荒々しい言葉を使うな怒りの言葉は苦痛である(『ダンマパダ』第133偈)
今、世界中を覆うインターネットは大変便利なものですが、さまざまな負の側面を持っています。
その一つに、そこで飛び交う誹謗中傷の言葉の烈しさがあります。その烈しさが、時に人を死にまで追い込むのです。そのようなニュースを見聞する時、私たちは自身の使う言葉の力と怖さに気付かされます。
インターネットの誹謗中傷の怖いところは、それが〝正義〟の怒りという形で表れていること、そして誹謗中傷する側の顔が見えないことだと言われます。
何か間違いを犯した〝悪い人〟に、怒りを感じた〝正しい人〟が浴びせる容赦のない言葉!? 怒りのただ中に入ってしまうと、自分の発する言葉の恐ろしさがわからなくなってしまいます。一歩引いたところから見ると、その正義の言葉のいびつさにも気付くことができるのでしょうが…。
「荒々しい言葉を使うな、怒りの言葉は苦痛である」という釈尊のお言葉は、荒々しい怒りの言葉からは、他者を傷つけるだけでなく、自らをも傷つけていく、苦しみや痛みの絶えない世界しか生まれてこないことを、私たちに教えてくださっているのです。
(本願寺新報2022年7月20日掲載)