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労働分配率を計算して人件費を適正化

経営者であれば、従業員の給与をいくらにすべきかは常に考えなければならない事柄の一つです。従業員の立場からは、高い給与が望ましいですが、給与水準が高すぎることで会社の財務状況が悪化し、倒産してしまっては意味がありません。反対に、給与水準が低すぎれば、その会社で継続して働こうという気持ちがなくなってしまいます。

このように、適正な人件費を決めるのはかなり難しい問題です。そんなときに役立つ「労働分配率」という指標について説明したいと思います。

労働分配率とは

労働分配率の計算には「付加価値」という指標を用います。しかし、付加価値というものは決算書には直接記載されていません。一般的には、売上高から、その売上高を得るために直接要した費用(変動費)を引いたものが付加価値となります。会社によっては、付加価値は損益計算書における「売上総利益」と同じになることもあります。

労働分配率(%)=人件費÷付加価値

細かい計算は、顧問税理士の方にお願いしてみてください。ここでは労働分配率とは、会社の儲けからどの程度の人件費を支払ったかを表すものと覚えておいてください。

労働分配率が上昇している場合

労働分配率を過去3年分計算し、比較してみてください。もし労働分配率が上昇しているのであれば、人件費が会社の利益を圧迫している可能性があります。

労働分配率が上昇するということは、会社の儲けから人件費として払う割合が増加しているということです。特殊な事情がなければ人件費は急に増えることはありません。そうすると、労働分配率の上昇とは付加価値の減少であり、言い換えると売上総利益が減少を意味することが多いのです。

高すぎる労働分配率を下げるには次の3つの方法があります。
①売上高を増加させる
②利益率を増加させる
③人件費を減少させる

このうち、売上高を増加させるのは運転資金のショートを起こすことがあるので注意が必要です。また、人件費を減少させるというのも容易に実行できることではありません。となると、労働分配率を下げて適正化するには、利益率を増加させることが基本的な対策となります。

労働分配率が減少している場合

反対に、過去3期において労働分配率が減少している場合はどのように考えれば良いでしょうか?

会社の付加価値が上がることで労働分配率が減少しているのは会社にとっては望ましいことではありますが、従業員にとってはせっかく会社のために頑張ったのに、その見返りがなかったことになります。そのため、労働分配率が低すぎる水準になっているときは、従業員の労働環境が適切なものであるかを検討する必要があります。

終わりに

労働分配率をチェックしていくことで、自社の人件費が適正なものであるかの判断を行うことができます。ぜひ、経営判断の材料の一つとして、労働分配率という指標を活用いただければと思います。

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