\本格始動/スタートアップ育成5カ年計画について解説します!
こんにちは。
クラウンコンサルティング株式会社で、
管理部 兼 広報を担当している、つのだ(@tsuno_bgent)です。
2022年11月、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の肝いり政策の一つである「スタートアップ育成5カ年計画」を発表しました。また、2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、スタートアップ担当大臣を新設、スタートアップ推進に過去最大規模になる1兆円を予算計上しました。今回は、本格始動した「スタートアップ育成5カ年計画」について解説します。
スタートアップとは?
スタートアップとは、イノベーションを起こして、短期間に圧倒的な成長率で事業展開をしている企業の事を指します。アメリカのシリコンバレーで使われ始めた言葉で、その後日本でも広く使われるようになりました。革新性のあるビジネスモデルであること、その事業で解決される社会課題が大きいこと、IPOやM&Aなどの出口戦略があることなどが、スタートアップの特徴とされています。また、スタートアップは短期間で急成長を目指すため、VC(ベンチャーキャピタル)などから、エクイティファイナンスによる資金調達を受けている場合が多いです。
スタートアップ育成5カ年計画
日本の開業率やユニコーン企業の数は、米国や欧州に比べ低い水準で推移しています。開業率の低下は、生産性の上昇率や雇用創出力の低下など、日本経済に悪影響をもたらしていると指摘されています。また、米国ではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)にような企業が次々と成長していることが、経済の強さにつながっています。これらの大企業も、元々はユニコーン企業だったのです。日本でも、ユニコーン企業を創出してはいますが、世界のスピードには追いついておらず、大きな差が開き続けている状況です。
イノベーションを創出し大きく成長するスタートアップは、経済成長のドライバーとなるべく存在です。世界で戦えるスタートアップを早急に創出しなければ、日本と世界の差は開くばかりなのです。しかし、日本人は安定を求め、リスクを伴うチャレンジを避ける性質があると言われています。また、大きな失敗をした人に対する風当たりが強い風潮もあり、日本ではなかなか起業家が増えないのが現状です。そんな現状を打破すべく、スタートアップの育成戦略と5年間のロードマップをまとめた「スタートアップ育成5カ年計画」が政府によって策定されました。スタートアップ5カ年計画は、スタートアップを生み育てるエコシステムを創出し、第二の創業ブームの実現を目的としています。具体的な目標としては、スタートアップへの投資額を5年後に10倍の10兆円規模にすること、またユニコーン企業を100社、スタートアップを10万社に創出することが掲げられています。
スタートアップ育成5カ年計画の方向性として、以下の3つの柱が示されています。
1つ目の柱は、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築です。前述したとおり、日本では起業家が増えずらい環境になっていることも踏まえ、意識改革などの起業家を育てる仕組みを構築していきます。
2つ目の柱は、資金供給の強化と出口戦略の多様化です。日本では米国などに比べてスタートアップの資金調達額がとても少なく、資金調達の手段も少ないのが現状です。スタートアップへの投資額を増やすため、VC(ベンチャーキャピタル)の投資をはじめ、多様な資金調達の手段を拡充する取り組みを行います。
3つ目の柱は、オープンイノベーションの推進です。オープンイノベーションは、企業が外部の知見や技術を取り入れることで、新しい価値を創造することを目的とした取り組みです。オープンイノベーションは大企業の持続的な成長と、スタートアップの資金調達および出口戦略のために重要となります。
令和5年度税制改正大綱
スタートアップ育成5カ年計画で掲げられた取り組みのうち、法制度に関する政策は、税制に関係しているものが多くあります。2022年12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」には以下の7つの税制改正が反映されています。
1)エンジェル税制の拡充
スタートアップエコシステムを抜本強化する観点から、エンジェル税制において、保有する株式を売却して初期のスタートアップに再投資する場合や自ら起業する場合における非課税措置を創設(上限20億円)。加えて、利便性向上のための必要な見直しを行う。
2)オープンイノベーション促進税制
スタートアップの出口戦略の多様化の観点から、特にスタートアップの成長に資するものに限定し、事業会社がスタートアップをM&Aする時の発行済株式の取得に対しても所得控除25%を講じる。
3)研究開発税制の延長・拡充
スタートアップとの共同研究等を促進するため、オープンイノベーション型におけるスタートアップ定義等を見直す。
4)パーシャルスピンオフ税制の創設
大企業発スタートアップの創出や企業価値向上に向けた事業再編を促進するため、元親会社に一部(20%未満)持分を残すスピンオフにおいても、一定の要件を満たせば株主等に対する課税を繰り延べる特例措置を創設する。
5)ストックオプション税制の拡充
ディープテックなど事業化まで時間を要するスタートアップ等を後押しするため、一定の要件を満たしたストックオプションの権利行使期間を現行の10年から15年に延長するとともに、保管委託の運用について、見直しを行う。
6)国外転出時課税制度の見直し
スタートアップの海外進出を促進するため株券を発行することなく担保の提供を可能とする等の所要の見直しを行う。
7)暗号資産の期末時価評価課税の見直し
新たな産業領域であるWeb3.0について、新規事業立ち上げ等に支障のない事業環境を整備するため、自己が発行し発行時から保有し続けている等の要件を満たす暗号資産については、期末時価評価課税の対象外とする。
まとめ
今回は「スタートアップ育成5カ年計画」の概要を解説しました。スタートアップ支援は、岸田内閣の肝いり政策と言われているだけあり、過去最大規模の予算組みや、税制改正など「本気度」が伺えます。また、国の取り組みに追うように、自治体からもスタートアップ支援の取り組みが発表されています。本格始動したスタートアップ支援については、今後も新しい情報をキャッチして発信していきます。
今後も、皆さんのお役に立つ情報を発信していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。