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産後の夫の育児コミットメントは、夫婦関係の亀裂を防ぐ?先輩パパ・ママ10人から教えてもらった、夫が育児の「共同経営者」になるために大切な3つのこと #育休から育業へ

私は、産後パパ育休制度と育休を使用して、約1ヶ月の育児休業を取得した夫です。

このとてもとても短い1ヶ月の育休期間中、保活や新生児を連れた1,700kmの引越しなど、割とドタバタな状況が続き、夫婦関係が大きく揺らいだこともありました

私にとって産後の最も大きな変化は夫婦関係であり、夫側の産後の育児コミットメント(夫が「手伝う」レベルではなく、家族の「共同経営者」として育児にフルコミットする)は、後の夫婦関係に重く響くものなのだと、実感しました。
  
私は、幸いなことに周りの先輩パパ・ママから、産後の夫婦関係について、たくさんアドバイスをもらうことのできる環境にいました。
 
先輩たちからもらった大事なアドバイスを、今まさに育休の取得を迷っているお父さんに送りたい想いで、この育休体験を書いています。
  
この記事が、これから子どもを授かり、産後が不安な夫婦の方々に、少しでも役立つものになれば、と心から願っています。


目次:
・はじめに
・出産前に先輩パパ・ママ10名から言われた『新パパ3ヶ条』!
・産後直後の超新米期。
・保活・引越し・転居...ドタバタな1,700kmの引越しのプロセス
・最も大きな変化は、夫婦関係だった。
・結びに


はじめに

私と妻は、学生時代から創業期のNPOに参画しています。妻は公平さを大事にする人です。なるべく平等な家事分担でやっていこうぜ!というスタンスの中で家庭運営をしてきました。
 
そんな彼女と私の間に第一子を授かったことを知ったのが2023年1月でした。
  
6年間打ち立てたビジョンに向かって、組織と事業を形作るために、無我夢中だった私たちの間に息子が生まれました。

ファンドレイジングやPRなどの部門を横断したマネジメントを行なっている私が抜けることで、組織のみんなには負担をかけてしまうけれども、実務をゴリゴリ進めてくれる頼もしい新入職員のメンバーの存在や、組織のみんなの後押しもあり、男性職員として初めてパパ産後育休と育休制度を活用し約1ヶ月間の育休を取得しました

※パパ産後育休とは、2022年10月にスタートした制度で、産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業のこと。

産前に先輩パパ・ママ10名から言われた『新パパ3ヶ条!』

産後パパ育休の取得前に、仕事の同僚や、仲良くしている先輩パパ・ママさんたちから、本当に多くのアドバイスをいただきました。成功談・失敗談を踏まえ、赤裸々に伝えてくださった先輩パパ・ママには本当に心から感謝をしています。
 
子育ての先輩たちからいただいた、新パパ3ヶ条を紹介します。

  1、「ノーマニュアル」を目指せ!
最初の1ヶ月は夫婦(私たちの場合夫婦だが、別の家族の形でもきっと同様に)一緒に育児オペレーションに従事した方が良い。なぜなら、生まれた直後は全くの未経験から始まる育児であるため、父親・母親などの養育者が同時に育児オペレーションに従事し、育児のレベルをなるべく揃えることが大切だからである。

ここで子育てのレベル感に差が開いてしまうと、母親の育児負担が多くなり、母親しか知らない子育てtipsが生まれてしまう。そのため、仮に母親が1日外出する際に、父親に指示する必要が生じてしまう。1日で成長し変化する子どもの臨機応変な対応が必要な育児に、指示待ちの状態で臨むと、指示を出す方・受ける側で育児レベルの差が開いてしまう

その結果、指示を出す側・受ける側双方が「(指示出す方が)やったほうが早いよね」となり、溝は一生埋まらなくなってしまう。

1ヶ月間は、寝つかせ・おむつ替え・授乳(ミルク・搾母乳)・育児アイテムの消毒・沐浴などの基礎的なオペレーションを徹底的に実践できるため、基礎を固めるために育児にフルコミットした方が良い。

2、目指すは家族の共同経営者!
父親は妻に従う「アルバイト」や「従業員」にはならない方がうよい。子育ての主体性が低く、妻に言われたことをただただ行う夫は、家族という組織の中の「従業員」になってしまう。

