仲居もたまには「もてなされたい」⑩〜渓流荘しおり絵〜(長野県松本市)
北アルプス登山の玄関口であり、
松本を代表する観光地でもある上高地。
その上高地に至る道、県道24号上高地線は通年でマイカー規制が行われているため、
途中で自家用車からシャトルバスに乗り換える必要があります。
その乗り換え場所「沢渡(さわんど)」にある宿
『渓流荘しおり絵』さん
シャトルバスの乗り換え場所という場所柄、
上高地に行く方向けの大衆宿かな…
と勝手に思っていたのですが、
決してそんなことはなく、
しっかりとテーマがあり、
上高地に行かない方でも満足できるお宿でした。
全8室という小規模の宿で、決して色々なスペースがある館内ではありませんが、部屋も廊下も広々と作られていて圧迫感はありません。
「しおり絵」という名前から想像する通り、
絵本のような可愛らしいインテリアが随所に見られます。
手作りのものも多く、部屋のトイレに飾られた折り紙の雛人形には感動しました。
続いて肝心の客室です。
スッキリとして広々しています。
また沢渡という周りに何も無い場所柄、
部屋でゆっくり過ごせるようにコーヒーメーカーやマッサージチェアなど、
おこもり滞在に向いた備品もあります。
部屋案内をしていただいた仲居さんも、料理提供をしていただいた女将さんも、
1つ1つの所作が素敵でした。
様々な宿がありますが派遣スタッフだらけになっている宿や、効率化に注力しているような宿ですと、
所作にまで気を配ることはできなくなっていますから、そういった意味でも感動しました。
実際に私の働いていた宿もトレーニングの効率化によって、所作を習うことはなくなりましたし、
派遣で訪れる宿でも教えてくれる宿はありませんでした。お辞儀の角度くらいでしたね。
チェックインのあと早速貸切風呂と、
大浴場それぞれ入りましたが、
8室しかないですし、団体向けの宿ではないので、混雑にも遭いませんでした。
大浴場には洞窟風呂があって、小規模宿にありがちなシンプルな風呂だけじゃない遊び心が嬉しいです。
夕食は懐石料理、一品一品料理を運んできてくださいます。
またお食事処は半個室になっているので周りを気にせずに楽しむことができます。
夕食をいただいていて気がついたのは、美味しいのはもちろんですが、器がキレイということ。
同じ器をずっと使っていると、
どうしても色褪せてきたり、劣化が気になるのですが、
こちらのお宿の器はそういったところが気になりません。
たまたま新しかった可能性もあるのですが、
全体的に使用している設備が新しかったり、劣化が見られなかったりと、隅々まで目が行き届いていることがわかります。
最後に翌朝のちょっと嬉しいサービスと朝食を。
場所柄、上高地観光の前後泊で利用してももちろん良いのですが、できればチェックイン時間からチェックアウト時間までフルで利用してほしい宿です。
また私のように1名利用でお篭りにも向いています。
北アルプス・松本を訪れる際にはぜひおススメしたい宿の一つです。