ルパン三世
シリーズ何作まであるのだろう。勿論、ここで言及するのは、第一シリーズである。
大人のアニメであった。ダンディズム感満載で、とにかくカッコいい。泥棒が主人公という背徳感、アウトロー感も全編に漂っていた。特にシリーズ前半がそうであった。人気が出なかったので、後半から宮崎駿が参戦し、トーンが微妙に変わっていく。まあ、これはこれでいいのだが。
第一話は競技中、レーシングカーが入れ替わるトリックが使われる。トリック自体は、ありふれたもので、映画やドラマでたまに見る。ただし、これはパクリではない。アイデアはパクリではないのだ。んなこと言ったら、推理小説なんて書けしません。ていうか、今語られる物語は、過去誰かが必ず書いてるのである。物語には元型がある。だから堂々としてればいい。ただ書き方、描き方、設定を真似てはいけない。これを真似るとパクリ、盗作となる。第一話は物語元型を使いながら、その切り口、語り口が秀逸であった。
音楽も素晴らしい。そのオープニングソングは、「宇宙戦艦ヤマト」と並んで、中学校吹奏楽部が必ずやる演目である。が、私はここで敢えてエンディングソングを推したい。なんちゅう大人な歌! またバイクに乗るのが峰不二子ていうのもいい。「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングソングと並んで、私はアニメ二大バラードだと思っている。
峰不二子は第一話で敵に捕まえられ、手術台みたいなとこに縛り付けられ、コチョコチョくすぐられるのだが、これがものすごくエッチであった。けしからん!
いろいろ魅力的であったのだが、残念なことに、シリーズが重なるにつれ、ルパンの無敵感が強まり、物語自体が弱りマンネリ化していく。ルパンは何しても捕まらないのである。物語の切れ味も鈍くなり、何かと言えば、実はルパンの変装でしたあ!みたいなオチになる。次元と五右衛門は圧倒的に強く、勝つか負けるかのドキドキ感はなくなった。演出もワンパターンになっていき、絵も簡素化されて、量産型アニメとなっていく。
「漫画アクション」に連載されていた「ルパン三世」は、バタ臭いアメコミ風の漫画で、それまでの誰とも画風が似てなかった。一見汚いとすら見えたその絵は、猥雑なだけ、余計魅力的でパワフルだった。
この前、イタリアかどっか向けにひとシリーズ作られた。予告編を見たが、匂いが第一作に似て好ましく思った。ただ、これは日本では流行らないだろうな、とも思った。大衆的になることは、作品の棘をなくすことだ。すっかり大衆化したルパンは、もう後戻りできない。現に今本屋でモンキーパンチの描いた漫画は手に入らない。売っているのは、モンキーパンチ原作と銘打った、アニメ風のツルツルした絵柄のルパンだけである。