2024年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10
僕がライターの活動を始めたのが、今から6年前の2018年。その年から、一年の終わりに「僕の心を震わせた〜ベスト10」と題した「邦楽」「映画」の年間ランキングを発表し始め、また、2019年からは「洋楽」を加えた3つのランキングを発表し続けている。7年目を迎える2024年の年間ランキングは、約半年後のタイミングで公開したいと思う。
今回は、昨年に続き「邦楽」のみ、中間報告という形で上半期のベスト10を紹介していく。2024年の上半期も、本当にたくさんの素晴らしい楽曲との出会いがあった。今回も例年と同じように、日本の音楽シーン全体の動きを俯瞰&網羅することは諦め、僕自身が特に強く心を動かされた10曲をセレクトした。便宜上、順位を付けてはいるが、これも例年と同様、どの曲も、自分の中で優劣を付けるのが不可能なほどに思い入れの深いものとなった。
約半年後に発表する2024年の年間ランキングには、新たに下半期に出会う楽曲がランクインしてくるはずなので、その時にはランキングの並びが変わっているかもしれないけれど、今回は上半期の記録として、僕自身が特に強く心を動かされた10曲についてしっかりと書き記しておきたい。
この記事が、あなたが新しいアーティストや楽曲と出会うきっかけ、または、興味や理解を深めるきっかけになったら嬉しいです。
【10位】
sanetii 「フォーエバートゥエンティーンズ」
ライターの仕事をしていると、いろいろな方から新進気鋭のアーティストを紹介して頂く機会が多くて、とてもライター冥利に尽きる。その中でも、近年、個人的に特にビビッときたのが、2000年生まれのシンガーソングライター・sanetii。(サネッティと読む。)僕が彼の存在を知ったのは昨年末。そのすぐ後にリリースされたこの曲を聴いて、めちゃくちゃ痺れたし、同時に、これから彼が大きなブレイクスルーを次々と重ねていく未来が来ることを確信した。熱きロックサウンドに滲む肉体性。ボカロサウンドのクールな快楽性。その両方を大胆不敵にミックスさせたかのような同曲を聴いて、WurtSやPEOPLE 1の音楽が広く受け入れられている現行の日本のロックシーンの流れにバシッとはまる予感がした。何より、その燦然たるロックアンセムとしての輝きに否応もなく胸が高鳴った。刹那と永遠。はじまりと終わり。まだ見ぬ未来への諦念と希望。この曲はまさに、それぞれの狭間を鮮やかに疾走していく青春のロックアンセムで、同曲がライブハウスやロックフェスの会場を熱狂させる光景がはっきりとイメージできる。"ハローニューエンド"をはじめとした他の曲もどれも素晴らしくて、今はまだ少しずつ認知と支持を広げているフェーズではあるけれど、そろそろ何かのきっかけで大ブレイクするはず。要注目。
【9位】
菅田将暉 「谺する」
菅田将暉がソロのミュージシャンとしてデビューシングルをリリースしたのが、今から約7年前の2017年6月。その翌年の春にリリースされた1stアルバム『PLAY』には、彼が作詞作曲に携わった(もしくは、一人で両方を手掛けた)楽曲が多数収録されていて、自らのありのままの心情をそのまま曝け出すようなストレートな作風に強く惹かれた。そして何より、誠実で、愚直で、まっすぐな彼の表現姿勢に触れて、菅田将暉が歌い届けるロックへの信頼と期待が一気に高まったのをよく覚えている。あれから何年も経った今思うのは、ミュージシャンとしての菅田将暉は、とても理想的な進化を重ね続けている、ということ。先日リリースされた3rdアルバム『SPIN』は、まさに、現時点における堂々たる集大成の一作。Vaundy、東京スカパラダイスオーケストラ、牧達弥(go!go!vanillas)、佐藤千亜妃、甫木元空(Bialystocks)からの提供曲が並ぶ前半は言うまでもなく、自身が作詞作曲に携わった曲が続く後半の展開も素晴らしい。彼自身の人間味、感性、美学を今まで以上に色濃く映し出した楽曲が並んでいて、特に、"谺する"が放つ剥き出しのロックバイブスにはとても痺れた。彼は今、ミュージシャンとして何度目かの覚醒の季節を迎えていて、音楽を、そしてリスナーのことを信じて己を曝け出す度合いが今まで以上に増しているように感じる。「人間・菅田将暉劇場」は、ここからもっと面白くなると思う。