目指すは子育てという長期プロジェクトを推進する「共同経営者」。共同経営者並の意志とコミットメントで家族経営に関わることが理想。

ありがちなシチュエーションは泣き止まない赤ちゃんに対して「やっぱりママが良いよね」と父親が言ってしまうこと。子どもにとって大切なのは、安心できる大人がいることであり、それが保護者どちらかであるかは関係ない。

子育てには正解はない。正解のない課題に対して、積極的にトライ&エラーを繰り返してゆく必要がある。その意味で、共同経営者の意思とコミットメントが大切である。

3、産後の夫の育児へのコミットメントは、後の夫婦関係に未来永劫響く

産後直後の妻は、精神的にも肉体的にも非常に厳しい状況になる。産後の女性は「全治2ヶ月の交通事故と同じ」ダメージを負う。そのボロボロの状態の妻に、寄り添うことができる存在がパートナーであるにも関わらず、寄り添わずに「(夫側から妻に対して)変わってしまった」とほざくものならば、夫は妻からの一生の信頼を失うであろう

しかし、逆の見方をすると、産後の夫の姿勢や行動次第で、夫は絶大な信頼を得ることができる。産後も長く続く夫婦の関係をより強固にするためにも、夫の妻のケアや、育児へのコミットメントはとても大切である。
 

これらの新パパ3ヶ条を心に刻み、ノーマニュアルを目指し、家族の共同経営者として育児にフルコミットすることを決めました。

産後直後の超新米期の様子

息子が生まれた日は、出産予定日から1週間以上経った日でした。予定日から時間が開いたせいか、3880kgの立派な男児が爆誕しました。

めちゃくちゃ尊い。

ある先輩パパから「子どもを授かり、人生の優先順位がガラッと変わった。これまで大事にしていた他のどんなことよりも子どものことが一番になった」と伝えてくれた言葉の意味が、少しわかった気がします。

本当にかわいくて、尊くて、お子の寝顔を見ているだけで、温かい気持ちが胸の奥底から溢れてきます。
 
さてさて、生まれた直後から、寝つかせ・授乳・おむつ替え・沐浴などの基礎的なタスクの数をこなします。


出産2週間ほど直母拒否をしていた我が子。まだ夫婦の子育てレベルが低かったため、初めは夜な夜な2人で起きて、泣く我が子をあやす係と、調乳係をそれぞれ担当しました。が、これは分担しないと体がもたんぞ...と痛感し、分業体制を整えました。

産後初期は、試行錯誤しながら少しづつ夫婦の育児レベルを高めて行きました。

直母拒否で妻も息子も自分もヘロヘロに...

保活・引越し・転居...ドタバタな1,700kmの引越しのプロセス


産前に、北海道の道北の町に移住をしていた私たちは、2拠点生活の限界や保育環境の充実度、実家からの距離などの観点で、神奈川県に引っ越すことを決意しました。

引っ越しを決めた後に、来年4月入園のための保育園申請の1次締切があと1ヶ月後しかないことに気づき、妻の入院中から私が慌てて物件の見学や、保育園の見学に行きました。

候補となる保育園に全て足を運び、保育環境や周辺環境を下見し、保育園の保育士さんの待遇や離職状況をヒアリングして回りました。

逗子で異様な真剣さで保育士の離職率を聞いてきた、メガネのマッチョがいたら、それは私です笑。

保育園のリストアップ&視察レポートを入院中の妻に送る

妻や妻の家族に赤ちゃんを見てもらい、視察を繰り返し、2週間で物件と保育園を確定。次は北海道 → 神奈川までの、約1,700kmの引っ越しが待ち受けていました。
 
パパ育休の期間や、賃貸契約の開始日から逆算すると、引っ越しの期間は1週間しかありません。生後1ヶ月の赤子を連れての1,700kmの移動だけでも大仕事なのに、(引っ越す予定がなかった)1週間で家の引き払いと、自家用車とともに陸路と海路で戻ってくるという途方もない状況に陥りました...(あらかじめ予定して動けよ...と過去の自分たちにツッコみたくなる気持ちもありますが😅、振り返るととことん予測不可能な臨月・出産・産後の時期でした。実際、我が子の出産も予定日から1週間先で、誘発分娩となりました。)

