10Xの同僚から学ぶプロマネ術 - シリーズ②
こんにちは、10Xで事業開発(BizDev)を担当している赤木です。
今回はプロジェクトマネジメントにおけるミーティングの準備力について書きたいと思います。
このシリーズを書こうと思った経緯は↓のツイートがきっかけです。2月から一緒に働いている同じく10XのBizDev田村さん@TamuraHaruakiから日々学ぶことが多いので、それを言語化しておきたいという思いで書いています。
ちなみに、シリーズ1回目はうまくいったことを仕組み化する力について書きました。良かったらそちらものぞいてください。
さて、本題です。
プロジェクトにおいて、ミーティングを仕切るのはプロジェクトマネージャー(プロマネ)の大事な役割の一つです。
僕も生産性の高いミーティングに準備が不可欠だということは以前からわかっていました。実際、田村さんに出会う前もこんな感じでミーティングの準備をしていました。
- ミーティングの目的を明確にする
- 目的に合わせた適切な出席者へ出席依頼を送る
- アジェンダを整理して事前に出席者へ共有する
-メモは事前に用意しておきミーティング終了後すぐ展開できるようにする
「え、これ以外になんかやることある?」と思った方は、このブログが今後の役に立つかもしれません。そうであることを願っています。
アジェンダは3つの目的に分類できる
まず、ミーティングのアジェンダを大きく3つに分類してみます。
1. あることについて出席者間で合意するアジェンダ
2. あることについて出席者で議論するアジェンダ
3. あることについて出席者間で情報共有するアジェンダ
ミーティングのアジェンダを作ったあとは、それぞれの項目が、合意・議論・情報共有のどの目的に分類されるかを明確にしておくことが大切です。
なぜなら、目的によって話の進め方、時間の使い方、事前の準備が大きく変わってくるからです。以下では、それぞれについて詳しく見ていきます。
合意する
合意するは、言い換えれば「決める」ことです。プロジェクトを進める上でみんなが納得し決めて次に進む、言わば儀式のようなものです。
合意することが目的のアジェンダは、既に議論された内容がほとんどなので、合意すること自体にそこまで時間はかかりません。一方、関係者間で共通認識が取れていない議題をいきなり合意しようとすることは危険で、ミーティングの生産性を著しく低下させるリスクがあります。
何かを合意する上で抑えるべきポイントは、それは誰と合意するべきかを把握することと、合意するために必要な根回しを終わらせておくことです。
「このアジェンダは今回のミーティングで合意できる内容か?」と問い直すと、実は議論や調整が足りていないケースがあります。その場合、そのアジェンダを「議論する」へ再分類するか、そもそもアジェンダから落とすようにしています。
議論する
議論するアジェンダがミーティングを進める上で最もテクニックが必要だと思います。これまで色々試行錯誤してきた結果、最近はミーティングで何かを議論する場合、以下のポイントを事前に整理するようにしています。
- 議論のポイント
- こちら側の主張
- 先方が懸念するであろうポイント
- 先方の懸念への対応案
- 落とし所
議論する前にこういった表を作ったりもします。
要は議論するアジェンダへの準備がいかに大切か、ということを言いたいのですが、印象的だったエピソードを一つ紹介します。
ある日、大阪でパートナーとの打ち合わせがあり田村さんと2人で朝から新幹線に乗っていました。
名古屋を過ぎたあたりで、僕から「今日の打ち合わせはこんな感じのアジェンダで行こうと思っています」と伝えると、田村さんがこう言いました。
「アジェンダの中のこの項目は、議論が必要な項目だと思っていて、自分の中で頭を整理するためにドキュメンを準備してきました。これらの議論のポイントに対しこちらがこう主張すると、おそらく先方はこう返してくると思うんですよね。そうなった時にどう出るか、ちょっとロールプレイさせてもらっても良いですか?」
「ロ、ロールプレイ?」その言葉を聞いたのは新人研修の時以来でした。田村さんは、相手の2・3歩先を予測して、より深い議論ができるよう準備していたのです。その過程でロールプレイまでやるとは、準備の緻密さを感じました。
ここまで準備をするのは正直かなり大変で時間も掛かります。ただ、これによって決めなくてはいけない事項が早くまとまるので、結果としてプロジェクトの進みが速まり、プロマネとしては余裕が生まれます。
これらの経験を通じて、どれだけ逆算してミーティングの準備をできるかが、そのミーティングとプロジェクト全体の生産性に寄与する、ということを学びました。
また、議論するアジェンダをミーティングで話す際、とても重要なのが各アジェンダの最後にNext Stepを明確化することです。どれだけ有効な議論をしても「で、次どうするんだっけ?」を関係者全員で認識合わせないとその後の進捗に影響が出ます。
必ず、各議論の終わりに「Next Stepとしては、〇〇で良いですか?」というプチ合意を取り、誰が何をいつまでにやるかを握ることが大切です。
さらに、議論することが目的のアジェンダをミーティングに入れる場合は、ミーティングの中でしっかりと時間を取り、プロマネがタイムマネジメントすることがポイントです。
議論したい項目があるのに、そのミーティングにアジェンダを詰め込みすぎると、ほぼ間違いなく消化不良で終わります。また、会議の中で話の長い人をちゃんと制御できない場合も、効果的な話し合いはできないでしょう。ここは、プロマネの腕の魅せどころだと感じています。
情報共有する
情報共有は特に難しいことはないのですが、意識することでミーティング全体の生産性を上げられるポイントが2点あると思っています。
1つ目は、その情報共有を本当にこのミーティングでする必要があるかを精査すること。メール1本出しておけば十分な内容であれば、わざわざ時間を取る必要はありません。
2つ目は、情報共有は可能な限り短く終わらせるです。ミーティングの時間の使い方は長い順から議論する>合意する>情報共有するが理想です。情報共有が他よりも長いのは、健全な会議ではないので見直した方が良いかもしれません。
ただ、関係者で情報共有するミーティングが必要ないと言っているわけではありません。情報共有が必要な場合はそれを主目的とし、もし議論や合意が必要なアジェンダがあれば、時間の使い方を工夫した方が良いと思います。
終わりに
このテーマについて書こうと思ったとき、DCMの原さん@kenichiro_haraの昔のツイートをふと思い出しました。
このツイート自体、今回の記事の内容とは直接関係ないのですが、言いたいことの根底はすごく近いと思いました。
社内外問わず、自分が責任を持って進めているプロジェクトのミーティングだからこそ、そこへの気持ちの込め方や時間の使い方がとても重要だなと感じています。そして、準備とは、単にプロジェクトを推進するためだけでなく、相手との信頼関係を作る意味でも非常に大切だと感じています。
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