0から就農して1年8ヶ月で得た農業スキル
農業をするようになって早1年8ヶ月が経とうとしています。
これまでを振り返ってみると、出来るようになったことや取得した資格などそこそこあるなぁと気づきました。
前職の営業時代とは違い、出来るようになったことが分かりやすいと感じました。
振り返りとして、農業で得たスキルを時系列順で並べてみようと思います。
主には稲作と養鶏で覚えたことになります。
1.マニュアル運転免許
農業現場では軽トラ、ダンプカーなどマニュアルの運転が必要不可欠な車に乗らざるを得ないため、移住する前に急遽マニュアル免許を取りました。
東京住まいの時は基本的に電車移動のため、ほとんど車に乗ることがなかったです。レンタカーを借りることもたまーに程度のため、年に2,3回しか運転してこなかったペーパードライバー同然の状態です。
そんな私が教習所に行ってマニュアル車の練習をしたのですが、4日間で試験に受からないといけないのと移住まで残り1ヶ月切ってたため時間がなかったことのダブルでプレッシャーとなり、焦るばかりでした。
クラッチとアクセルを同時に動かさないと車動かないとかどんだけ不便な乗り物なんよ(# ゚Д゚)って心の中で困惑してたくらい。
教官も全然優しくなく、無駄に怒ってくるだけの人が多かったです。
このままじゃ絶対落ちると絶望していましたが、今の時代youtubeという便利なものがあるんだなと感謝しています。
「マニュアル車 運転」で検索すると、半クラのコツなど細かく教えてくれる動画がいっぱい出てくるのです!
何とかマニュアルの免許を取ることができましたが、正直youtubeなかったら移住前にマニュアル取れていなかったかもです(笑)
特に⇓のアルバカさんのシリーズは本当に助かりました。
いざ農業現場でマニュアルに乗るとまあエンストにエンストを重ねて大変でした。。免許を取っても最初から実践で運転できるわけではないです。
今となっては軽トラもダンプも乗りこなして仕事をしていますので、
実践を重ねて慣れていくしかないですね。
2.水田の水管理
お米を作る上で育苗の次に大事な水管理。
正直ここをちゃんとやらないと、せっかくの苗が台無しです。
特に、有機でお米を作っているので、水をしっかり田んぼに入れて雑草を生やさないようにします。
また、苗を寒さから守るために、保温しやすい水をためてあげるという意味もあります。
田植え後からの水管理を順にまとめてみました。
水管理は朝と夕方それぞれ1時間ずつ行っています。
田植え〜3日後:田面すれすれ。苗の根を活着させるため。
分げつ期:水位3〜5cmの浅水。浅水にすることで水温を高くし、歩数を多くする狙いです。
中干し期:水田に溜めていた水を落とします。根に酸素を送るためと稲刈りの時にコンバインがぬかるみにはまらないように地盤を固くしておく意味もあります。
幼穂形成・出穂期:間断灌水で3日おきに水を出し入れします。田面に水が見えてきたなあくらいがちょうどいいです。花を咲かせるための水をあげるイメージです。
出穂~稲穂形成期:浅水にします。種に水をあげます。
収穫期:収穫10日ほど前から水を落とします。稲穂をカラカラに枯らすのと、地盤を乾かすためです。
大まかな管理はこのようにしていますが、気温や雨が降るかなどに応じて水の入れ方を変えています。
大雨の時は水田が氾濫しないように入水を止める&適度に排水しておくなどその時々の微調整が必要です。自然の動きに応じて私たちも動かないといけないです。
3.水田除草機の操作
有機で稲作をする上で大事な除草。有機では当然農薬を使用しないため、
水田雑草を除草機という機械で取っていきます。
田植えをしてから7~10日後に1回目、田植え後14~20日後に2回目の除草をします。この2回の除草でどれくらい雑草が取れるかが勝負となり、この後のイネの生育が雑草に負けないように育つことが重要となります。
