書影2

鳥取市出身の漫画家谷口ジローさんとご当地グルメ「素ラーメン」の共演

 「鳥取の皆さん、18年ぶりの2巻です。今回は谷口ジロー先生の地元、鳥取編が入れられて、僕もすごく嬉しいです。スラーメン、また食べたいです」

 『孤独のグルメ2』発刊にあたり原作者久住昌之さんからお預かりした鳥取の読者へのメッセージである。作画は鳥取市出身の漫画家谷口ジローさん。鳥取県民には、もはや説明はいるまい。人気作品の待望の新作とあり、書店も売り場を広げて大々的に拡販し、県民の注目度も高い。

 鳥取県が誇る谷口ジローさんの最新作であることに加えて、もうひとつ注目すべきポイントがある。県東部のご当地グルメ「素ラーメン」が登場するのだ。

 素ラーメンとは、中華麺をうどん出汁で食べる一種の代用食で、昭和20年代に鳥取市内の飲食店で誕生したもの。久住さんに紹介したのは何を隠そう私だ。たまたま私がフェイスブックに投稿した鳥取市役所食堂の「スラーメン」を久住さんが面白がってくださり、鳥取市で開かれた「谷口ジロー原画展」にゲスト出演したおりに実食され、本編登場となった。連載誌に掲載された直後から、ファンがロケ地を訪れる「聖地巡礼」ブームも起こった。

 副読本『孤独のグルメ巡礼ガイド2』も話題だ。いわゆるマンガとドラマのロケ地の食べ歩くグルメガイドだが、鳥取県民には巻末の谷口ジローさんのインタビューが見逃せない。ここでも素ラーメンが話題にあがり、高校時代に学校近くの定食屋で食べた「思い出の味」となつかしく語っておられる。ご一読あれ。

 ちなみに「素ラーメン」と並ぶ久住さんのお気に入りは「ホルモン焼きそば」で「ビールに合う!」とご満悦だった。主人公井之頭五郎がもし酒が飲めたなら鳥取編にはホルソバが登場していたかもしれない。

(地元紙に寄せた『孤独のグルメ2』書評)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?