【8位】
jo0ji 「ランタン」
年明け、Spotifyが2024年に躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR: Early Noise 2024」の一組として選出されたこともあり、今年に入ってから、jo0ji(ジョージと読む)という名前や彼の楽曲に触れたことがある人が少しずつ増え始めているのではないかと思う。僕自身、昨年から彼の存在が音楽業界関係者の中で大きな話題となっていたのは知っていたし、何より、名刺代わりの一曲”不屈に花”を初めて聴いた時は、あまりにも凄まじい才能が突如として現れたことに驚いた。(さらに、2月に公開された”escaper”のミュージックビデオに成田凌が出演していてさらに驚かされた。彼がjo0jiの音楽を聴いているという情報を受け、ダメ元で出演オファーをしたら引き受けてくれたとのこと。)そして今年の春、初めてライブパフォーマンスを観て彼の真価に触れ、この才能は本物だと確信した。僕が特に深く惹かれたのが、1月にリリースされた”ランタン”。まるで童謡のように広く開かれた親密な歌のメロディ。壮大な音の海をたおやかに泳ぐかのような彼の歌が伝えるのは、理不尽に満ちた人生、いつ誰が何で命を落とすか分からない悲痛な現実の中で、今この瞬間に目の前に《貴方》が生きているという奇跡、そのあまりにも眩い煌めきだ。その達観した死生観、人生観をポップソングへと鮮やかに昇華させる彼の手腕には本当に驚かされる。きっとすぐに、ジャンルやシーン、世代を超えて、幅広く支持される存在になっていくと思う。
【7位】
ちゃくら 「まるで駄目な女子高生はバンドマンになった」
今年に入ってから立て続けに彼女たちのライブを観る機会があり、その中で改めて確信したことがある。ちゃくらは、「言葉」のバンドである。ワキタルルが綴った「言葉」の力を、サクラの歌声と4人のバンドサウンドを通して最大限に解き放つことに徹し、そして、その「言葉」の力が、リスナー・観客の救いになり得ることを深く信じ抜いているバンドである。その揺るがぬ信念があるからこそ、ステージに立つ4人(現在、葉弥が一時的に活動を休止中)には一切の迷いがないし、そのまっすぐさ、ひたむきさが、そのまま彼女たちのライブバンドとしての強さへと直結している。ライブを観るたびに本当に凄いバンドだと思いながら、同時に、”まるで駄目な女子高生はバンドマンになった”のロックアンセムとしての輝きがステージを重ねるごとに増していて本当に驚かされる。この曲は、そのタイトルのとおり彼女たちの「エピソード0」を描いたナンバーであり、その中には《言葉が君と生きる》という4人の信念のパンチラインが光っている。まさに、ちゃくらの表現の核心を凝縮した渾身のロックアンセムだと思う。この曲の中で《2024年私は私を嫌いなまま ひねくれた心だけが歳をとる 何になれる?何になれる? 私は何になれる? 何にもなれない、私何にもなれない》と歌う彼女たちが、これから先の未来にどのような存在証明を刻んでいくのか。引き続き、追いかけていきたい。
【6位】
ano 「YOU&愛Heaven」
