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秋が無い?北アルプス
標高2600mの世界で毎年夏を過ごしていると、季節の移り変わりは下界で感じるものとは少し異なってきます。
北アルプスの夏と言えば、期間は概ね7月中旬くらいから8月のお盆まで。
お盆が過ぎれば急に気温が下がって、
朝晩の気温は1ケタ、
吐く息は白くなってきます。
9月中旬を過ぎれば水道の凍結に注意をしなければならず、
気がつけば東京の冬と同じような気温となっています。
そんな具合で夏も秋もあっという間に過ぎ去っていきます…
そう、例年であれば。
今年は、というより昨今は、ですが、
秋が異様に暖かいのです。
今年は8月の下旬こそ、朝に5℃くらいまで下がった日もありましたが、
9月に入って以降は朝晩そこまで下がる日も少なく、日中に20℃近くまで上がる日もチラホラ。
(標高2600mで20℃越えは暑いです🥵)
例年であればヒートテックを中に着て、フリースを羽織ることもあるのですが、
9月の時点では半袖Tシャツで過ごしていました。
また9月の下旬にも所用で下まで登山道を降りてきましたが、すれ違う登山者は暑さでバテている方が多く見られましたし、
空は夏の空と見紛うほどです。
2016年からこの山域に関わっていますが、年々秋の訪れが遅くなっているような、
そもそも秋が消えかかっているような、
そんな気がしています。
代わりに良いことがあるとすれば、
登山を楽しめる期間が延びていることでしょうか。
気温が低くければ、特に雨天時や強風時に低体温症などのリスクが出てきますが、
7〜8月の感覚で登ることができるので、
比較的安心して登山できます。
また午後の天気の崩れが盛夏に比べて少ないので、行動にも多少の余裕ができます。
(かわり日没は早まるので油断は禁物ですが)
その影響もあってか、10月の週末まで宿泊の予約は満室が続きました。
本来であれば9月のシルバーウィークを過ぎたら予約は減って、満室はあり得なかったのです。
結果として週末に天気の崩れもあり満室ではありませんでしたが、コロナ前の10月の予約を超える集客がありました。
おかげさまでお客様がいる中でも徐々に進めていく小屋閉めの作業も、10月の連休が終わるまで取り掛かることができません。
昔からの常連さんも「すごいよね〜、昔じゃ考えられないよねー」
といったことを話していました。
小屋閉めが進まないのは困ったことですが
需要が平準化していることを考えれば、
これは山小屋にとっては良い動きと捉えて良いかもしれません。
これまで7月の海の日連休からお盆、
シルバーウィークに集中していた登山客が、
元々余裕があった9月の平日や、10月に流れることで、
予約制で定員を設けなければならなくなった山小屋にも少しだけ恩恵を与えてくれたように思います。
あとは7〜8月に比べて減りがちな、
9〜10月の平日の集客をどうするか、
それに合わせて、これまで7月8月に手厚くしていたスタッフ人員をどうするか?
シーズン通したスタッフの人員を増やすのか、
7〜8月の短期雇用のスタッフに加えて、
9〜10月にも短期で雇用するのか…
まだまだ山小屋の可能性は残っていそうです。