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ドイツ歌曲がめちゃくちゃおもしろい シューマン「女の愛と生涯」で感性の扉が開いちゃった歌手の話

コロナ禍から始めた、オンラインでのセミプライベート歌曲講座シリーズ。いずれもシューマン作曲の連作歌曲「ミルテの花」全曲、「詩人の恋」全曲とやってきて、半年ほど前から「女の愛と生涯」全曲に取り組んでいます。
セミプライベートなので超少人数制で、現在、2組の歌い手さんとピアニストさんが受講してくださっています。少人数なので、一人一人のレベルに合わせて、じっくりいろいろな角度からアプローチできるクラスになっていて、皆さんの上達が毎回感じられて教えさせていただいている私自身がめちゃくちゃ楽しんでいます。
 
ドイツ歌曲って、ものすごい繊細な感受性や表現力、想像力を必要とします。オペラよりもずっと繊細。そしてペアとしての関係性もとても大切。
ピアニストは、音色の作り方、和声の響かせ方、言葉の向かう方向性とメロディーの向かう方向、自分が歌い手に合わせるのか、ピアノが引っ張っていくのか、はたまぐっと自己主張をするのか、歌い手のその曲における役柄とピアノの役柄など、本当にたくさん感じながら演奏をしなければいけません。
歌い手も、ドイツ語発音の正確さはもとより、ドイツ語の意味がきちんと体に入っているのか、フレーズはどうなっているのか、ドイツ語の「浮き沈み」と言われる独特なリズム感の理解、歌詞に込められた奥深い意味の理解、ドイツの文化や歴史からくる常識の理解、そしてそれを自分なりにどのようにイメージするのか、そしてそれを表現するのか、ピアノとどのように融合して音楽を作っていくのか、などなど、音楽表現をするためにいろいろなポイントがあります。
 
私のレッスンは一週間に75分しかないのですがその貴重な時間のなかでも時間をとって体づくりから入ります。脳科学からの知識やヨガのテクニックなども少し使いながら、チャクラを開放し感受性を磨いたり、島皮質を活性化させてやはり感受性を鋭くしたり。それから音楽的なこと、文学的なことにもフォーカスします。歌詞を深く理解するのは本当に大切なことです。「ドイツの人たちはね、、、、」なんてドイツの季節や人間性なんて生活感あふれるお話もたくさんします。歌詞をなんとなくわかって気になっている人は多いと思うのですがそれでは感情が全然のりませんので、それをもっとぐっと踏み込みんで、まるでオペラのワンシーンの演技の稽古をしているかのようなところまで話を深めます。その歌詞にある言葉をもし実際に自分が体験するとしたら?この主人公はどんな人?どんな舞台セットがあると思う?今の季節は?その場面に自分が存在するとしたらそこに太陽がみえるかしら?それともお月様?この言葉の裏の意味は何?200年前の生活はどうだった?などなど。。。
実際に歌詞を自分の言葉で日本語にしてもらって、それを俳優が舞台で演技するようにセリフとして話してもらったりもします。それができるようになったらドイツ語でも同じようにやります。これは歌手だけでなく、ピアニストにもやってもらいます。ピアニストが実際にドイツ語の歌詞を読めるかどうか、はピアノを聴いているとだいたいわかるもので、言葉がきちんと入っているピアニストは、歌い手の歌う言葉が細かいところなど音楽的にすこし待てたり、言葉の細かいところをドイツ語のリズムを一緒に感じながら伴奏を弾けるようになります。これは歌曲のピアニストとしてはとても大事なことです。
歌詞を1単語ずつ、深く掘り下げて、実際に何を感じるか、という話を歌い手さんやピアニストさんとしていくと、ご本人たちの想像力がだんだんと花開いていくのがわかります。時々レッスンの中で実験をするのですが、歌詞の解釈をしている中で例えば、歌い手が「私はこの詩の主人公は女性だと思う」そしてピアニストが「私は男性だと思う」と言ったとします。そういう時は二人が合わせた音楽はどっちつかずの宙ぶらりんの感じになっているものです。そこで、「じゃあ、両方やってみよう。まずは主人公が女性だと思ってピアノを弾き、歌を歌ってみて。」とやらせてみます。その後で「では次は主人公が男性だと思って演奏してごらん。」すると、答えは自然に浮かび上がってきます。どちらかがピタッと、しっくりくる感覚のところに落ち着くのです。これは演奏者だけじゃなくて、聴いている他の人たちも同じ意見を思うのですから不思議です。
私のレッスンを受け始めた生徒さんたちは、感情について、それを自分の感受性に落として形容し伝えることが非常に苦手なことも多いのですが、回数を重ねるにつれ、だんだん少しづつイメージ力がついてきます。そうなってくると、音楽をした時にも表現力がぐっと深くなります。
完全に音楽をイメージ化できた状態で演奏してもらうと、音楽がキラキラと輝いて、周りの人全部を包み込み、みんなが心の底から幸せな感じになります。ワンネスにつながるというのか、宇宙につながるというのか。歌い手とピアニストの七つの全てのチャクラが開いて宇宙からどばーっとエネルギーが注ぎ込まれ、それを音楽家の体で拡張器のように拡大して周り人に届ける、そんなことが起こっているのではないか、といつも思ってしまいます。近くで聴いてる私はもうなんとも至福の気分になります。これぞ極楽、という感じ。
こういう経験を観客に届けられるか、が音楽的な演奏ができる人、と、そうでない人との違いなんだろうと思います。
 
