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一歩前進・失敗は学びの源|2022壱岐商業高校×とびゼミコラボ授業②

あっという間に1週間が経過した。早い。

さて、今日は火曜日。朝一番で九州大学伊都キャンパスへ行き、その後13:30までに熊本へ辿り着き、コラボ授業2コマと大学院講義2コマを行う日。今は帰りの新幹線で書いているがぐったり。

忘れないうちに今回の授業の記録をしておこう。あくまでも備忘録。甘い文章ですがお許しください。

授業開始まで:焦燥感がある中でどこまでやるのか

前回の模様は下記の通り。終了後、学生たちは納得できる授業を提供できずに悔しい思いをしていた。

それが今回になってどうなるか。前回のこともあるし、寝不足、焦り、プレッシャー。ハタチそこそこの経験としては負担が大きい。無理してるし、無茶してるし、追い込みすぎだという人もいるかもしれない。

が、成長を促すためには多少のストレッチ経験が必要なのも事実。ここで手を出すのも望まないし、彼らなりに進めたい方向性があるだろうからと何も言わずにいた(ダメ教員)。講義カリキュラムの方向性だけ与えて。

ある日、学生から相談。上記にような状況に対する問い。私はそれまでのチームマネジメント、段取りなどの話をしつつ、課題を抽出せずに十分な改善ができていない中では効率は上がらないという話をした。また、授業をするにしても100%の状態にしたいのはわかるが、それは誰にとっての100%なのか。生徒なのか、自分自身なのか。冷静になってこのプロジェクトを進めている意義を考えようと伝えた。

その前夜、彼らが進めている今回の授業準備の様子(作業フォルダ)を覗いた。資料が共有されている。すると段取りを作り、期日を設定し、誰がどの作業を進め、当日授業はどう組み立てるかという仕様書までできあがっていた。1つ1つを準備するには相応な時間を必要とするだろうが、前回のふりかえりを活かし、しっかり修正してきている。新メンバーを迎え、中で起きていた混乱が少しずつ収まる感じ。

あとは少しレベル高めで設定した授業内容が高校生にどう刺さるか。そこに絞られた。

第2回授業がスタート:組織?個人?チーム?チーミング???

今回の講義テーマは大きく分けて2つ。組織とチーミング。予定では50分のコマごとに練りに練ったグループワークが作られている。

1コマ目。前回授業のふりかえりから組織をテーマにした授業。「一歩踏み出す勇気」のアントレプレナーシップと「協働して課題に取り組み、課題解決を図る」コレクティブ・ジーニアスのふりかえりをして、予定していたワークショップが進む。

ワークショップは、上記の2つの概念をふりかえり、組織的な活動をするとはどういうことか、リーダーシップとフォロワーシップをグループ内で発揮できずにアイデア出しの中で議論がまとまらないことを期待したものだった。つまり、失敗を期待したワーク。

しかし、議論に慣れてる高校生たちは思い通りに動かない。リーダーシップを取ってある生徒がテキパキと議論をまとめていく。結果、それなりにまとまった議論から結論めいたものが発表された。

今回の授業の様子

2コマ目はチーミングがテーマ。ここ数年で聞かれるようになった心理的安全性に注目した研究者エドモンドソンが提示した言葉だ。詳しくは下記のTEDから。

現代にでは、固定的な組織で働く、目的実現を図るだけでなく、医療チームに代表されるような即興的に組成され、それでいながら短期間で成果実現を期待されるようなチームが多くなり、単に静態的に学習しましょうではなく、環境や状況に適応し、学習しながら目的を実現する組織や個人のあり方が考えられている。

よく考えた上で新ネタをブッ込む勇気ある学生たち。
長年教壇に立つが、新ネタはいつも緊張するのに(笑)

こうしたフレームワークは2021年度最後の授業でゼミ10期(現3年)生に講義し、これに先立って行った2022年度最初の授業でも説明した。これをさっそく授業に取り入れ、高校生に理解を促すという算段だった。

2コマ目スタート。予定通り説明が進む。特段問題はない。グループワークの提示。無事に進む。前回にできていなかった役割分担での作業が多少の間が開きつつも、焦らず、フォローを入れながら進んでいく(ここの臨機応変さはもう少しあって欲しいところ)。

しかし、ワーク後のプレゼンを聞くと「?」となる。グループワークは、ブレイクアウト・ルームに分かれていたので実際に見ていたわけではないが、どうもうまく行っている感じがしない。

なぜか。(学生が期待していたような)チームにはなっていない。そもそも前回に比して内容多め、専門用語頻発、ハンドアウトは意図的になし(メモする習慣があったかどうか)とレベルを上げたこともあり、高校生も不安げにワークをしていたそうだ。課題を達成するために、今回もある程度リーダーシップのある生徒が中心になってしまい、別テーマのワークを同じようにやっていただけのようになってしまったとは学生の弁。重層的にテーマを絡めさせてはいたけれども、その意図が十分に伝わらずに課題を表面的にだけ捉えられてしまったようだ。

