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【日本歌謡名曲集66】氷川きよし・白雲の城

二年ぶりに、氷川きよしが紅白で歌った。驚いた。こんな歌があったとは。紅白は近年真面目に見てないので、過去に氷川きよしがこの歌ったのかもしれないが、それは聞いてない。今回が初であった。しかも、年明けに聞いた。老母が大晦日でも10時に寝てしまうので、私も寝ざるをえないからである。年が明けて、何気なく紅白のアーカイブを見て、この曲を見た、聞いた。
過去に三橋美智也の「古城」という名曲があった。私は、幼少のみぎり、羽織袴でその曲を舞った。小学校に上がる前なのに、小学校の体育館で、地域の老若男女を前にして踊りきり、歓声を受けた。名曲であった。
「白雲の古城」を聞いて、まざまざとあの日が思い出された。「古城」を舞った翌日、駄菓子屋に行くと、駄菓子屋のババアが、「お前は古城を舞った餓鬼か」と訊いてきた。そうだ、と答えると、お代をただにしてもらえた。芸能の力を得心した日であった。あのままあの町にいたなら、私はどんな幸福な人生を歩めたであろう。そんなことを思い出した。
だが、実際は、その後半年もしないうちに、父の仕事の関係で他の地へ転居せねばならなかった。
それ以降、「古城」は、長く忘れていた。体育館で、特にジジババが喝采した自分を忘れていた。
それが、氷川きよしの歌で思い出した。
あの日、私は町内のジジババの視線を一身に浴びて、幸せであった。うん十年後、「白雲の城」が聞けて、私は幸せであった。

氷川きよしは本物である。

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