ARTとたにし長者 <input・集めるその1>
「たにし長者」と言う話が好きです。
特に、意地悪な姉が、婿さんのたにしがわからなくなるようにたくさんのたにしを周りに撒いてカラスをけしかける中、嫁さんが婿さんのたにしを発見するところがわくわくします。
たにしは見つかりません。
どれもこれも同じような小さな黒い粒で、いっぱいあります。
カラスにとっては餌に見えて、誰かにとっては小石に見えて、苔がついてたら苔玉に見えるし、ただのたにしにしか見えない人もいるし、「こんな汚いもの家になんて持ってこないで!」と叫ぶ母親もいるでしょう。
でも、自分にだけ他とは違うたにしがあって、たくさんの中から見つけられるということはとてもすごいこと。すごくわくわくする。
つくることはこういうことから始まっていてきっと少しづつ自分で形にしてゆくものだと思うのよね。才能がどうとかじゃなくて、みんな持ってるもんなんだよ。
そういう自分自身の気持ちを丁寧に汲んでいる作品を見るととても嬉しい。そういうのが人と気持ちを共有できる作品なんだと思う。
だって、きっと見る人も自分自身の何かを持ってるから。意識しなくとも、きっとある。