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介護保険法令を理解し、使いこなそう! 第10回 ハラスメント対策の強化と事業所の質の向上①

一般社団法人あたご研究所 代表理事
後藤 佳苗


保有資格、役職など
一般社団法人あたご研究所代表理事、特定非営利活動法人千葉県介護支援専門員協議会理事、看護学修士(地域看護学)、保健師、介護支援専門員、千葉県介護支援専門員指導者など
【略歴と現在の活動】千葉県職員(行政保健師)として、保健所、精神科救急病院、千葉県庁母子保健主管課、千葉県庁介護保険担当課等に勤務し、2005年4月~現職
ケアマネジャー、介護福祉職、行政等職員、コメディカルなどに対し、年200回以上のセミナーを全国で担当する

法令を理解し使いこなすことは、自分と仲間と事業所を守る第一歩です

千葉県船橋市で、あたご研究所を経営している後藤佳苗と申します。

連載第10回目の本号では、運営基準第19条第4項に令和3年に追加されたハラスメント対策について、2回に分けて確認します。


1.全事業者に事業所内のハラスメント対策が義務化!

令和3年度介護報酬改定においては、喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応が主要事項として掲げられ、介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進が図られました。

具体的には、処遇改善のための加算の充実、職員の離職防止と定着促進、人員配置基準の緩和などと併せて、ハラスメント対策を強化する観点から、全ての介護サービス事業者に、運営基準(省令)において、事業者が必要な措置を講じなければならないことが規定され、適切なハラスメント対策が求められることになりました(図参照)。

通常、「ハラスメント」とは、他者に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指し、具体的には、属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることと言われています。

また、ハラスメントにはさまざまな種類がありますが、職場(労働環境)においては特に、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)及びマタニティハラスメント(マタハラ)が大きな問題になっていることは、周知のとおりです※。

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