妻の語り草:あれが柏餅の葉よ
「あんこの達人になりたい」どこからか、声が聞こえてきた。
あんこを包むお菓子としてかしわ餅がある。
よく妻と一緒に自生ツツジの観察に行く。自生ツツジを探す時、時折横道にそれ、妻は「あれが柏餅の葉よね」と指を指す。
画像:wikiから加工。
見ると、サルトリイバラの葉が垂れ下がっている。妻の母が柏餅を作るとき、サルトリイバラの葉で餅をくるんでいた。餅粉をこね、平らにし、あんこをを入れ、形を整えて、葉でくるみ、蒸し上げる。妻の実家には、蒸す専用の独立竈が用意されている。蒸し上げるときの漂ってくる香りに腹を鳴らしていたのだろう。
サルトリバラの葉を見つけると、自分では作らないのに、時に持ち帰り、台所に置いている時がある。少しひわる葉を前に、妻は母親を思い出しながら料理する。
西日本では、「槲」(かしわ)の木があまり見られない。柏餅を作るにはサルトリイバラの葉を使用するのが普通であろう。今まで柏餅と言えば、サルトリイバラの葉であった。柏の木の葉でもなく、槲の木の葉でくるまれた柏餅は2,3度しか食べたことがない。
画像:ウィキペディアから。
ごくうの散歩道でも、旧山陽道の山際にはサルトリイバラが生えている。ビビちゃん(パピヨンの女の子)と一緒に散歩しているとき、ビビちゃんのママが「あれはサルトリイバラよ」と教えてくれた。ビビちゃんのママも母直伝のかしわ餅を作るのだろう。