寝業カレンダー撮影ツアー(淡路島編)
約一カ月ぶりに京橋URAに遊びに行ったら、突然、淡路島旅行に誘われた。その時、私は家主のけんたろくんの用事に付き合って、一緒に百円均一やコンビニをうろうろしているところだった。
「おゆりさん(けんたろくんの恋人であり同居人)が明日淡路島旅行に行かないかって言ってるよ。一緒に行く人が一人キャンセルになったから空きが出たらしい」
「えっ、明日?」
反射的に行きたいと思ったけれど、旅行慣れしていない私は翌日出発であることにたじろいだ。
「明日の何時くらいに出発するの?」
「さあ。十時までには出るんじゃない?」
十時か。今すぐ家に帰って準備をしたら間に合うだろうか。頭の中で計算しながら考える。
「何泊くらいするの?」
「わからない。ぜんぜん知らないんだ」
びっくりするくらい何もわからないことに愕然としつつも、そのゆるさが羨ましくなる。なんて伸び伸びとしているのだろう。
どこへ行くのかもよくわからなかったけど、この人たちについて行ったら絶対におもしろいことになる。そう直感した私は、迷った末に行きたいと答えた。
「準備があるからすぐに帰らなくちゃ」
帰るモードに切り替わった私に彼がひとこと、「うちに泊まっていけばいいじゃん」と。
そうしたい気持ちは山々だけど、もともと夕飯までにはお暇するつもりだったから、着替えもお泊りグッズも持ってきていない。普段は歯ブラシや化粧品くらいは持ち歩いているのだけれど、この日はそれさえもバッグから抜いてきていた。
「着替えがないから無理だよ」
「それ着てればいいじゃん」
「え、ずっとこれ着とくの?」
何泊するかもわからないのに、さすがに無理がある。一瞬、その選択肢を捨てそうになったけれど、数日前にある女の子が旅先で服がなくて三日間ほど同じ服を着ていたという話を思い出して、案外、平気な気がしてきた。
「うん。その服、可愛いよ」
そういう問題ではない気がするけど、褒められて気分をよくする単純な脳みそ。
結局、どうしても必要なものを一つだけ買い足して、その日はそのままURAに泊めてもらうことになった。
いつもサポートありがとうございます。 『この世界の余白』としての生をまっとうするための資金にさせていただきます。