引っ越し元の地域では、出産のご報告を丁寧にできないままに去ることの申し訳なさを感じつつも、友人たちから次の生活へのエールを送ってもらいました。家具や物品の撤去には、町の有志のリサイクル団体のご婦人や、友人たちに色々なものを引き取っていただき、なるべくゴミがないような形で家を引き払いました。(無理難題にご協力いただいた、友人たちや団体の皆様には心から感謝申し上げます。)

撤去作業中のカオスな状態…
引越しのカオスから、いろんな方々のお力添えで1週間で片付きました。(お子ごめんよ😢)

1ヶ月のお子と大量の家財を詰んだ軽自動車で南下。フェリーで乗り継ぎなんとか無事に戻ってきました。様々な方々のご協力をいただきながら、1,700kmの引っ越しをなんとか1週間で終えることができました。

最も大きな変化は、夫婦関係だった

 子供が生まれてから最も変化したことは、夫婦の関係性でした。

これまでは妻と夫、それぞれに矢印が向き、それぞれをケアし合えればよかったのですが、子供が生まれると妻・夫それぞれの矢印が子供に向きます。妻・夫は家族という組織の共同経営者として、子どもの健全な発達に責任を持ち、育児へのコミットが始まります。

この子育てという長期に渡る壮大なプロジェクトにおいて、夫婦の意思決定の最優先事項は子どもに。そのため、夫や妻の個人のニーズは後回しになります。寝不足や生活リズムの大きな変化、一筋縄ではいかない育児のフラストレーションが募った中で、夫や妻のそれぞれのケアがなおざりになると、イライラがついお互いに向きます

例えば夫の洗濯と掃除の雑さなど、些細なミスコミュニケーションが、大きな衝突に発展することもしばしば。妻は「(夫に)ものすごくイライラした時に、離婚の脳内シュミレーションをしている自分に気がつき”いかに子どもの親権を勝ち取れるか”という、考えもしなかった場面を想像していた。」と言ったこともあります。それほどの大きなイライラを感じさせてしまっていました。
 
これはまずい。 

お互いが胸に込めている感情を、余裕のある形で共有し合おう。また、家族の大事な意思決定をする時間を持とう。と言うことで、妻と私とで週に一度の「家族会議」を持つことにしました。
 
家族会議では、お互いの感情共有から、家族のお金や大事な計画などの重要なアジェンダを話し合います。
 
まだまだ道半ばではありますが、夫婦関係の変化と、そこにどう対応するかについての明るい兆しが、2ヶ月目にして少しづつ見え始めました。

第一回目の夫婦会議。日曜日のゆったりとした朝に、大好きなシナモンロールを食べながら。議長の息子くんがたくさん話してくれました。

結びに

「産後クライシス」という言葉があります。
   
これは、妻のホルモンバランスの変化や、生活の変化によって、主に産後2年以内に夫婦(特に女性側)の愛情が冷え込む現象を指します。
 
ベネッセは、妊娠後期〜子どもが2歳児になるまでの期間に、夫婦間の愛情の度合いを調査し、出産後に「夫を本当に愛していると実感する」妻の割合が大きく減少していることを明らかにしました。

ベネッセの調査。妻から夫側への愛情は、子どもが0歳のときは、45.5%、1歳では36.8%、2歳では34.0%となり、妊娠期から42.3ポイントも減っています。

 私が先輩パパ・ママから教えてもらったレッスンは、産後クライシスを乗り越えるためにもとても大事なことだなんだな、と改めて感じます。
 
こんな偉そうなことを書いていますが、自分では育児へのコミットしていると思っていても、めっちゃ妻から怒られますし、妻は妻で自分の心と身体の変化に戸惑っている様子です。家族会議を設けた後でも、夫婦で激しくぶつかることも沢山あります
 
ただ、これから子どもを授かるお父さんたちに対して、何度でも言いたい。
 
妊娠初期の育児へのコミットメントは、一生の夫婦関係に響きます。だから、家族を大事にしたいのであれば、なるべく育業を取り、家庭の「共同経営者」として、育児にコミットした方が絶対に良いと。

育児は「休み」ではなく、「大切な仕事」だと思います。
  
大切な仕事をともに行うパートナーとの関係性を豊かなものにして行くために、お父さんが育業をとることのできる社会の環境づくりは、本当に大切なことだと実感しています。
 
育休の期間、組織を支えてくれたメンバーや、未熟な夫婦を支えてくださった妻の家族の皆さま、引越しに甚大な協力をくださった、下川町の友人の皆さん。本当に本当にありがとうございました。

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