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入山76日目 2度目のお別れ(山小屋中期スタッフの話)

北アルプスの山小屋のシーズンにおいて、
9月のシルバーウィークが秋の最大の山場となります。

紅葉がちょうど見ごろを迎えるだけでなく、
8月のお盆が天候不順だったりすると、
この連休にリベンジで登山をされる登山客が多い為です。

最近はコロナの影響と
連休の天気があまり良くない年が多いので、
そこまでお客様の数が多いことはないのですが、
一昔前は夏のシーズン以上に混雑することもあったとのこと。


その連休を過ぎると、
週末であっても混雑する日はほとんどありません。10月の小屋閉めに向けての作業が多くなっていきます。

そんな連休最終日は中期と呼ばれる任期のスタッフの最終日。

7月から2カ月近く一緒に働いてきた仲間とのお別れの日です。

コロナ禍なので大々的にはできませんが、
この日のための食材も使ってささやかな会が行われました。

まだ残る身としても、この日ばかりはシーズンが終わった気分になってしまいます。


そして中期のスタッフが下山すると、いよいよ小屋のメンバーも少なくなります。
一緒に食卓を囲むメンバーが減るのが、一番寂しさを覚えるところです。

またお客様が少なくなるとはいえ、スタッフも減っているので一人あたりの仕事の幅が広くなってきます。
例えばこれまでお米やみそ汁の準備をするだけで良かったものが、
他の野菜を切ったり煮物を準備したり、
と手広くやらなければなりません。

また掃除も少人数で行うので、キビキビやらないと終わらない日もあったり。


山小屋シーズンもいよいよ終盤戦です。



最後に
以前短期スタッフが下山した際に、短期スタッフの特徴について綴りましたが、今回は中期スタッフの話を少しだけ。

中期スタッフについて、
私個人としては一番期間として丁度良いと思っています。

というのも短期スタッフですと、
ほとんどの期間が夏の繁忙期にあたるため、
慌ただしく働いて気が付いたら最終日を迎えます。
一方で中期スタッフだと繁忙期後のちょっとした閑散期も経験でき、
気持ち的にもゆっくりと山小屋で過ごせる時間が取れます。

また9月下旬までいることで、夏から秋に変わっていく様子を日々感じ取れるという利点もあります。

雪の心配もほとんど無いですし、小屋の仕事を終えた後も他の山小屋がオープンしているので遊びに行くことが可能です。

10月まで働いていると、終了する頃には降雪があったり、営業終了している小屋も出てくるので、他の山に登るのが少し難しくなります。


そんな中期はまさに「イイとこどり」だと私は思っていて、
小屋閉めまで経験したい、
ということでなければ初めての山小屋バイトは中期がおススメかな、
と思っています。

もちろん長期は長期で良さがありますが、
その話はまたシーズン終盤の話を書くときに記載したいと思います。


つの

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