これまで何度もライブを観てきた中で思うのは、anoの中で「歌を歌う理由」「ステージに立ち続ける理由」が、ライブを重ねるごとに揺るぎないものになっている、ということ。特に忘れられないのが、今年2月のZepp Haneda公演。世の中の不条理に飲み込まれたくない。誠実に生きている人たちが報われない、そんな世界は嫌だ。時として、自分自身もそんな世の中に負けそうになったり、気持ちが揺らいでしまいそうになることもある。それでも、「僕は僕のままで」、目の前のファンのために歌を歌い続ける。それこそが、自分なりの誠意である。そう真摯に伝えたanoは、「みんなが崖から落ちそうな時は、僕を見つけてほしい。いつでも待ってます。」と告げ、自らが作詞作曲を手掛けた”YOU&愛Heaven”を披露した。この曲は、2023年8月29日、X(Twitter)に、「こころが終わりそうだったので一曲作った」という言葉を添えて投稿した弾き語り曲が正式に音源化されたもの。(今でもその投稿は、彼女のXのタイムラインのトップに固定されている。)anoは、多くのリスナー・観客と同じように、日々生きづらさを抱えながら、時に傷を負いながら生きている。そうした日々の中においても、彼女は「僕は僕のままで闘う」という揺るがぬスタンスを懸命に貫き続けている。その姿は、たくさんの不条理に満ちた現実を生きる私たち一人ひとりにとって、あまりにも眩い希望、そして救いになる。この世に不条理が蔓延り続ける限り、これからもロックヒーロー・anoの音楽を通した闘いは続いていく。
【5位】
go!go!vanillas 「SHAKE」
絶え間なく様相が変化し続ける群雄割拠のロックシーンの中で、決してシーンのトレンドに惑わされることなく、ガレージロックやアイリッシュパンクをはじめとした自分たちのルーツミュージックへの深い愛を滲ませた独自のロックンロールを鳴らし続ける。それがバニラズ流のストロングスタイルであり、今となってはイメージしにくい人も多いかもしれないが、彼らはこれまでの約10年間、ずっとロックシーンの中で異端な存在であり続けてきた。もしかしたら、それは今も変わらないのかもしれない。今もなお彼らは、好きな音を、好きなように、好きな仲間たちと鳴らす、というスタンスをまっすぐに貫き続けていて、その結果、今のバニラズは何度目かの覚醒の季節に突入している。”SHAKE”を聴いて、驚いた。そして確信した。メジャーデビュー10周年の節目の年にドロップされたこの曲は、まさに新章開幕の号砲なのだと思う。今回、初めての試みとして、ロンドンの名門スタジオであるメトロポリス・スタジオにてレコーディングを敢行。4人のバンドサウンドと井上惇志のピアノが深く混ざり合うことで生まれる上質で品のあるグルーヴ、妖艶でアダルトなフィーリング。的確に快楽中枢を刺激し続けるダンサブルなビートも素晴らしく、全編、聴いていてとにかく最高に気持ちいい。1stアルバムと同じタイトルを冠した曲ではあるが、原点回帰的というよりも、むしろ確かな円熟を感じさせる仕上がりである。そしてこのサウンドは、まさしく、彼らのこれまでの約10年にわたる孤高の歩みの正しさの証左であると僕は思う。彼らには、これからも、いつまでも、唯一無二のロックンロールを追求し続けてほしいし、引き続き全力で応援したい。
【4位】
日向坂46 「君はハニーデュー」
メンバーが認めているように、2022年3月に悲願の東京ドームの舞台に立った後、彼女たちは長い間、次の新しい目標を定められずにいた。また、昨年12月の公演では、キャプテン・佐々木久美は「2023年は不安や迷いがあった。」と正直に明かしていた。昨年末のタイミングでメンバーみんなで改めて話し合い、「もう一度、東京ドームを目指す。」という新しい目標を掲げ、そこから日向坂46の2024年が始まった。今の彼女たちに、もう不安や迷いはない。メンバー全員がグループの未来だけをまっすぐ見つめている。そしてこの春、彼女たちの躍進を加速させるような渾身の一曲"君はハニーデュー"が誕生した。作曲を担当したのは野村陽一郎。彼は今回、”キュン”、”ドレミソラシド”以来、約5年ぶりに日向坂46のシングル表題曲の作曲を手掛けた。衣装は、日向坂46のグループカラーの空色。そして、この原点回帰的なナンバーのセンターを務めるのが、4期生の正源司陽子だ。