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入山92日目 束の間の下界
山小屋勤務中ながら、
ワクチン接種のため下山した日の翌日。
副反応のことを考慮していただき本日は下界でお休みです。
心配していた副反応も腕が少し痛くなる程度で、仕事や日常生活には支障は無さそうで一安心。
8月に一度登山口までは降りていますが、
町まで下りてきたのは入山以来3カ月ぶり。
気がつけば東京オリンピックも、
30℃を超える夏の暑さも経験せずに、
梅雨から秋までワープしてきた、
そんな感じです。
暑さに弱く、寒さにはそこそこ強いので、
自分には合っている過ごし方だと、
毎回下山するたびに思います。
さてそんな下界ですが、
登山着以外の人に会うのも、車の運転も、コンビニでの買い物も、3カ月ぶりです。
普通であれば何もかもが新鮮に感じるところですが、
山小屋生活を何年も繰り返すうちに
その感覚が段々と薄れてきているこの頃。
山小屋での生活と下界での生活が地続きのような感じです。
そんな非日常の場所が日常になりつつあるのは残念な反面、
北アルプスの山中が自分の日常の一部であり、
生活圏になったのだと思うと嬉しくもあります。
降りてきた日は夕方に降りてきてワクチンを打って1日が終わってしまったので、
本格的に下界を味わうのは今日から。
まずはスーパーにいって一先ず自分用に、山では貴重なフルーツを買い、
合わせて小屋に残っている人に持っていくお土産を購入。
お土産と言っても旅先で買うようなものではなく、パンやヨーグルト、お菓子など。
山小屋の食材は限られているので、奇をてらったものより案外普通のものが良かったりします。
家では久しぶりに自分のベッドで昼寝、
普段は、自分よりも年上かもしれない布団と
昔ながらのあずき枕で寝ているので
自分の使い慣れたベッドと枕は最高です。
そしてお風呂は、時間や湯量を気にせ湯船にしっかり浸かります。
普通の暮らしだと当たり前ですが、
山小屋の集団生活だとなかなかプライベートは確保できず、ほぼ全ての設備が供用なので、
他人を気にしない環境ってとても貴重に感じます。
今回の下山では山小屋に戻るにあたって、
感染するわけにはいかないので、
パァーっと遊ぶわけにはいきませんでしたが、
気持ちが一旦リセットされた束の間のひと時でした。