12/22 欲求
絶不調である。
偏った体調のときは、その欠落を埋めるように相反する現象を追い求めてしまう。
この現象は誰にでもあるものなのか。
今の私はゲームがしたい。
肉をたくさん食べると次の日ヘルシーな酸っぱいものが食べたくなるし、家の中に一日中いると外に出てみたくなる。
抑圧された欲求を解放したいのか? と思ったがそうではないらしい。遊びたいという言葉が、似た形の多いジグソーパズルのようにうまくはまらないのだ。
こういう自分の欲求がわからないときは違うことをするに限る。
というわけで、小説を読んだり、YouTubeを見たりしてみた。
違う。モヤモヤした感情が残ったままだ。
一体この欲求はなんなのか。
数十年私の体と向き合ってきて、ある程度の欲求を理解したつもりだった。けど、まだわからないこともある。
字を読みたいと思うのは、現実が嫌でその世界に長く閉じこもりたいとき。
YouTubeを見たいと思うのは、ちょっと他人や世界を知りたいとき。孤独に寄り添ってくれる声を求めているときだ。
よくゲームをしていた時期があった。
小学生・中学生の時期はDS、高校生はスマホゲーム、大学生はスマホゲームやSwitch……。
いや、ずっとゲームしてるやん。
ということは、昔から同じ欠落を抱えていることになる。深掘りして答えを見つけたい。
好きなゲームは『パワプロクンポケット』、『流星のロックマン』。
他にも好きなゲームはたくさんあるが、特に好きなものというと、この2本だろうか。
暗い展開が多いものに強く惹かれていたのだろう。
暗い展開のゲームだったら他にもたくさんある。リアル寄りのものが何作品も。けれど、現実の世界から離れたいと思って娯楽に触れている私にとって、リアルの人間っぽいキャラクターが出てくるのはあり得なかったのだと思う。
世界観やキャラクターとして誇張された暗さとそこから這い上がる成長を描いた物語。明確な黒からだんだんとその闇が薄れていく過程が好きなのだろう。黒のインクにスポイトの水を垂らしていくみたいに。
現実の黒から、存在するであろう光に連れ出してくれるもの。それが自分にとってのゲームということになる。
なんだ、シンデレラコンプレックス(苦労をしていてもいつか王子様が現れて守ってくれるという心理状態)じゃないか。
ということは、今までの人生ずっと王子様に守られて生きてきたことになる。
確かに今とても苦しい状況にいる。助けてほしいと思う。けれど他人に頼ることは憚られるし、自分で解決するしかない。なにより、ずっとそうして生きてきた。間違った選択でも自分で選んで生きてきた。
自立するための一時的な逃げ場としての王子様。今までの人生ずっとゲームをしてきたということは、成功体験をゲームで作って厳しい現実に立ち向かってきたのかもしれない。
王子「お前はこんなにできるやつなんだ。現実世界でも頑張ってこい」
そう言って、何度も背中を押してくれる。子どもの頃から押してくれている。
失敗してもいい。またおいでと言いながら。