シンコペーションの多用から生まれる鮮やかな疾走感と躍動感。圧倒的な強度と輝きを誇るサビのメロディ。全編を通して幾度となく高揚感が増し続け、ラストのブレイクでは、正源司が、果てしなく広がる未来をまっすぐに見据える力強い眼差し、目の前の壁を力強く突き破るような正拳突きを見せ、その後の転調から、さらに熱烈なクライマックスへ突入。まさに、アイドルポップスの王道を力強く更新するかのような圧巻のポップチューンだ。スタッフやクリエイターを含めたチーム日向坂46が、今こそ改めて全員一丸となって新しい大躍進を図ろうとする熱烈な気概を感じる。日向坂46の未来は、きっと明るい。
【3位】
Dos Monos 「MOUNTAIN D」
2023年4月、荘子itが「Dos Monos第一期終了、第二期始動。」を宣言。彼はそのステートメントの中で、それまでの活動を経た上での胸中を丁寧に伝えつつ、「改めて『ロックがやりたい』と素朴に思った。放蕩息子のロック帰還である。第二期から、Dos Monosはヒップホップクルーを経て、ロックバンドになる(戻る)。」と宣誓し、そして今年の5月、第二期始動を高らかに伝えるアルバム『Dos Atomos』をリリースした。深く、鋭く、切実な響きを燦々と放ち続ける超弩級のミクスチャーロックアルバム、大傑作だと思った。ここで、馴染みのある言葉としてミクスチャーロックというワードを用いたが、厳密には、過去のミクスチャーロックのリバイバルではない。ロックの根源とヒップホップの根源を同時に突き詰めてゆくような過剰さ、過激さ、大胆不敵さで溢れていて、まるで、まだジャンルの名前が与えられる前の原初性を感じさせるサウンド(今、私たちがロックやヒップホップと呼ぶもの)にダイレクトに触れてしまったかのような興奮と高揚をもたらしてくれる。太陽(および、人工太陽)のモチーフが随所に散りばめられた今作を貫くテーマは、敗戦国・核被爆国としての日本、その歴史と現在と未来。日本に生きる私たちが胸に抱く閉塞感や絶望感と共鳴しながら、同時に、身体の中で今にも爆発しそうなエネルギーとエモーションを最大限に放出していく無数の言葉たち。深く胸を穿つ渾身のパンチラインの連続だ。日本からしか生まれ得ない、そして日本が世界に誇るべき大傑作の誕生を、心から祝福したい。
【2位】
SUPER BEAVER 「切望」
昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 23/24」の初日、SUPER BEAVERがメインステージのトリを務めた時、渋谷龍太は、その日のステージが彼らにとって「2023年102本目のライブ」であると語っていた。年々、認知と支持が大きく高まり続け、次々と大型タイアップを引き受ける存在になったとしても、4人にとっての主戦場はライブのステージの上であることに変わりはない。もちろん、それは今年も同じだ。ライブ中、渋谷は「自分たちだけでやる音楽ではなく、あなたと作る音楽をやりたい。」「束にならずに『1対1』で音楽をやろう。」という旨の言葉をよく観客に投げかける。そのことが象徴的なように、SUPER BEAVERにとってのライブとは、一方的に魅せるショーではなく、一人ひとりの目の前の「あなた」との切実なコミュニケーションの場である。そして、そうした決して揺るがぬライブ観を凝縮したのが、今年リリースされたアルバム『音楽』のリード曲”切望”だ。既に新たなライブアンセムと化している同曲について、渋谷は、X(Twitter)で「SUPER BEAVERの今の顔。俺たちの音楽。無論あなたを含めた“俺たち”だ。」と投稿していた。パンチラインだけを繋げたような歌詞の中でも、僕が特に強く心を震わせられたのが、《無償の愛じゃない そこに気持ちの往来》という言葉だった。私たち観客は、ただ単にステージに立つ4人からエネルギーを受け取るのではない。ライブとは、彼らと一人ひとりの「あなた」との《気持ちの往来》の場であり、そしてそれこそが、4人が懸命にステージに立ち続ける理由そのものなのだろう。最新にして最強のライブアンセムにして、ポップ・ミュージックの本質をまっすぐに射抜いた渾身の大名曲だと思う。
