2.空色のくれよん/風街ロマン
イントロ
カントリー調のワルツが始まる。Kind Woman/Buffalo Springfield のように牧歌的で穏やかな印象。
1番
※この2行の解説長いので一時停止推奨
遊園地で絵を描いたということなので、主人公と「きみ」は遊園地デートをしているのだろうか。一見ほのぼのとしたシーンのように感じられる。しかしそれは1曲目「抱きしめたい」であなたが空想の世界へ引きずり込まれているからであって決して穏やかなシーンではない。
よくよく考えてみると遊園地にデートしにきているにも関わらずクレヨンで絵を描きはじめる行動は、現実には奇妙で幼稚な行動だ。「きみ」が現実世界の住人ならば観覧車やジェットコースターに乗りたいであろうから嫌われること必至である。すなわちこの曲は架空の世界の住人である「きみ」と主人公が遊園地に来るお話なのだと納得できる。2曲目にして完全に松本隆ワールドに入ってしまっている。
「空色のくれよんで描く」という表現はそれだけで「きみ」は爽やかで柔らかな少女なのだろうという想像が勝手に膨らんでしまう。松本隆の術中にハマっている。
「そっぽを向いた」に関しては、何が何に対してそっぽを向いたのか様々な可能性がある。筆者が推したいのは主人公が「きみ」以外にそっぽを向いているという説だ。遊園地に来ている他のお客さんや園内に流れるBGMはそっぽを向かれており、二人だけの世界に入り込んでいる。そこは「君+自分+絵」だけの世界で、遠くに遊園地がふわーっと見えているだけ。そのようなイメージを持った。
書きすぎてごめん。
「花模様のドレス」を着る君に主人公が見惚れている。ワンピースじゃなくてドレスを着ているというところに君の気合を感じた。あるいは主人公にはただのワンピースがドレスに見えているのか。
そしてぼくのポケットに何かが入り切っていない。
・説1
ここまで登場したものから素直に考えると君を描いた絵が物理的にポケットに入り切っていないのか。そうだとするなら花模様のドレスを着た君が良すぎて気分が乗り、何枚も絵を描いてしまったということになりそう。現実には気味が悪い現象であるがここは架空の世界線なので許される。
・説2
もしくは君が綺麗すぎて主人公の頭がパンクしているということも考えられる。主人公には花模様の"ドレス"が刺激的過ぎたのか。
いずれの議論にせよ主人公が君に惚れていることは間違いない。
松本隆のうますぎる表現。きみに恋しているのではないかという主人公の動揺や期待、照れを「きっと風邪をひいてるんです」という表現に綺麗にまとめている。
このようなイメージ 出典:イラスト屋
現代でも珍しい歌唱法「ヨーデル」でスキャットしている。主人公はきみに執心していることが語られたのちヨーデルが入ることで、曲のイメージを重たくせずに牧歌的でのんびりとしたイメージに仕上げる。「空色のくれよん」の爽やかさを保ち続ける仕掛けなのだろうか。
2番
松本隆の難しい漢字シリーズ。漢字ペディアによると「眸(ひとみ)」とは眼球の黒い部分だそう。目の黒い部分であると具体的に指定することで、雪崩れたのは眸に反射して見える空の雲であることが分かる。とすると「眸の中の雲が雪崩れる」というのは君が涙を流したことを指すのだろうか。
君が泣くと表通りはブランコのように揺れるらしい。それくらい激しい感情が「きみ」から発せられている。主人公は激しい感情を剥き出す君に驚いたと思われる。
君が感情を剥き出しにしたそのとき、あの日遊園地で描いた「画用紙のなかのきみ」がふと目に入ったのだろうか。とても綺麗すぎたために「透き徹った冬に帰ってしまう」らしい。
「透き徹った冬に帰る」とはなんだろう。1番の「抱きしめたい」では冬に主人公が「きみ」に会いに行く物語だった。それと重ね合わせるならば、透き通るほど純粋で一筋なあの頃気持ちが、絵を通じて蘇ってくるということだろうか。
まとめ
この曲は終始爽やかでのんびりとしたイメージがあり聴いていて気持ちいい。が、説明するとなるとかなり骨が折れる。
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