先日のレッスンで、最近私のレッスンを受け始めた生徒さんが、とても素敵な感想をくださいましたのでシェアさせていただきます。彼女はもともと発声のテクニックはあって、さらに持ち声がとても綺麗。頭も良くて器用なので、どこに習いに行ってもその先生の指示の意味をさっとくみとって、『言われた通りに装って』歌うことができる。なので、これまで表面的にそつなく歌ってきたみたいなんです。私のクラスに来ていろんな深掘りをすることで、レッスンを受けるたびに新たな気づきを得ていてぐんぐん上手くなっています。前々回は感情を歌に乗せる、ということが本能的なレベルで理解できたからか、一瞬で声の艶がガラッと変わったりしたんです! 前回レッスンで彼女には、「歌詞に書いてある気持ちを自分の言葉で、形容詞を使ってもう少し伝えてみて!」と言ったのですが、慣れていないのか、最初言葉がなかなか出なくて、うーん、うーん、と考え込んでいたのですが、終わった後にこんな素敵な感想をくれました。
 
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動画をありがとうございます

レッスンを通じてまた色々な気づきがありました! 幼い頃は人一倍感受性が強く、本を一冊読むと数日間その世界から帰って来られなかったり、いつも詩や音楽や物語を作っていたことをふと思い出しました

その性格が当時田舎の進学校での生活にはあまり合わず、自分から意識的に少しずつ感じたり表現したりすることを手放していったことに気づきました。 自分の先生から、OOちゃんはきっともっと自由な子だったはずなのに、いつからそんないい子ちゃんになっちゃったの?とよく言われるのですが、その答えもそう言われる意味も腑に落ちました

色々なことを繊細かつ大胆に表現できるように、日々経験を積んでいきたいと思います!
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彼女の感受性のスイッチがぱちっと入ったんですね。これからまた音楽家として一回りも二回りも大きくなることでしょう。音楽をするためにこの「感受性のスイッチ」はとても大切です。人に何かを伝えられる、そして観客を宇宙のエネルギーに連れていってみんなをハッピーにする、そういう音楽を世界中に増やす、そんなお手伝いがすこしでもできたら、と思っています。
 
「女の愛と生涯」クラスは2024年末まで。2025年からは同じくシューマン作曲の「リーダークライス」クラスを設けます。先着3ペアまで。受講資格は音大の学部卒業かそれ相当。ピアニストのみ、歌い手のみ、の場合もご相談ください。お月謝が一人当たり一ヶ月4回のレッスンで99ユーロと大変お安くなっています。
 

心を開いて音楽に音楽を吹き込み、音楽をより音楽的に演奏する方法のレッスンをやっています!場所はドイツのスタジオか、オンラインクラスがあります!ご興味のある方はこちらまで!
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