったのをいいことに、宮のとこに入り浸り。宮の母上一条御息所は、親友故の気遣いと思ってましたが、違います。で、夕霧は宮に言いよるんですが、これまた徹底的に嫌われる。そうこうするうち、御息所にそれがバレ、御息所は夕霧に真相をただすよな手紙を出します。したところ、文は雲居雁に取り上げられて、夕霧アタフタ。宮との関係を信じて疑わない御息所は、文まで出したのに夕霧は来ない。こりゃ娘が遊ばれてるに違いないと、思い悩んで病がこうじて死んじゃいます。
それで反省して大人しくなるかと思いきや、訪ねる理由ができたとばかり、夕霧はまた宮んとこ行って、また嫌われます。とうとう、宮を小野から一条院に移してまで、思いを遂げようとします。こうなると世間にはバレバレ、しかし夕霧は亡き御息所から娘をよろしくと頼まれたと嘘まで言って抗弁します。そして、依然、何言おうと、宮には徹底的に嫌われます。オマケに本妻の雲居雁は怒り心頭で、アタクシ実家に帰らせていただきます、て出ていっちゃうんですね。
なんちゅうか、夕霧はダメ! 宮をくどくにも、何で分かってくんないんですか、もうこうなる運命なんです、てそればっか。余裕がない。源氏みたいにロマンチックな言葉もない。強引さもない。ひたすらグズグズネチネチグダグダ言ってるだけ。おぼっちゃま君の悪いとこ出てます。
読んだんですけど、「夕霧」けっこう長い。読みながら、もー勘弁してくれー! お前、魅力ゼロなんじゃあ!と幾度心で叫んだことでしょう。さてさて、どうなる夕霧。どうなってもいいや。
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