誕生日がトラウマ
今日は私の誕生日。
30代も半ば、いい年して、離婚して以来未だに人生が落ち着かずフラフラしてる。
私には家庭環境とか、10代で経験してきたことが原因で、たくさんトラウマがあるけど、その中でも誕生日には特に大きなトラウマがある。
9歳の誕生日。
両親が激しく夫婦喧嘩して、母が出て行った。
兄と弟を連れて。
私は置いていかれた。
誰も手をつけていない、火の灯った痕跡のない蝋燭が刺さったホールのショートケーキが、大きなテーブルにポツンと置かれていた。
ちゃおと名付けた黄色いくまのぬいぐるみを抱きしめて、一晩泣きながら眠った。
誕生日に夫婦喧嘩をされたことも、3人兄妹の中で自分だけが置いていかれたこともショックだった。
翌朝、元気なふりをして登校したけれど、心はボロボロだった。
子供の頃から「産まなきゃよかった」って頻繁に言われて育ってきたけど、その時ほど、愛されてないことを実感したことはなかった。
ケーキがあるだけマシと考えようとも思ったけど、あれは私への愛情表現ではなく、いい親であるためのセレモニーなのだと気付いてからは、そんな無理矢理なポジティブシンキングも出来なくなった。
結局母は実家に帰って、1ヶ月近く帰って来なかった。
その後、母に謝られもしなかった。
それから、毎年、誕生日が来る度に、そのことを思い出して泣かなかったことはない。
それでも、17歳の頃から去年までは、彼氏なり旦那なりがいて、誰かしらが誕生日を祝ってくれた。
私にとって誕生日を祝われることは何より特別なこと。
生まれてきてよかったんだよって、言われてるような気がするから。
何より大切に想われてるって実感出来るから。
去年は少し日は過ぎちゃったけど、ホストクラブでたくさんのホストさんがお祝いしてくれた。
テーブルがプレゼントで埋まって見えなくなって、卓が目立ってホスラブに書かれたくらい。笑
ホストはもう散々だし大嫌いだけど、今でもあのお店の人たちだけは特別で大切に想ってる。
苦しんでた頃の私を救ってくれた人たちだから。
1番嬉しかったプレゼントはヘルプのホストさんからもらったにんにく(笑)
私が自炊するって事前に元担当から聞いてて、「元気になってほしいから」って、美味しいにんにく用意してくれて、それが嬉しくて。
あと、代表さんが用意してくれたフルーツの盛り合わせ。
彼が人生で初めてで唯一、私が1番欲しかった言葉をくれた。
「生まれてきてくれてありがとう」
何よりも欲しい言葉だった。
彼は大手グループの指名本数のランカーなだけあって、相当忙しくて私の卓についてくれることは滅多になかったけど、それでもその数少ない卓についてくれた短い時間の中で、いつでも私の欲しい言葉をくれる人だった。
勿論、リップサービスだと思う。
それが仕事だから。
それでも、嬉しかった。
私、生きててもいいんだって、ここにいていいんだって、思えたから。
誕生日パーティーなんてものを経験したことのない私にとって、それが人生で初めての誕生日パーティーになった。
元担当に対しては、特に思うこともないけど、誕生日パーティーを用意してくれたことは本当に感謝してる。
それから1年。
16年ぶりに独りぼっちの誕生日。
どう過ごしたらいいか分からない。
何でもない、いつもの日と同じように過ごせばいいのかな。
頭をよぎる、ポツンと取り残されたバースデーケーキと、私を置いて発車した、母が運転する車のエンジン音をどうにか振り払って。