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5|丹賀砲台とはなにか

あっという間に2020年も終わりそうですね。伊藤憲吾建築設計事務所の伊藤です。今日ご紹介する鶴見の建築は「丹賀砲台園地」です。

戦時中に建設された砲台の跡地です。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://saiki-kankou.com/tsurumi/2020/02/841

九州と四国の間の海峡を守るために造られた砲台です。一説によると一度山を削り取り、建築を造りまた埋め戻したと言われます。埋めるのは敵国に見つからないためですが、当時はほぼ人力だったと思います。すげーですね、人間って。

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写真の右手の山の中に丹賀砲台はあります。一説によるとと書きましたが、戦時中の工事は秘密裡に行われており、また終戦時に資料はかなり紛失しているらしいので、詳しいことが分からないところもあるそうです。

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入口には特徴的な波模様のような壁があります。これは葉っぱを模した表現で迷彩柄を施して分かりにくくしていたようです。

12/21までBEPPU PROJECTさんのアート企画で「下平千夏:「孵化過程」の先へ」が開催されています。おっと、、今週末までですね。(本日12/18日)。今週末はぜひ佐伯市鶴見にGOTOしてください。

詳しくは
http://www.beppuproject.com/work/3013

入口を入るとリフトがあります。これは戦後に作られた物です。今から30年ほど前に、戦争遺構をこのまま朽ちさせるべきかどうか?という議論の末、歴史をつむぐための保全改修工事が行われたそうです。当時の現場担当さんからお話を聞く事ができました。

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リフトはゴルフ用のカートを改造したと聞きました。斜面を登るリフトです。ゴルフ用なのか?と一瞬疑います。

昇降中には音声ガイドが流れる仕組みです。聞き取りやすい女性の声です。

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登りつくとトンネル状の通路が連なります。砲弾を運ぶための通路です。床の格子状のところには水が流れていたらしく、重い砲弾を水を使って運搬していたとのことです。

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平面図はこのような状態です。よくつくったなあ。平面図上部の丸いところが砲台の跡となります。とても巨大な砲台だったことが分かります。

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現在、砲台の跡には螺旋階段が据えられています。その空間を使い黄色い糸を使ったインスタレーションがつくられています。時間をつむぐような不思議な体感ができます。上部に見えるドームも後で造られたものです。

螺旋階段を上ると糸に近付きながら体感できます。

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糸が集まり存在感を出したり、消えたりしていきます。

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螺旋階段を上から見るとこんな感じです。(糸のない状態の別の日です)後から造られた階段ですが、これは遺跡を邪魔しないようにこのような形態になったと想像されます。壁面のごつごつした感じは、爆発事故の痕になります。ここでは悲惨な事故が起き多くの死傷者が出ました。詳しくは最初のリンク先をご確認ください。

砲台の足元にも水を張り、砲台を浮かして回転させていたそうです。すごいことを考えますね。

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螺旋階段を上がりついたら、ぜひ外に出てみてください。

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何とも綺麗な海を望むことができます。戦時中はここで戦うことを前提に潜んでいたのでしょうが、きっと美しさは変わらなかったと思います。当時の方が少しでも美しさに癒されていたと思うと、偲ぶ心が少しほっとします。

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写真の黄色いベストの型が改修工事を担当した当時の役場の担当の方です。30年前につくられたドームは、当時の歴史を守るためにそっと蓋をしています。負の歴史だからといって、記憶が無くなるわけでもなく、間違った戦争だったとしても、その先を生きている事実があります。

この丹賀砲台跡地を私たちの世代はどうしていくのか?を考えなければいけません。今開催されている空間インスタレーションはその可能性を大いに示してくれたように思います。空間の魅力と共に歴史を残していくべきだと思います。

ぜひ行ってみてください!

次回も鶴見の建築群に触れてみたいと思います!