【書評】リーダーの禅語──人を動かす5つの力、50の言葉/枡野俊明/三笠書房
リーダーの禅語──人を動かす5つの力、50の言葉/枡野俊明/三笠書房
自分自身チームのキャプテンを任されるようになって、今まで感じたことのないようなたくさんの悩みを感じていた時に、ビジネスの現場でリーダーが禅語を学んでいるということを知り、この本を手に取った。
著者の枡野俊明(ますのしゅんみょう)さんは、住職でありながら、庭園デザイナー。国内外で大学の教授も務め、禅の素晴らしさを世界にも広める、禅の伝道者である。
本の中では、リーダーが身につけるべき力を5つに集約し、それらを身につけるためのヒントとなる禅語が紹介されている。
5つの力
・風格ー世の中に、部下に、恥じない生き方ができるか
・育成力ー部下に何を伝え、組織をどう導くか
・平常心ー「予期せぬことに」にどれだけ強くなれるか
・行動力ーチャンスをつかむ「準備」はできているか
・信頼力ー人を惹きつける「実力」と「魅力」はあるか
それぞれ、自分の心に残った禅語を紹介する。
~風格から~
「一翳在眼、空華乱墜」(いちえいまなこにあれば、くうげらんついす)
これは、目にかすかなチリが入っただけで、幻の華が宙を舞って崩れ落ちちゃう、という意味で、どういうことかというと、
うまくいっている時ほど、魔が差す危険は大きいから、あんまり調子に乗るなよってこと。
欲にまみれて、煩悩に埋め尽くされてしまわぬように、自分を強く持つべし。良い時こそ、自分に「調子に乗んな」って言い聞かせよう。
~育成力から~
「喜捨」(きしゃ)
これは、文字の通り、喜んで捨てるという意味で、どういうことかというと、
与えた恩は喜んで捨てる。何事も見返りを求めてはいけないということ。
「受けた恩は石に刻み、与えた恩は水に流す」という精神。そんな人に魅力を感じるし、かっこいい。そうなりたいと思った。
~平常心から~
「八風吹不動」(八風吹けども動ぜず)
心を動揺させる状況を仏教では八風という。得した時、うまくいかない時、悪口を言われた時、名誉を与えられた時、称えられる時、非難された時、苦しい時、楽しい時。
この言葉は、リーダーたるもの、どんな時でも動じるなよってことである。。風が吹いてる時も、しっかり受け止める。自分の信じるところに従って、行動する。簡単なように思えるけど、八風を感知する習慣をつけていかないとな。
~行動力から~
「昨日今日不同」(さくじつこんにちとおなじからず)
文字の通り、昨日と今日は違うよってこと。
つまり、一見同じように思えることでも、昨日感じたことと今日感じることは違うはず。もし同じだったら自分は成長していないということである、という意味のよう。
だから、毎日1パーセントでも良いから成長すること。昨日よりも成長したと思える今日を過ごすことが大事なのですね。
~信頼力から~
「不戯論」(ふけろん)
これは、自分がこの本を読んで一番グサリと響いた言葉かもしれない。
戯論とは、無益な言い争いや、くだらないタワゴト。つまり、不戯論とは、自分の思いに任せてくだらないことをゴタゴタ言うなということである。リーダーたるもの、自らの言葉の影響力の大きさを考えて、口を慎みなさいよという意味である。
自分自身、普段から、立場をわきまえずに戯論を言うことが多い。きっとそのたびに、聞いている人に影響を与えてしまっていたのだなと思うと、恥ずかしい気持ちになった。口にする前に頭で考える。チームを形成していく上で、コミュニケーションを図っていく上で、とても大事なことだ。
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上記以外にも、紹介されていた禅語は心に響くものばかりで、自分がこれからどんな立場になったとしても必要なものの考え方が多くあった。
また、以前読んだ、見城徹や田中角栄にもみられた、「謙虚な気持ち、相手を思いやる気持ち」の大切さも改めて感じた。
これからも禅語を学んでいきたいと思う。