【本の紹介・探究学習】読書メモ 安藤昭子『問いの編集力 思考の「はじまり」を探究する』⑥
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 2024/9/20
第4章 Discovering 「問い」が結像する
アンラーンの探索―世界の再解釈
(p156)「問いの芽」が自分の内面とつながり、「問わずにはいられない」という「確信」に変わる
(p157)「アンラーン」とは、ある事象に対してすでに身につけた知識や見方を脇において、新たな目で捉え直す試み
一度染みついた「そういうものだ」という常識や思い込みを「アンラーン」する
(p158~)
アンラーンのコツ その1:歴史の「はじまり」をたどる
「起源をたどる」 もともとどこから来たものなのか、どういう経緯で今にいたっているのか。「はじまり」の風景を眺める。「アーキタイプ(原型)」をたどる。
例 「コンビニってまだ進化するのか?」「コンビニはもっとどうあるといいか」という問いの芽吹きに対して、コンビニの略図的原型(情報を俯瞰的な目で捉え直す型)を考える。
「ステレオタイプ(典型)」→セブン‐イレブン、ファミマ
「プロトタイプ(類型)」→日用品のフランチャイズストア、長時間開いている便利なスーパー
「アーキタイプ(原型)」→商店街、駄菓子屋、万屋、市
(p160)
「探究型読書」が役立つ。自分の仮説を組み立てるための読書では、情報を立体的にしていくために、複数冊を手に取り、そのテーマを解く鍵となりそうな「キーブック」を選んでいく。
その際、まっさらな目で物事を捉えるには、認識の枠組みができ上がる前のアーキタイプ(原型)を訪ねるのが手っ取り早い。
(p161)
アンラーンのコツ その2:「おさなごごろ」をたどる
問いにまつわる「個人的な起源」にも目を向ける
「なんでこんなことが気になるのか」「どうしてそこに違和感を覚えるのか」「私の好奇心」のアーキタイプ(原型)を訪ねる。なぜその事柄に興味を持ったののか、問いの起源を探っていくことで、今抱えている問いにつながる原体験があるかもしれない。
例 「コンビニがどうあるといいのかという問い」
← お店屋さんごっこに夢中になった自分
← そもそもお店はどうやって生まれてきたのか?
← もともと人は違うもの同士の価値をどうやって測ったのか
← 地域社会でのよろず屋の役割
← 市場の発生
(p163)
自覚的に物事と自分自身の起源を探っていくと、真新しい未知が自分の中から採掘される
(p164)
「知識」を扱うだけでなく、それが自分の内面の「知性」に突き動かされる「探究者」であるためには、「”物事”と”私”の起源を訪ねる」プロセスを、両輪で動かすこと。そうすることで探究心を動かす「根源的な問い」を携えることにつながる。
(p165)
まだ形のない「考え」や「世界像」をある情報の構造として組み上げ、他者に共有する情報様式が「物語」である。
(p166)
フランスの作家ジュール・ヴェルヌが1865年に発表した『月世界旅行』の世界像は、約100年後にアポロ8号として現実のものとなった。
ヴェルヌは「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という言葉を残した。
(p167)
上等な物語は「情報の空白」によって、受け手の中で問いに変換され、好奇心に転換していく。「伏せて開ける」手法は、問いの編集力においても重要だ。
(p169)
自分が生きるこの世界(どんな切り口でもいいが、新聞を賑わす世相、職場の雰囲気など少しでも気になっていること)を物語として切り取って、物語の五大要素で分析する。
「ナレーター」誰がその物語を進めていて
「キャラクター」どんな特徴の登場人物がいて
「シーン」どういう場面が象徴となっていて
「ストーリー」どんな筋書きが選ばれているのか
「ワールドモデル」それはどんな世界像のもとに繰り広げられているのか
「何者かによる物語」として見ることで、自分が置かれている状況を客観視できる。
自分が埋め込まれている物語(ドミナント・ストーリー)に対して、別の可能性、オルタナティブ・ストーリーとして気に入った物語を語り直しても良い。
(p171)先行きを先導するのは、自分を突き動かす問いであり、歩みを進めるのもまた、自分の体感に基づいた生き生きとした「問い」の連鎖である。