【1位】
藤井 風 「満ちてゆく」
2020年の春(忘れもしない、コロナ禍に本格的に突入した季節)にリリースされた1stアルバムの収録曲”帰ろう”を初めて聴いた時の感動を、今でもよく覚えている。《与えられるものこそ 与えられたもの ありがとう、って胸をはろう》《去り際の時に何が持っていけるの 一つ一つ 荷物 手放そう》今から振り返っても、恐ろしいほどに高い精度で人生の真理を射抜いた本当に凄い曲だと思う。あれから4年が経つ中で、パンデミックに端を発する社会的な混乱は落ち着き始めてはいるものの、この世界に満ちる緊迫感や閉塞感は依然として強い。そればかりか、国内外を問わず、かつてより多くの分断や対立が加速度的に深まり続けている。この2020年代を生きる上で、生きづらさや不安、葛藤と無関係でいられる人は決して多くはないと思う。そして、そうした悲痛な時代において、藤井 風の音楽は、数え切れない人々にとっての生きる上での糧や指針であり続けている。
あれから4年が経った今年の春にリリースされた新曲”満ちてゆく”を初めて聴いた時、僕は《何もないけれど全て差し出すよ 手を放す、軽くなる、満ちてゆく》という言葉の中に、”帰ろう”に通じる藤井 風の一貫したメッセージを感じ取った。自分自身の中の何かを手放すことによって、差し出すことによって、私たちの心は満ちてゆく。”帰ろう”だけではなく、彼の楽曲の中には、”きらり”、”まつり”、”grace”、”花”をはじめ、外部の世界に目を向ける前に今一度自分自身の内面を見つめ直すためのきっかけを与えてくれるものが多い。それは今回の新曲”満ちてゆく”も同じで、《愛される為に 愛すのは悲劇 カラカラな心にお恵みを》という言葉が象徴的なように、他者への愛はセルフケアから始まるということを、彼は数々の楽曲を通して一貫して歌い続けている。
まずは、自分自身のことを深く見つめ直す。そして、愛する。全てはそこから始まる。いつか、自分の足で立ち、自分で自分のことを心から肯定できる時、信じられる時が来たら、そこから世界と向き合っていけばいい。誰かのことを愛してもいいし、今まで以上に自分のことを大切にしてもいい。または、自分(たち)に降りかかる様々な不条理に対して果敢に立ち向かっていってもいい。そうした私たちの懸命な日々において、この曲はきっとお守りのような存在として、いつでもすぐ近くで凛とした逞しい響きを放ち続けてくれるのだと思う。あらゆる人にとって、また、あらゆる人生のフェーズにおいて有効なメッセージを放つ、という意味において、まさにこの曲は、弩級の普遍性を誇る究極のポップソングであると僕は思う。
なお彼は、映画『四月になれば彼女は』の主題歌として書き下ろした同曲について、「これを機に人生で初めてラブソングというものを書いてみようと意気込んでいました。しかし出来上がったものはこれまでずっと表現していたものの延長線上にありました。」とコメントしていた。この曲を、自身にとっての初のラブソングと形容した彼の感覚は、あまりに鋭すぎるし、何よりも圧倒的に正しいと思う。もしかしたらこの曲は、2020年代におけるラブソングの在り方、私たちのラブソング観を根本から変えていく一曲になるかもしれない。いずれにせよ、この2020年代を象徴する時代のポップアンセムとして、全方位に向けて、そして優しく高らかに響き続けていく曲になっていくことは間違いないと思う。
2024年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10
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