操作としては、機械の前側についてる爪を使って田面を浅く掻き起こすことで雑草を取ります。上から見て爪がちゃんと田面より深く入っているかを確認します。ただ、水田によっては深い場所浅い場所があり地形が変化するため、都度爪の深さ調整します。水田の地形を把握して雑草をしっかり取ることが大事です。
4.草刈機の操作
刈払い機、ウイングモア(畔草刈り機)、ハンマーナイフモアを使いこなせるようになりました。
水田の景観保護や害虫対策のために欠かせない草刈り、真夏のめっちゃ暑い日でも時にはやらないといけないです。富山はイメージしてたよりも暑いので熱中症には気を付けながら作業しています。
5.鶏の自家配合エサ作り
当社では平飼い養鶏をしており、成鶏2000羽、ヒナ1000羽近くを飼育しています。
鶏が部屋を動き回っているため、ストレスが少なく、肉質や卵質がよくなります。ですが、鶏の品質が良くなるのは運動量だけでなく、エサが大事となります。
エサは配合飼料ではなく、自家配合で作っているのですが、自家配合で作ることで、良質な発酵飼料を鶏に与えることができます。鶏が発酵飼料を食べるのは、人間でいうお米、味噌汁、納豆、お新香のような粗食を食べているイメージになります。酸性に傾きがちな体内を中性に戻してあげて健康体にしています。
主には以下の材料を入れています。
【飼料素材】
・飼料米(ヒナ用はくず米を使用)
・小麦
・大豆
・もみ殻
・米ぬか:これが発酵菌のエサとなる
・魚粉:タンパク質源
・緑餌:刈り草や近所農家の小松菜を入れてます。鶏は草が大好物
・パン耳
・発酵種:発酵菌を含む種
・水:発酵具合を調節する一番大事なもの。多すぎると腐敗してしまいます
【発酵種】
・継ぎ足しの発酵種:落ち葉に土着していた菌を元にしています
・もみ殻
・米ぬか
・牡蠣殻:卵の殻を作るカルシウム源
・炭酸カルシウム
・スーパーカルシウム
・水
ざっと600kgほどのエサを耕運機で切り替えし、スコップで山盛りにするまでを手作業で行います。
詳しい工程はどこかでまとめようと思いますが、この発酵飼料がちゃんと発酵していい匂いを発するためには水加減や混ぜ方の細かい部分を手抜きできないことを実感しました。
6.農業簿記2級を取得
現代の農業では生産から販売まで管理できることが求められています。
農業は儲からないと言われがちですが、儲かるためにはまずはお金の動きを自分で把握できることが必要なのではないでしょうか。
そう思い、農業簿記2級を取得することにしました。
2022年11月に3級を、2023年11月に2級を取り、
勉強時間を3級で1ヵ月半、2級で3ヵ月かけて合格しています。
農業簿記の参考書と問題集がありますが、正直こちらでは内容が不十分なため、簿記の基本を学ぶため、こちらのyoutubeチャンネルで勉強しました。
ふくしまさんのチャンネルでは農業簿記ではなく、日商簿記を解説していますが、簿記の基本的な考え方をコンパクトに非常にわかりやすく解説してくれています。簿記を勉強するのであればこのチャンネルは間違いないのでオススメです。
7.大型特殊免許
通称”大特”といわれる、トラクターなどの農耕車を路上で運転するために必要な免許となります。
私はまだトラクターに乗っていませんが、今後トラクター仕事もすることになると思うので、農耕車限定の免許を取りました。
試験を含めて4日間で取れるものとなります。大特は落ちる人はほぼいないと聞いていたので安心して講習を受けられました。そして無難に合格し、晴れて大特を持つことができました。
以上、主に7つの作業・免許を習得することができました。
他にも細かいことはいっぱいありますが、2年弱でこれまでの人生で全く触れたことのないことをこれだけ学ぶことができて有意義な仕事ができたなと感じています。
これからの時代、農業は肝となること間違いなしですので、農業スキルをさらに覚えて磨きをかけたいと思います。