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2020年5月の記事一覧

結婚記念日

結婚記念日

遠く遠く時を駆け超え続けて何度目だろう

君とこうして 今 ひとと呼ばれ 結ばれたのは

君と僕は 針先にも到底満たない存在と呼ばれない程の存在だったんだよ

けれど ふたりには 褐色の光があった

何もかもを導いた その出会いの原点を忘れないで欲しい

まだ新しい言葉が足りない 結婚記念日に

これからも真新しい愛の言葉を探しながら

真紀へ

石澤健

春風

春風

君の瞳の奥に何人の男が消えていったことだろう

いまでも少女のまま 嵐に咲き耐える花を偲んでいるのかい?

僕の古い記憶が 春風に巻き上げられた埃のように叫び覚まされてくるよ 

乾いた唇を重く閉ざした君がいた

震える指先さえ差し出さなかった君がいた

そう  消えていく一人だった僕は 結婚しました

そんな僕の便りは 君にはちっぽけな呟きにもならないだろう

おそらくいつまでも綺麗ごと 君の幸

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それがいい

それがいい

昨日の届かなかった言葉を 僕は捨てたりはしない

僕には大切な想いだから きっと忘れたりもしない

風よ 撫でたりしないでくれ 安らかに眠るように消え行ってくれ

雲よ 千切れ散るのを 僕は目くばせはしないから

 けれど君は君の自由だし 僕は僕の自由だなんて決めつけはよそう

きっとそれがいい

それがいい

 

For example

For example

言葉少なに 多くを語ろう

偉大と揶揄される フォークシンガーのように

捻じ曲がった人生は 正さないまま歩くがいい

生まれ乍らに不自由であり続けなければならない者のように

暗がりに自ら勧んで灯りを点さなくていい

哀しみの愛で出来ている誰よりも他者(ひと)を儚む彼女のように

ただそこに存在し薄っすら笑みを湛えていれば他は何にもいらないだろう?

我儘な極天使を娶(めと)った不幸がらない幸せ

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左様ならの先へ

左様ならの先へ

さようならの先へ

あなたを振り返りながらおいていきます

さようならの先へ

暗雲の様な小気味悪い記憶をあなたにおき去りのまま

さようならの先へ

あなたを求めた僕のこころはもう 僕から裏切ります

さようならの先へ

「わたしは今 幸せだよ」 その言葉を転がり続ける僕の胸に いつでも響かせられるようにして

さようならの先へ 

決して遠くから振るわけではない手を これからも遠ざけない手を

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