日達氷麗

「ルーツの先に私が立つ」 もう夏が終わったのだろうか。8月中旬で最高気温は20度のここ…

日達氷麗

「ルーツの先に私が立つ」 もう夏が終わったのだろうか。8月中旬で最高気温は20度のここエディンバラで見たもの感じた事を言葉で伝えるエッセイ集。 東京生まれ経歴社会人1年半のアラウンドサーティーンが海外生活で感じる自分の位置。

最近の記事

第5話 その場を満たすために金

 先日、銀行口座のアプリから前月の支出についての通知が届いた。今は自分が設定しなくても自動でジャンルごとに管理してくれるようだが、今までまともに分析した事がない。1ヶ月の支出ではなく1日の支出と残高が私にとって重要なのだ。  そもそも自分が何にお金を使っているかなんて感覚でわかる。まず断トツで外食。例えばカフェに行ったとしてコーヒー1杯では絶対に終わらない。最低限スイーツは注文するし、もしそこの店がランチやワインなども提供していればフルコースは確実だ。圧倒的食にかけているそ

    • 第4話 旅行も修行

       イギリス生活1年記念としてポルトガルに3日間旅行をした。ファロという南に位置する海沿いの街でエディンバラから3時間くらいで行ける。日本で育った身として、この年は夏を感じられなかったので暖かい国に行って日差しを浴びたかったのだ。長い間雲ひとつない空を見ていなかったので、空港を出た時にはまるで別世界のような非日常感を感じた。  今回はベナギルケーブという目的地があった。石灰石できた海中洞窟で、天井には雨によってできたの穴があり、そこから太陽の光が差し込む。ただそこに行くには近

      • 第3話 料理の食材は5つまで

         エディンバラのリース・ウォークにある「Gaia」という本場イタリア人が作る軽食とコーヒーが楽しめるカフェに友人と行き、食文化について2人で語った。メニューにはパニーニが主でパスタやおつまみ、ケーキなども置いてある。アルコールは置いていないが持ち込みが可能なので、それを知ってかワインを片手に来店する人がちらほらいた。  初めて来るお店で料理を頼むときは、店主のおすすめかメニューで一番高いものを頼むと決めている。友人は一番人気のパニーニを注文していたので、私は本日のスペシャルパ

        • 第2話 旅する本

           読書が嫌いだった。夏休みの読書感想文はなるべく絵の多い本を選んで、なるべくマスを埋めようと必死だった。義務教育を終えても本を自分から読んだり、ましてはお金を払ってまで読んだ活字は一冊もない私が27歳の時に出会った本が「クジラの彼」だった。広島・山口を1人旅する時に空いた時間に恋愛を勉強しろと、不動産の社長に渡された自衛隊の彼とその女性を描いた恋愛短編集。道中で続きが気になりすぎて自分でもびっくりするほど熱中して読み込んだ。感情や情景を写真やイラストなしで言語化する言葉選びに

        第5話 その場を満たすために金

          #あの選択をしたから 〜BB弾の行方〜

           2018年9月。新卒で入社したピカピカだったはずの社会人経歴にわずか1年半で傷をつけた。理由はよくある話だ。外傷を治すために3年間必死に勉強して勝ち取った国家試験の武器は、実際に狩に出てみたら棒切れでやりくりする事の方が重要だと教わったのだ。武器をうまく使えば1週間で治るのに、棒切れでちまちま治療してお金を稼ぐ表の世界に居ても立ってもいられなくなった。とても稚拙な考えであることは後になって知ることになる。 父が19歳の頃アメリカでバイクを現地で買い、サンディエゴからニューヨ

          #あの選択をしたから 〜BB弾の行方〜

          第1話 無能なアドバイザー

          Q「海外でどうやって生活しているの?」「家賃は?物価は?」「英語とか難しそう?」まだこの質問をしているようじゃ当分は行動できないなと感じ、本音を言えず取り繕いながら8時間の時差を超えて友人の相談に乗る。エディンバラでの生活を始めて約3ヶ月、ロンドンの時よりも自分が生き生きしているのが肌の調子で分かった。大都市が苦手と分かっていながらのロンドンでの生活は、なかなか馴染めず人混みと反乱、マリファナの匂いで限界を感じていた。去年のクリスマスに訪れ3日間の滞在だったが、エディンバラ市

          第1話 無能なアドバイザー