この点については学生も鋭く感じ取っていて、当初想定していたようなワークにならなかったとふりかえっていた。これまで言い続けてきたアントレプレナーシップとコレクティブ・ジーニアスに比べれば、学生もチーミングという概念を腑に落とせてないだろう。ただこの第1フェーズはプロジェクトを支える基本的な概念のインプットに重きを置く時期。それゆえ、丁寧に説明してじっくり理解を浸透させることが重要。

その点で言えば、授業設計の甘さが出たと言えるし、もっとできたことはあったとも言える。この辺りは学生側と生徒側のチューニングが必要なところで、学生側の練度、生徒の理解度の把握が進まないとどうしようもない部分でもある。願わくは1回の授業で消化不良なく理解ができると良いが、まだそこまでは望めないし、望まない。

授業終了後のふりかえり

授業終了後にすぐふりかえり。

今回も想定通り行かないところはあったが、授業としては成立したという手応えもあったようで、一様にホッとした顔をしていたように見えた。上記にあるような課題はあるものの、初めて進めている授業としては上出来。授業準備はまだまだ苦労するだろうが、前回も今回も申し分ない。前回は初回の緊張と焦り、今回は新テーマとそれに伴う講義内容やワークの仕掛けが不十分だったというもの。原因を分析して次に繋げられているので十分OK。素晴らしい。

ただ、遠隔なのもあって、高校生とのコミュニケーションが不十分なので、これをどう埋めていくかをもう少し考えていかねばならない。幸い、高校生は授業の開始と最後ににこやかに手を振ってくれるし、「声聞こえますか?」という投げかけにも積極的に反応してくれている。こちら側に余裕が出てくれば、もっとコミュニケーションは円滑になる。

ずる賢いように聞こえるかもしれないが、学生たちはようやく頭が整理されたからなのか、20数週間の授業があり、仮説検証を繰り返す中で少しずつアジャストしていけば良いのだからと良い意味での割り切りもできて、無事に授業は終了した。

たった1回でここまで修正できた。自信を持とう。

そして、来週は(高校生が想像もつかないだろうフリーランスという)面白い働き方をしているきむ兄にご登場頂く。また、1コマはこれまでの授業内容の復習を行う。

ただ、(こんなことをここで書くと怒られるが)組織やチーミングとフリーランスの話をどう結び付けんねん(笑)。分かってて書いてるんだけど。ただでさえ混乱しているところに劇薬をぶち込むは誰の影響か知らんが(笑)、復習の時間で補助線をしっかりと引いてあげて、ここから始まる理念、戦略、マーケティング、事業計画策定の回に繋げたいところ。ここが終わればGWで2週間授業はない。これで少しは余裕が出るでしょう。

一生懸命やってるからこそ120%を目指しちゃうし、「ストレッチ」という言葉に反応しちゃう。けど、常に100%出せるほど成熟していないのだから、最初は60%でも徐々にその精度を上げればいい。60を65にするだけでも大変だし、それでも十分な「ストレッチ」なんだよね。自分たちの持つ力を信じて欲しいし、その力を少しずつ伸ばすための取り組みをしているので、「作業が進まない、準備が進まない」の前に焦らずここまで学んできたことをプロジェクトに落とし込めれば良い。

高校生を鏡に大学生自身が気づきを得る。それを見ながら自身の現在地を確認する。

少しはこれで気持ちを楽に持ってくれるといいなぁ。期待以上の授業をしてくれています。ほんとに。

そして、今の展開は3年前に福岡女子商業高校(女子商)で授業を始めた頃を思い出します。たまたま出てきたゼミ6期OBあいでんのふりかえり記事。ぜひ彼が書いた記事を読んで、初期のコラボ授業と今突き当たっている課題が似ていること、そういう積み重ねにこのプロジェクトがあることを知ってもらえると良いかも知れません(この記事を読むと昔はもっと言ってたなぁと思うのです)。

と学生のことばかり書きましたが、最後に改めてお礼を。

現地でサポートしてくださっている壱岐商業高校の先生方にも大変協力を頂いている。教室を分けて欲しいと言えば分けてくださり、調査をお願いすればご回答頂き、生徒に予習動画をと言えばキッチリ指示して頂いている。本当に感謝しています。まだ2回ですが、引き続きサポートをお願いします。

次回は4/26(火)。ここが終われば第1セッションが終了。GW明けに1回壱岐に行かねばなりませんな。行けるんやろか(笑)これに加えて、6月からの某私立高校でのプロジェクト準備も始まる。GW明けにはいよいよ本格的な打ち合わせがスタート。ここは彼らではなく、4年生の力をうまく使いたいところ。果たしてどんな感じになるのでしょうか。

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